人間は社会生活を営む上で9割方視力に頼っている。視力を保つことは生活の質(QOL)に直結するが、
加齢に伴う白内障は誰でもなる可能性が高く、病名は知っていてもその治療法や手術を受けるタイミングなどについては知らないことが多い。100年以上の歴史を持ち、4代にわたり地域に根差した診療を続ける「医療法人俊英会 石﨑眼科医院」の石﨑英介先生に、日帰り
白内障手術について詳しいお話を伺った。
※白内障日帰り手術は経過観察(定期来院)が必要です
Doctor’s Profile
石﨑 英介
医療法人俊英会 石﨑眼科医院 院長
平成9年大阪医科大学卒業、同大学眼科学教室入局。米国ミシガン大学留学、大阪医科大学助教、講師(診療主任)を経て平成26年、石﨑眼科医院院長就任。医学博士。日本眼科学会認定眼科専門医。日本眼科手術学会会員など所属多数。厚生労働省認定先進医療実施機関(多焦点眼内レンズを用いた白内障手術)。
加齢とともに誰もがなる可能性のある白内障。その症状と治療法
どんな症状が出てくれば白内障の可能性がありますか?
白内障という病気は、本来透明である目の水晶体が濁ってくる病気のことです。先天性のものや外傷性のもの、薬剤によるものなどがあり、決して高齢者だけが発症するものではありませんが、基本的には加齢によるものがほとんどです。
運転しているときに対向車のライトがまぶしく感じる、視力が落ちてきたなどの自覚症状が現れます。自分では見えていると思っていても、運転免許更新の検査の際に気づかれる方も多いですね。
白内障を放置しているとどうなりますか。やはり進行するものなのでしょうか?
白内障は初期段階の場合、自覚症状はほとんどありません。そのため、「目がかすむ」「ぼやける」といった症状が白内障によるものだと気づきにくいんですね。
白内障は自然に治る病気ではありませんので、放置していると進行してしまいます。治療を先延ばしにしていると水晶体が固くなってしまい、手術に時間がかかってしまう場合もあります。
白内障を治療すれば見え方はかなり変わってくるものなのでしょうか?
個人差はありますが、「視界がきれいになった」「明るくなった」と喜ばれる方がほとんどです。それまで見えにくさを我慢されている場合が多いので、「こんなことなら早く手術すればよかった」というお声もよく耳にします。見え方が変わることでアクティブになられる高齢者の方も多く、離れて住んでおられるご家族にとってもそれは大きなメリットです。
もともと近視など目が悪かった人もそれを改善することはできますか?
白内障の治療を行えば目のすべての症状が改善されるわけではありません。涙目などの症状は、ほかの治療が必要になってきます。また、視力の数値が出ない、あるいは出ていても、ほかの方より低いことを気にされる方もいらっしゃいますが、大切なのは数値ではなく見え方の満足度です。あまり数値にこだわらない方がよろしいかと思います。
最終的に白内障治療は、手術以外の選択肢はないのでしょうか?
白内障は初期段階では進行を遅らせる目薬などがありますが、最終的には今のところ手術を行う以外の治療方法はありません。
ただ、目の状態によって今すぐ必要のない場合はすぐに手術をしない選択肢もあります。手術を考えるタイミングとしては、明らかな視力低下など、日常生活に不自由を感じ始めたら検討した方がいいでしょう。
ライフスタイルに合わせた日帰り白内障手術、そのメリットとは
白内障手術は現在日帰り手術が主流のようですが?
そうですね、
白内障手術は水晶体の濁りを取り除き、眼内レンズを挿入する手術ですが、通常であれば
10~15分ほどで終わる手術です。
成功率・安全性ともに非常に高いため、最近では多くの眼科で日帰り手術を取り入れています。
目の手術は怖いと感じている人もいます。
白内障手術は、今まで病気をしたことのない方が初めて受ける手術というケースも多いんですね。必要以上に緊張される方もいらっしゃいますので、当院では
麻酔科医を常置してストレスを感じないよう安心・安全な手術の提供に努めています。
麻酔科の先生がいらっしゃれば安心して手術が受けられますね。
どうしても痛みに敏感になりがちですので、希望される方には
静脈麻酔や
笑気麻酔を取り入れて手術を行っています。
笑気麻酔は鎮静作用に加えて鎮痛作用もありますから、リラックスできるとともに痛みを感じにくくなります。
手術後の生活ですが、通常の生活に戻るまでにどの程度の期間が必要でしょう?
これは患者さんによくお伝えすることなんですが、通院で治療が可能ということは普通の生活ができるということでもあるんです。激しい運動を控えるとか、目を触らない、目薬をきちんとさすといった注意事項をきちんと守っていただければ、手術当日から普通に生活することが可能です。
白内障の治療は認知症の症状改善や怪我の予防にも繋がる
先進医療施設で白内障手術を受けるメリットは何でしょう?
通常、先進医療を受けられる場合、費用は全額自己負担となります。しかし、
当院のように厚生労働省認定先進医療実施機関で
多焦点眼内レンズを用いた白内障手術を受けられた場合は、
手術前・手術後の診察及び検査、薬代などの費用は保険診療で行うことが可能です。
石﨑眼科医院で取り入れている工夫について、具体的に教えてください。
大阪や京都などの病院に劣らないレベルの高い眼科治療が受けられるよう、安全かつ効率的な手術に努めています。手術室だけでなく手術後のリカバリールーム、さらに手術前のカウンセリングルームも完備し、車いすでも移動しやすいようバリアフリーにしています。また、手術の際に家族の付き添いが必要ですが、家族が遠方に住んでいて時間が取れないといった場合、地域の自治会の方に付き添いをご協力してもらえることをご存知でない方も多いので、必要があれば、患者様にご案内することもあります。
接遇の面にも十分配慮されているとのことですね。
そうですね。これは私だけの取り組みではなく、看護師などスタッフが患者さんの生活背景などをよくヒアリングして把握するように意識しています。特に一人暮らしをされている高齢者の方が地域的に多いですから、地域に根差した診療を続けてきた当院ならではの特徴といえるかもしれません。
治療に際して先生はどんな点に最も留意していますか?
患者さんが求めておられるものに対して、ベストな解決をご提案することです。そのためには「患者さんの眼を診て」、抱えている悩みを丁寧にお伺いして、患者さんのライフスタイルに合わせた選択肢を持っていることが大切です。スタッフ一同心配りを大切にして、日々の研鑽を忘れず情報のアップデートを行っています。
これから白内障の治療を受けようと考えている方、Medical DOCのサイトを訪れている読者へのメッセージをお願いします。
白内障は放置していると確実に悪化していく病気です。視力や見え方が改善すれば、
車の運転や読書、スポーツなどの趣味が楽しめることはもちろん、認知症の症状改善や転ぶなどのケガの防止といったメリットも期待できます。
当院は
白内障手術だけでなく、硝子体手術も行っておりますので、合併症を起こした場合でも対応可能です。
加齢に伴う病気はさまざまですが、なかでも白内障は避けて通れない病気のひとつ。症状が急激に悪化する病気ではないため、一人ひとりが望む見え方やライフスタイルの違いで、手術を行うタイミングについては自分で決められることも大きな特徴です。手術技術はもちろんのこと、親身に相談にのってくれて自分のタイミングに合わせてくれる眼科専門医なら、より安全・安心に白内障手術が受けられそうです。白内障手術で見え方を改善することはアクティブな生活を取り戻すことにも繋がります。通院で受けることのできる日帰り手術であることも、経済的負担を抑えるうえで大きなメリットですね。運転しているときなど「ちょっとおかしいな」と思ったら、まずは眼科を受診してみてはいかがでしょうか。
医院情報
医療法人俊英会 石﨑眼科医院
所在地 |
〒630-8226
奈良県奈良市小西町21-2
|
アクセス |
近鉄奈良線 近鉄奈良駅 4番出口 徒歩1分 |
診療内容 |
白内障 硝子体 緑内障 一般診療 他 |