二大疾患、虫歯と歯周病から考える予防治療の重要性【足立区 ウルタ歯科医院】
更新日:2023/05/10
歯はもちろん大切にしたい。そうは思っていても、実行するのはせいぜい毎日の歯磨き程度。それ以上のケアは難しいのが多くの人の率直な思いだろう。けれども、実は忙しい人ほど歯科医へ定期健診に通い、予防に努めたほうがいいという。予防治療に力を入れている「ウルタ歯科医院」の潤田眞院長に、予防治療の大切さについて詳しくうかがった。
Doctor’s Profile
潤田 眞
ウルタ歯科医院 院長
潤田 眞
ウルタ歯科医院 院長
東京歯科大学卒業。勤務医を務めたのち、祖父の代から続くウルタ歯科医院の院長に就任。地元の患者さんを中心に長く愛される歯科医院の院長として、もう四半世紀以上。幅広い患者さんを診つつ、特に予防治療に力を入れている。
歯磨きをきちんとしているから安心、ではない
実際に痛みが生じるまで歯医者に行かないという人がまだまだ多いと思うんですが、予防治療の診察を受ける人は増えているんでしょうか。
だんだん増えてきていると思います。以前は、歯医者は痛くなったら行くところというイメージだったと思うんですが、予防意識は高まってきていますね。
ただ、欧米に比べるとまだ低いように思います。保険の仕組みが違って、日本では疾病があってこそ保険治療ができるという仕組みなので、お金をかけてまで歯医者に行こうとはあまりならないのかもしれません。定期健診も、保険で予防治療の診察をすることも可能なんですけれどね。
ただ、欧米に比べるとまだ低いように思います。保険の仕組みが違って、日本では疾病があってこそ保険治療ができるという仕組みなので、お金をかけてまで歯医者に行こうとはあまりならないのかもしれません。定期健診も、保険で予防治療の診察をすることも可能なんですけれどね。
虫歯が痛くなればさすがに歯医者に行きますが、歯のトラブルはそれだけではないとか。
歯周病に対する予防意識は重要ですね。歯周病の初期は自覚症状が少ないだけに、重症化してからお見えになることが多いんですよ。気づかない間に進行して、歯がグラグラになってから慌てていらっしゃっても、もう抜歯するしかないこともあります。特に虫歯がないという人は心配ですね。歯医者にかかることがあまりないでしょうから。
それでも歯石はついていますし、歯石には歯周病菌がいっぱい棲んでいます。実は、成人の80%の人が隠れ歯周病患者で、みなさん知らないうちに歯周病になっています。歯周病はほとんどの人にとって他人事ではないんですよ。
それでも歯石はついていますし、歯石には歯周病菌がいっぱい棲んでいます。実は、成人の80%の人が隠れ歯周病患者で、みなさん知らないうちに歯周病になっています。歯周病はほとんどの人にとって他人事ではないんですよ。
どれだけ丁寧に歯磨きをしていても、防ぐことはできないんですか。
それは難しいと思います。ちょっと変なたとえですが、キッチンを毎日使っていたら、どれだけ完璧に掃除していても、汚れを防ぎ切ることはできないですよね。どうしても汚れがたまってきてしまいます。そこで、プロのお掃除を頼めば、きれいにしてくれるわけです。それが歯医者さんの予防治療みたいなものなんです。
毎日の掃除(=歯磨き)はもちろん必要なんですけど、それでも取れない汚れ(=歯石)が出てくるから、それはプロ(=歯医者)に頼んできれいにしてもらおうということです。
毎日の掃除(=歯磨き)はもちろん必要なんですけど、それでも取れない汚れ(=歯石)が出てくるから、それはプロ(=歯医者)に頼んできれいにしてもらおうということです。
1日3回食後にきっちり磨いてるから私は大丈夫、というわけではないんですね。
そもそも歯ブラシでは歯垢は取れても歯石は取れません。それを放っておくと歯周ポケットが深くなっていって、やがて歯ぐきが腫れたり、膿が出たりし始めるんですけれど、体調がよくなると症状が治まったりするんですね。すると治ったと思ってしまいがちですが、実はどんどん進行しているんです。
虫歯に関しても、一度悪くなると決してもとには戻りません。小さな虫歯でも、それができてしまえば、その後どれだけ丁寧に歯を磨き続けたとしても治るわけではないんです。
虫歯に関しても、一度悪くなると決してもとには戻りません。小さな虫歯でも、それができてしまえば、その後どれだけ丁寧に歯を磨き続けたとしても治るわけではないんです。
トータルで見れば、予防治療に力を入れるほうが楽でお得
そこで大切になるのが予防治療ということ。
そうです。口の中の二大疾患、虫歯と歯周病を主に防ぐために予防治療では診察するんですね。虫歯については、まず虫歯があるかないかを診ます。小さい虫歯だと気づかないこともあるので、それを見つけるんです。
歯周病の診察では、歯周ポケットの深さを計ったり、歯石を取ったりします。そういったことを定期的にしておくことで、歯周病が悪化するのを防げるんです。
歯周病の診察では、歯周ポケットの深さを計ったり、歯石を取ったりします。そういったことを定期的にしておくことで、歯周病が悪化するのを防げるんです。
忙しいとついつい足が遠のきがちですが、定期的に予防治療に行くほうが、結果的には負担は軽くなるそうですね。
予防治療では文字通り虫歯や歯周病を予防する、ということなんですね。
過去に経験があるかもしれませんが、歯が一度悪くなって、削ったり神経を抜いたりしたら、決してもとには戻りません。それは、人工的なもので補わなければいけないんです。でも人工的なものは必ず劣化しますし、虫歯になったとういうことは気をつけていないと再発するリスクも高くなります。そこで、人工的なものの経過を見るのも予防治療の大切なことなんです。
神経を抜くと痛みが感じられなくなってしまうんですね。痛みは危険信号です。それが感じ取れなくなるということなので、歯や口の中にトラブルが発生していても気づけなくなりますし、それはとても怖いことなんですよ。ですから予防治療で、状態を定期的に確認することが大切です。
神経を抜くと痛みが感じられなくなってしまうんですね。痛みは危険信号です。それが感じ取れなくなるということなので、歯や口の中にトラブルが発生していても気づけなくなりますし、それはとても怖いことなんですよ。ですから予防治療で、状態を定期的に確認することが大切です。
定期健診は、どれぐらいの頻度で受ければいいのでしょうか。
人によって異なります。当院に初診でいらしたときは、前回に歯医者で診察を受けたときからどれぐらい期間が空いているかを把握した上で、だいたい最初は3カ月を目安にします。
次にいらっしゃって、また歯石がかなりついていたりすると、「心配だから1カ月、2カ月後にしましょう」ということもあります。逆に、3カ月経ってもきれいで、自己管理でまかせられる方はもうちょっと延ばしてもいいと思うんですね。
人それぞれ、歯磨きの上手な方やそうでもない方、歯磨き習慣のある方ない方いろいろなので、何カ月ごとに定期的にとはなかなか決められません。そこを探っていくのも歯科医の役割だと思っています。期間は人それぞれ違うし、その人に合った期間で来院していただきたいですね。
次にいらっしゃって、また歯石がかなりついていたりすると、「心配だから1カ月、2カ月後にしましょう」ということもあります。逆に、3カ月経ってもきれいで、自己管理でまかせられる方はもうちょっと延ばしてもいいと思うんですね。
人それぞれ、歯磨きの上手な方やそうでもない方、歯磨き習慣のある方ない方いろいろなので、何カ月ごとに定期的にとはなかなか決められません。そこを探っていくのも歯科医の役割だと思っています。期間は人それぞれ違うし、その人に合った期間で来院していただきたいですね。
できることなら頻度は少ないほうがありがたいところです。
それはもちろんそうですよね。できるだけ頻度を少なくできるように、セルフケアのアドバイスをして、できるだけ自分でケアできるようにモチベーションを上げてあげることも、歯科医にとって大切なことだと思っています。
歯科医と患者、二人三脚で大切な歯を守る
ウルタ歯科医院に予防治療で来院したときの処置の流れを教えてください。
まずはどの程度歯周病が進行しているのかを診ます。歯周ポケット検査をしたり、出血や腫れの有無を調べたりして、どういう状態になっているか、歯石がついている箇所などをご説明して、患者さんにも知っていただくんですね。それから、歯石を取るとかクリーニング、ブラッシングの指導とかの、治療計画を立てて進めていきます。
虫歯に関しては、初期の虫歯や、歯と歯の間の虫歯など、まだ痛みが出る前の虫歯を見つけます。目で見てわからないところはレントゲン検査も行います。また、喫煙やお茶などで汚れた歯の表面が気になる方には、複数の歯面清掃器を使って、衛生士が歯の表面の掃除を行います。
虫歯に関しては、初期の虫歯や、歯と歯の間の虫歯など、まだ痛みが出る前の虫歯を見つけます。目で見てわからないところはレントゲン検査も行います。また、喫煙やお茶などで汚れた歯の表面が気になる方には、複数の歯面清掃器を使って、衛生士が歯の表面の掃除を行います。
予防治療の診察にあたって、心がけているのはどんなことですか。
患者さんに予防の必要性を認識していただくことですね。定期健診を習慣づけるために、歯周病の恐ろしさ、虫歯を放っておくとどうなるか知っていただくようにお話をします。
患者さんの中には歯科医まかせの人もいらっしゃいますが、毎日食べたりして歯を使うわけですし、毎日歯科医が磨いてあげることはできませんから、患者さんと歯科医が二人三脚で歯を守っていくことが必要だと思います。セルフケアとプロッフェショナルケアの両方が必要なんです。
患者さんの中には歯科医まかせの人もいらっしゃいますが、毎日食べたりして歯を使うわけですし、毎日歯科医が磨いてあげることはできませんから、患者さんと歯科医が二人三脚で歯を守っていくことが必要だと思います。セルフケアとプロッフェショナルケアの両方が必要なんです。
定期健診も必要だけれど、セルフケアも忘れてはいけないと。
毎日自分でケアをしていただいて、その結果を定期健診でチェックして、それからまた自己管理を続けていただく。セルフケアだけでは無理だから定期健診が必要だし、歯医者さんでクリーニングしてもらったからといって自分は何もしなくていいというわけにはいかないんです。ちゃんと磨けているようでも、ブラッシングの癖がついて磨けていない部分があったりするので、定期健診でそういうところをチェックしていくわけですね。
自分の歯を健康な状態で保つというのはなかなか大変ですね。
そう思われるかもしれませんが、3カ月に1回、年に4回ぐらいだけでも歯科医に定期健診に来ていただければ、歯の状態はもちろんセルフケアのチェックもするので、メリットは大きいと思います。
忙しいとなかなか定期健診に来られないというのもわかりますが、そういったところをぜひ患者さんに理解していただけるようにお話しするようにしています。もうちょっと早く歯医者に来ればよかったと、患者さんが後悔されているようなこともあるので、そういう患者さんをできるだけ少なくしたいんです。
当院ではタイミングを図って、次の定期健診の時期を手紙やお電話でお知らせするようにしています。定期健診の時期だと思い出していただいて、足を運んでもらえたらと思っています。
忙しいとなかなか定期健診に来られないというのもわかりますが、そういったところをぜひ患者さんに理解していただけるようにお話しするようにしています。もうちょっと早く歯医者に来ればよかったと、患者さんが後悔されているようなこともあるので、そういう患者さんをできるだけ少なくしたいんです。
当院ではタイミングを図って、次の定期健診の時期を手紙やお電話でお知らせするようにしています。定期健診の時期だと思い出していただいて、足を運んでもらえたらと思っています。
最後に、Medical DOCの読者にメッセージをお願いします。
当院にいらした方には予防の大切さをお伝えして、痛くなったら歯医者に行くという認識を変えるお手伝いができればと思っています。そこで定期的に来るようになっていただけるとうれしいですし、そういう方が増えればもっといいのではないかと思っています。
天然の歯で噛めるというのはすごく大切なことで、全身疾患や、お年寄りでは認知症にも関わってきます。自分の歯を残すためにも予防治療はすごく大切なので、その手助けができれば何よりかなと思っています。
天然の歯で噛めるというのはすごく大切なことで、全身疾患や、お年寄りでは認知症にも関わってきます。自分の歯を残すためにも予防治療はすごく大切なので、その手助けができれば何よりかなと思っています。
編集部まとめ
予防治療の大切さがとてもよくわかるインタビューでした。また、歯医者さんに定期的に通っておくことが、結果的には時間的にも金銭的にも負担が軽くなることも、より多くの人に知っていただきたいことです。虫歯は早期発見であれば治療期間も短くなり、特に忙しい人にはメリットは大きいはず。また自覚症状の少ない歯周病も積極的に診てもらって、歯を失うまで悪化するのは避けたいものです。とはいえ、人それぞれの事情で普段の生活の中に定期健診を組み込むのは難しい面もあるかもしれません。そこで、丁寧にしっかりサポートしてくれる歯科医院を選びたいものです。
医院情報
ウルタ歯科医院
所在地 | 〒120-0034 東京都足立区千住3-50 |
アクセス | JR・東京メトロ・東武鉄道・つくばエクスプレス 北千住駅 徒歩5分 |
診療内容 | 歯科一般 小児歯科 予防治療 審美治療 入れ歯(義歯) |