高齢化対策も早めの歯科治療から。まずは、多角的に検討した結果の、安心のインプラント実施へ【入間市 えんどう歯科医院】
埼玉県西部地域で多くの信頼を集める「医療法人清真会」の遠藤学理事長は、インプラントの専門医であることに加え、先進技術や知識を取り込むことにも余念がない。大学病院並みの手術室と機材を揃え、口腔外科・矯正歯科・小児歯科等各科の専門医を招聘し、より専門的な治療にも対応している。また、小児・マタニティー別館には保育士が常駐しており、子育て世代が安心して治療を受けられる環境を提供している。その遠藤理事長に、インプラント治療の実際についていろいろ話を伺った。
遠藤 学
医療法人清真会 理事長
明海大学歯学部卒業。明海大学PDI埼玉歯科診療所に勤務した後、2006年にえんどう歯科医院を開院し、2021年に開院予定の成人・小児の予防を中心とした新しいスタイルの歯科医院を含め、3院の理事長を務める。
日本歯科医師会正会員、日本口腔インプラント学会専門医、京セラ社公認インプラント臨床インストラクター、米国インディアナ州立大学インプラント科研究員、日本歯周病学会会員、明海大学歯周病学講座講師、一般社団法人インプラント再建歯学研究会理事など、参加学会多数。学校歯科医として地域医療にも積極的に参加している。
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インプラントは商売上のツールではなく、患者さんの健康を支える手段のひとつ
第二の歯とも呼ばれるインプラントですが、現状の安全性やリスクについて教えてください。
現在、一般的に使用されるインプラントは、より早く強く骨と結合する性状や歯周病になりにくい構造が応用されるなど、近年の技術革新によって、私がインプラント治療を始めた約20年前と比べて、格段に信頼性が向上し、安心して治療が受けられるようになりました。
自分の歯のようにしっかり噛めることは、インプラントの基本的かつ重要なメリットですね。その点では、患者さんのお口の状況に適合さえしていれば、多くの歯科医が推奨する治療法であるのも当然です。
ただ、それでもリスクがなくなったわけではありません。実際、手術トラブルや術後の炎症によるインプラントの失敗などがたびたび報道され、インプラントに対してネガティブなイメージが広がってしまいました。それが原因でインプラント治療を躊躇される患者さんがいるのも事実です。
治療のリスクを軽減する方法はありますか?
先生は安易にインプラントをすすめることには反対のお立場ですか?
インプラント治療を長持ちさせるポイントを教えてください。
これはインプラントに限らず、歯科治療全般で大事なことなのですが、「早期発見早期治療」に尽きると考えています。私の専門は歯周病なので、歯を失わないよう口腔内の改善対策を講じるのが仕事ですが、例えば歯周病が進行して歯が揺れ出したら、その状態からの完全回復は不可能なのです。つまり、異常を速やかに発見し、症状が出る前の段階から治療を始めるしかないということです。
歯が揺れ始めたからといって、患者さんご自身はまだ治療が必要だという自覚もないでしょう。ですから、その時点で来院される方は少ないと思います。でも、そういう早期段階から予防や治療を始めることが、すべての歯科治療の最善策であり、だから検診が大切なのです。早ければ早いほど、治療は成功することを覚えておいていただきたいですね。
インプラント治療において、力を入れている2つの大事なこと
その手順や治療で、先生が特に力を入れているのは、どんな点でしょうか?
インプラント治療で、私がとりわけ力を入れていることは2つあります。ひとつ目は、医科レベルの手術環境であるということ。当たり前に聞こえるかもしれませんが、案外これがおろそかにされているのが一般的な歯科医院の現状です。当院では専用の手術室を設けており、空気・水・手術器具といった手術環境をウイルス・細菌から守る万全のシステムを用意しています。これにより安心して治療や手術を受けていたけるわけです。
2つ目は、患者さんが十分に理解できる説明をすることです。素人である患者さんにとって、歯科医の話は難解です。聞いてわかったようなつもりになっても、実際にはちゃんと理解できていない場合が多くあるように思います。
ですから、治療内容の説明には極力専門用語の使用は避け、疑問点を明らかにするようなやりとりを交えてじっくりと丁寧に説明します。こうすることで、患者さんも心底から納得し、不安を払拭できるでしょう。
このようなコミュニーケーションには手間がかかりますが、結果的に相互理解が生まれます。たとえリクスの多いケースでも、決して患者さんを見放さず、最善の治療に導いていけるという自信を持っています。
必要なのは健康寿命を支える治療。それには状況をトータルで捉え、先が見通せる歯科医にまかせること
歯科の分野でも、高齢者対策が責務となっていくと聞きました。
そうなんです。現在、女性の約半数が90歳を超えて生存しますが、その内の20%の方が寝たきりだそうです。そして寝たきり老人の死因として「誤嚥性肺炎」が大きな問題となっています。誤嚥性肺炎の最大の原因は口腔内細菌なんです。実は清掃状況の悪いインプラントが問題になっているケースもあります。ですから先々を見通して、ライフステージに合わせてインプラントの上物の形を状況に応じて最適な形態に変化させることを予め想定しながら治療を行う必要があるんです。
将来を完全に予測することはできません。しかし、可能な限り多くの場面を想定し、それに対して対応できるようにインプラントを含めた歯科治療について計画を立てることがこれからの歯科治療では重要になってくるのではないかと考えています。
そのとき、ポイントとなることは何かありますか?
私が心がけているのは、歯1本を診るのではなくて、28本の歯牙、周囲組織も含めて1つの「口腔」という器官として捉え、さらには全身の健康状態や患者さんの状況を含め「トータルで人を診る」ということです。例えば、骨粗しょう症や糖尿病や高血圧症はインプラント治療のリスクになりますし、逆に歯周病が重大な全身疾患を引き起こす可能性もあります。
歯の疾患は寿命に直結する原因ではありませんが、患者さんの5年後、10年後の健康に影響を与えることは確実です。ですからそれを見通せば、現状で歯の治療をすることが何よりの健康維持の対策に違いないのだと思います。
それでは最後に、このサイトを訪れた読者へのメッセージをお願いします。
今や100歳まで生きる時代です。健康寿命を延ばすためにも歯の健康は欠かせません。特に中高年世代の皆さんには、目の前の治療だけではなく、将来に向けた的確な治療を受けることを考えて頂きたいと思っています。
これからの歯科医は、患者さんの長い人生に寄り添い、最善なサポートを行うために、先を見据えた「トータルで人を視る」技術が求められていると思います。患者さんは信頼できる歯科医と巡り合うことで長期間に渡り、しっかり噛んで食べることができ、健康寿命も保たれるというわけです。そのように過ごすことができれば、100歳時代を生きるのも怖くないでしょう。