FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. ドクターインタビュー
  3. 歯並びをよくするには幼児期の心がけがとても大切!【茨城県筑西市 村井歯科】

歯並びをよくするには幼児期の心がけがとても大切!【茨城県筑西市 村井歯科】

 更新日:2023/03/27
村井歯科
村井歯科

お子さんの歯並びが気になっている親御さんは多いことだろう。では、そんなお子さんはいつから矯正治療を始めたらいいのか。また、どんな方法で矯正したらいいのだろうか。それについては、やはり専門家に尋ねるのが一番。今回は、子どもの矯正治療に力を入れている「村井歯科」の村井眞之院長と奥様の香代子先生に、矯正治療の基礎知識に加え、子どもが「将来的に矯正治療をなるべくする必要のない口(アゴ・歯)」になる手助けをする方法を紹介していただいた。


Doctor’s Profile
村井 眞之(むらい・まさゆき)
村井歯科 院長

1949年、茨城県生まれ。慶應義塾大学理工学部を卒業後、(株)小松製作所に6年間勤務。奥様の香代子さんとの結婚を機に歯科医への転身を決意し、城西歯科大学入学。卒業後、開業医での2年間の研修を経て、1983年に「村井歯科」の院長に就任する。院長就任後も、さまざまなスタディグループに所属し、知識・技術のブラッシュアップに努める。また、開業当初から現在まで小・中学校の校医を勤め、子どもの歯を診察し続けている。

Doctor’s Profile
村井 香代子(むらい・かよこ)
村井歯科 勤務医

1952年、茨城県生まれ。日本歯科大学卒業。開業医での研修を経て、1981年に「村井歯科」を開業。現在は勤務医の立場で、一般歯科に加え、矯正治療を含む小児歯科の分野を担当する。

小さな子にとって身体や精神への負担が大きい矯正治療

子どもの矯正治療とは、どのようなものでしょうか?

一般的には、乳歯と永久歯が混在している「混合歯列期」に行なう「一期治療」を指します。すべての永久歯が生え揃った後に行なう矯正治療は「二期治療」と呼び、これは成人に対する治療と同様です。
小さな子にとって身体や精神への負担が大きい矯正治療

一期治療と二期治療では目的が異なるのですか?

一期治療では、歯そのものよりも、上下のアゴのバランスを整えることや、歯列を広げることで永久歯がきれいに揃うスペースをつくるといったことが主な目的となります。1~2年間治療を継続したら、歯が完全に生え変わるまで経過を観察し、必要と思われれば二期治療に入る、という流れになります。
子どものときに一期治療をするメリットはどこにあるのでしょうか?

一期治療で上下のアゴのバランスを整えることで、上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口)などになりにくくなります。また、アゴを十分に成長させることができれば、歯が並ぶスペースができ、噛み合わせもよくなります。一般的一期治療後の経過がよければ、二期治療の必要はありません。
しかし、治療には痛みを伴いませんか?

一般的一期治療では、ワイヤーなどでつくられた固定装置を口内に取り付けたり、アゴの成長を抑制するためのヘッドギアを装着したりします。これは確かにお子さんにとっては身体的にも精神的にも大きな負担になりますね。

小さな子にとって身体や精神への負担が大きい矯正治療
二期治療についてはどうでしょうか?

歯列をワイヤーでつなぐブラケット矯正は、歯が動く際に痛みを感じます。(当院ではマウスピース型矯正装置を行なっていますが、)治療にはどうしても長い期間を必要とします。また、一期治療・二期治療ともに、ごく一部の例外を除いて自由診療になりますから、費用面でも患者さんの負担は大きいといえますね。

健康なアゴをつくる手助けをしてくれる「Vキッズ」

貴院で力を入れている子どもの矯正治療は、いわゆる一期治療とは違うのですか?

先ずしっかりした土台をつくる治療です。一期治療の前段階と考えていただければいいかと思います。いくつかの方法がありますが、当院では「Vキッズ」という口腔機能育成装置を用いて、口(アゴ)の成長をサポートする方法を採用しています。
健康なアゴをつくる手助けをしてくれる「Vキッズ」

「Vキッズ」とは、どのような器具なのでしょうか?

下アゴの歯にかぶせる着脱式のマウスピースで、一つひとつお子さんの歯に合わせてつくります。マウスピースを就寝時に装着するだけなので、お子さんの体や精神への負担はほとんどありません。
使用する器具は「Vキッズ」だけでしょうか?

ほかに、「チューイングブラシ」というものを併用することもあります。これは市販もされています。本来は上下の歯で何度も噛むことで歯を掃除したり、歯ぐきをマッサージしたりするものですが、口の成長を促す効果もあると考えています。
「Vキッズ」は、矯正治療に使われるマウスピースとは違うのでしょうか?

そもそも使用する年齢が違います。「Vキッズ」はアゴの骨が急速に成長する幼児期に使用するもので、マウスピース型矯正のマウスピースはアゴの骨が成長した後に用いるものです。
使用する目的も、「Vキッズ」が口の成長を促すことにあるのに対して、マウスピース型矯正のマウスピースは歯を動かすことが目的です。後者には、骨の発育を促す効果はあまり期待できません。
一期治療の前段階ということは、より低年齢から始めるのですか?

一般的に、一期治療は6歳くらいから始めますが、「Vキッズ」は、その前段階の3~5歳から用いるのが効果的です。この時期はアゴの成長の度合いが急速に進むので、「Vキッズ」の効果が得られやすいのです。
6歳以降では効果が期待できないのですか?

現実として、3~5歳で歯科医院に行くのはあまり一般的ではありません。ですから当院では、6~7歳のお子さんにも「Vキッズ」を用いることがあります。経過を観察したところでは、6歳以降でもかなりの効果が見られますよ。
「Vキッズ」を用いることで、一期治療が不要になるということもあるのでしょうか?

口が十分に成長すれば、将来的に噛み合わせや歯並びが悪くなるリスクが大幅に下がります。ただ、勘違いしてほしくないのですが、「Vキッズ」によって短期間のうちに歯並びがよくなるわけではありません。
そもそも、乳歯の時期に歯並びがいいということは、むしろ歯に対してアゴが小さいということ。つまり、そのあとに大きな永久歯がきれいに生え揃うには、スペースが足りないということになります。
実は、歯の大きさというのは、遺伝でだいたい決まってしまうものです。しかし、アゴの骨の成長度合いは、お子さんの発育過程及び生活環境に大きく影響されるのです。

健康なアゴをつくる手助けをしてくれる「Vキッズ」
後に矯正治療が必要になることもあるのでしょうか?

「Vキッズ」を用いても、お子さん一人ひとりの育ち方や遺伝的要因によって、後に矯正治療をしなければならない状態になることはあります。
ただ、「Vキッズ」を使用した患者さんは、しっかりした土台があるおかげで、治療が効率よく行なえる傾向があります。
また、これまでの矯正治療では歯の大きさに対してアゴが小さくて歯が並ぶスペースがない場合、スペースをつくるために小臼歯を抜くこともあるのですが、健康な歯を抜くというのは、やはり抵抗がありますよね。アゴが十分に発達していれば、こうした抜歯を行なうリスクを減らせると考えています。

口の健全な成長が、大切なお子さんの身体の成長を促す

「Vキッズ」を用いると、口だけでなく全身にもよい影響があると聞きました。

「Vキッズ」を装着すると、口の中が広がり、鼻呼吸がしやすくなります。親御さんからはよく、「子どもがいびきをかかなくなった」「寝相がよくなった」という言葉を聞きます。これは「Vキッズ」を装着することで比較的早期に現れる効果です。また、お子さんが「Vキッズ」を自然に噛み締めることで上アゴに刺激がより多く伝わり、鼻腔の成長が促されて鼻の通りがよくなっていきます。
口呼吸は万病の元ともいえます。睡眠の質を落とすだけでなく、アレルギーも起こりやすくなるんですよ。
口の健全な成長が、大切なお子さんの身体の成長を促す

身体の成長にも影響を与えるのでしょうか?

近年、幼児期に受ける身体の刺激は、成長にとても大切なものだということがよく知られるようになってきました。手や足に加え、口・歯から受ける刺激が与える影響は非常に大きく、脳の発達にも関わってきます。
「Vキッズ」は約5年ほど前に始まった治療法なので、まだ十分な数値的データは揃っていませんが、運動力や全身の機能の向上にいい影響を与えるものだと考えています。実際、当院の患者さん(お子さん)を観察すると、姿勢がよくなり、中顔面の成長により顔つきが大人っぽくなってくることが、比較的早期に現れます。これまでの矯正治療で、あごの大きさが、歯の大きさに比べ小さい場合、あごの大きさを広げようとすることはもちろんありますが、この場合平面的な広さに着目することが多かった一方で、「Vキッズ」ではむしろ立体的(ここが「Vキッズ」の最大の特徴)に、つまり縦軸方向の成長を促されることで、下の納まる容積が増加し、同時に鼻腔の大きさも確保され、脳を支える頭蓋の成長にまで及ぶと考えられます。
どのようなお子さんに「Vキッズ」を用いる必要があると考えられていますか?

まず、検診などで「歯並びに問題がある」と指摘されたお子さんですね。加えて噛み合わせも確認します。乳歯の段階では、前歯の上下の先端近くで咬み合うのが理想なのですが、近年は上の歯が下の歯にかぶさる「オーバーバイト」がよく見受けられますね。これは上下のアゴが未発達によって生じる現象なのです。
さらに、当院でお渡ししているアンケートのチェック項目に複数当てはまるお子さんにも、「Vキッズ」をおすすめしています。チェック項目は呼吸・睡眠・食事・発音・健康など、多岐にわたります。
具体的にいくつかのチェック項目をご紹介ください。

呼吸に関する項目は「口を開いているときが多い」、呼吸・睡眠では「いびきがある」「歯ぎしりがある」。変わったところでは「おねしょ」「食べるのが遅い」「発音が赤ちゃん言葉に聞こえる」「落ち着きがない」「転びやすい」などです。これらの現象も、口の発達が十分でないために、全身の発育が悪くなっていることから起きることがあるのです。
「Vキッズ」を用いるにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか?

当院の場合、最初にご相談を受けてから、お子さんの歯の状態をレントゲンなどで調べ、型を取って実際に着用を始めるところまでで5万円が目安です。
その後、月に1回程度、お子さんの歯の成長に合わせて「Vキッズ」を調整しますが、その調整料が3千円程度。
「Vキッズ」は保険適用ではないので高く感じるかもしれませんが、永久歯が揃ってから高額な矯正治療を行なうリスクを低下させるための予防措置と考えれば、決して高額ではないと思っています。

口の健全な成長が、大切なお子さんの身体の成長を促す
最後に、この記事を読まれている方にメッセージをお願いします。

小・中学校に加えて、保育園の検診も20年ほど続けていますが、近年はお子さんの口の発育不足が目立つ傾向にあります。
ただ、3~5歳の段階では、目に見える不具合があるわけではないので、親御さんとしては問題を感じていないことがほとんどですね。また、「矯正は永久歯が生え揃ってから」と思い込んでいる親御さんも多いと思います。
ですが、先ほどもお話ししたように、幼児期は健全な口をつくるチャンスです。この時期に私たち歯科医が適切な処置を行なうことで、アゴや歯だけにとどまらず、全身の育成、さらには大人になる過程での歯にまつわるトラブルが減らせると考えています。乳歯が生え揃う時期に、一度ご相談していただけたらと思います。

編集部まとめ

「正しい噛み合わせときれいな歯並びは、幼児期の口の成長を促すことで得られる」とは村井院長の言。また「口が健全に成長することは、鼻腔の成長、ひいては体全体の成長にも関わってくる」とも。予防治療の考え方にもつながる、治療に頼らない矯正の考え方を聞かせていただきました。
「Vキッズ」はスタートしたばかりのシステムで、その効果を証明する十分な臨床データはまだ十分に集まっていないとのことですが、村井院長はじめ、多くの歯科医師が効果を実感しているのは事実です。「村井歯科」は徹底した衛生管理に加え、アットホームな雰囲気が特徴。お子さんもリラックスして問診を受けられる歯科医院のひとつです。歯並びだけでなく、虫歯を含めて、お子さんの口内の状態を気にされている親御さんは一度相談してみてはいかがでしょうか。

医院情報

村井歯科

村井歯科
所在地 〒308-0841
茨城県筑西市二木成981
アクセス JR水戸線・真岡鐵道真岡線・関東鉄道常総線 下館駅 車で5分
診療内容 歯科一般 予防・歯周病治療 小児歯科 矯正歯科

この記事の監修歯科医師