【この時期注意】「寒い時に頭痛がする」原因はご存知ですか?対処法も医師が徹底解説!
寒い時に頭痛がするとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
村上 友太(東京予防クリニック)
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。
目次 -INDEX-
「寒い時に頭痛がする」時の症状で考えられる病気と対処法
かき氷などの冷たい食べ物を急いで食べて頭痛を感じた経験はありませんか。食べ物ではなくても、気温が下がった日や気圧が低い日など、季節の変わり目などに頭痛を感じる方は多くいらっしゃると思います。
ご自身の頭痛の特徴を知ることは、治療や予防を行ううえで重要です。お薬を使った予防方法だけではなく、普段の生活習慣での工夫によって頭痛を予防することが可能です。
本記事では寒さや冷たさが関連する頭痛の特徴について解説いたします。
寒い時に頭痛がする症状で考えられる原因と対処法
寒い時に頭痛の症状だけがある場合には、寒冷刺激による頭痛が疑われます。
寒冷刺激による頭痛とは、寒い環境にいたり冷たいものを摂取したりすることで発症する頭痛のことです。具体的には、寒い日に屋外へ外出して冷風が頭に当たったり冷気を吸い込んだりすること、かき氷などの冷たいものを食べたりすることによって頭痛が出現することがあります。寒さや冷たさが刺激となるようなエピソードがあれば、この頭痛である可能性が高まります。寒暖差がある環境や冷たいものを食べると頭痛が出やすいというパターンがわかっていれば、その対策をとることで頭痛の軽減を図ることができます。
寒い時に肩こりと頭痛がする症状で考えられる原因と対処法
寒い時に頭痛だけではなく、肩こりも強く、首まわりも重く感じるような症状がある場合には、緊張型頭痛が疑われます。
緊張型頭痛では、頭全体が締め付けられるような痛みや重い感じなどの違和感を感じます。首の後ろや肩まわりの筋肉のコリやストレス、疲れなどによって頭痛が出現します。肩や首こりの改善には、緊張した筋肉を温めて緩めることが効果的です。寒さは筋肉を緊張させる方向へ作用するため、首周り肩周りを温めることやストレッチなどの運動を行うことが頭痛対策となります。
セルフケアでも頭痛の症状が改善しない場合には脳神経内科、脳神経外科、頭痛外来を受診して相談しましょう。
寒い時に頭痛がして熱がある、体がだるい症状で考えられる原因と対処法
寒い時に頭痛だけではなく熱や体のだるさといった症状がある場合には、風邪症候群(風邪、感冒)が疑われます。
一般的に、風邪をひきやすいのは寒い時期です。発熱や咳や痰などの症状だけではなく、頭痛や関節痛を強く感じる場合もあります。インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスなどのさまざまなウイルス感染症で発症する可能性があります。症状に合わせた薬を使うことも良いのですが、多くの場合、発熱期間は3−4日間以内であり体力回復とともに自然に治ります。頻度は低い疾患ではありますが、注意すべき疾患には髄膜炎が挙げられます。風邪とは違って、数日間で自然に改善することはありません。細菌やウイルスなど感染症が主な原因で、脳脊髄の周りを覆う膜(髄膜)に炎症を起こします。主な症状は首の後ろの痛み、硬さ、頭痛、発熱です。
感冒の場合は、発熱だけではなく倦怠感や関節痛など頭痛以外にもさまざまな症状があります。症状が辛い場合には内科を受診すると良いでしょう。
すぐに病院へ行くべき「寒い時の頭痛」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
いつも寒い時や冷たさによって頭痛があり対応に困っている場合は、脳神経内科や脳神経外科へ
寒冷刺激による頭痛は、もともと片頭痛がある場合に起こりやすいといわれています。
片頭痛は日常生活動作によって痛みが悪化することがあり、寝込んでしまったり頭痛が起こると困るということで予定が立てづらくなったりすることがあります。慢性的な頭痛の中でも、生活への支障度が高い頭痛であることから早めに予防策を立てることが重要です。緊急で受診する必要はありませんが、一度脳神経内科や脳神経外科、頭痛外来を受診して相談するのが良いと思います。
受診・予防の目安となる「寒い時に頭痛がする」症状のセルフチェック法
- 寒い時に頭痛がする以外に首周りや肩がこっている場合
- 寒い時にはいつも頭痛がする場合
「寒い時に頭痛がする」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「寒い時に頭痛がする」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
寒冷刺激性頭痛(寒冷刺激による頭痛)
寒冷刺激性頭痛(寒冷刺激による頭痛)とは、頭部に外部から当てられた冷たいものの摂取することによってもたらされる頭痛のことを言います。
例えば、アイスクリームやかき氷を急いで食べた時にキーンとこめかみの部分などが痛くなった経験がある方は多いと思います。冷たい食べ物や空気による刺激は、顔の感覚を担当している三叉神経に伝わって、この刺激が痛みとして感じられることで頭痛を引き起こすと考えられています。この頭痛は両側の前頭部や側頭部に見られることが多く、また、片頭痛のある人に多い症状であることも知られています。
急激な温度変化が原因となるため、可能な限り冷たい刺激や寒暖差を避けることが頭痛の発症を減らすことにつながります。冬は部屋全体を適切な温度に温めることや、外出時には防寒対策を行うことが対策となります。かき氷を食べたい場合はゆっくり食べることで、急いで食べる時よりも頭痛が起こりにくくなるかもしれません。
片頭痛
片頭痛は、脳の血管が広がってズキンズキンと拍動する頭痛を起こし、日常生活に大きな支障をきたす病気です。女性に多く若年者層にもよく見られる頭痛として知られており、寝込むほどの強い痛みがあり動けなくなる人もいます。頭痛の前兆として光やギザギザが見えたり(閃輝暗点)、吐き気や嘔吐を伴ったり、光や音に過敏になったりすることが特徴的な症状です。気温や気圧が低下する日や季節の変わり目の時期に頭痛症状が悪化することもあります。
特徴的な頭痛症状があれば片頭痛の可能性が高く、痛み止めを用いた治療を行います。ただし、痛み止めを服用するタイミングによっては痛みがなくならないこともあるため、頻度が高い場合には予防療法を行います。2021年より処方可能になった注射製剤であるCGRP関連予防薬は発作予防の有効性が高いためよく使われています。慢性化すると薬が効かず、緊張型頭痛の痛みとほとんど区別がつかなくなり治療に時間がかかってしまうので、早めから専門医による治療を受けることをお勧めします。脳神経内科や脳神経外科、頭痛外来などでご相談ください。
緊張性頭痛
緊張型頭痛は、慢性頭痛のなかでも最も多い病気で、頭の周りが締めつけられるように痛くなる頭痛症状が特徴的です。スマホの操作やデスクワークによる長時間の同じ姿勢、肩や首のコリ、ストレス、疲れなどが原因で、首筋の筋肉が緊張して血流が悪くなり疲労物質が筋肉内にたまって痛みが出現すると考えられています。
頭が重く感じたり、頭痛とともにめまいや吐き気を生じたりすることもあります。体を動かすと少しは楽になりますが、1週間程度にわたり頭痛症状が続くこともあります。
痛みを緩和する治療をしながら、発作を予防していくことが重要です。頭痛の緩和には一般的な痛み止めが効果的です。まずは市販の鎮痛薬を試してみましょう。また、頭痛の予防には、日常生活で首の筋肉に負担がかからないような姿勢をとることや、軽い運動やマッサージを行うことなどが良いでしょう。疲れをため込まないこと、睡眠時間を十分に確保することも大切です。睡眠での問題を抱えている場合には、頭痛の問題とともに相談することをお勧めします。脳神経内科、脳神経外科、頭痛外来で相談しましょう。
風邪やインフルエンザ
風邪症候群(風邪)とは、鼻や喉などの急性の炎症状態のことを指します。ウィルス感染が原因で自然に治ることがほとんどです。低い温度ではウイルスの活動性が増すことなどから、寒い時期に風邪をひきやすいと考えられています。風邪は、鼻水や喉の痛み、咳、痰といった鼻や喉の症状以外にも発熱や頭痛、だるさなど全身の症状も出現することが多くあります。いわゆる慢性的な頭痛では頭痛の症状が特に強く感じられるのに対して、風邪にともなう頭痛は、全身のいろいろな症状が見られるため区別できます。
風邪症状を生じるウイルスの中でも、インフルエンザウイルスによる感染症は、38度前後の発熱が3日間程度続いて、喉の痛み、咳、倦怠感、筋肉痛、関節痛、頭痛などの症状を認めることが典型的です。日本では冬に流行することが多く、ワクチンを打つことで重症化を防ぐことができます。インフルエンザウイルス感染症では発症してから48時間以内に抗インフルエンザウイルス薬を使用すると、速やかに症状が緩和される効果があります。
もともと持病がない場合には体力が回復するのと同時に症状が改善することが多いのですが、何らかの基礎疾患があり症状の悪化が心配される場合や、辛い症状が続いて水分や食事も取りづらいような場合には、早めに内科を受診することをお勧めします。
「寒い時に頭痛がする」症状の正しい対処法は?
ご自身の頭痛の特徴をとらえることが対処法につながると思います。
冷たい食べ物を急いで食べて痛みが出るならばゆっくり食べること、気温が下がった日に外出する際には頭痛が悪化する場合には寒さ対策を十分に行うこと、季節の変わり目であれば時期的に早めから対策しておくことなどです。
普段からあまり運動していない場合には、肩や首まわり、背中などが凝っている可能性もあります。寒さによって筋肉が緊張しやすくなって頭痛につながってしまう可能性もあるので、短時間でも良いので普段から体を動かしておく習慣を持つようにしましょう。肩甲骨を意識して肩を回すようなストレッチや、ゆっくりお風呂につかること、ネックウォーマーを使うことなども効果的です。睡眠をしっかりとることで疲れを残さないことも重要です。眼精疲労もある場合には、ホットアイマスクの使用も試してみてください。
生活習慣を見直してセルフケア対策をして、さらに市販薬を服用しても頭痛が改善しない場合には医療機関で相談してください。痛みが改善しないからといって、痛み止めの薬をなん度も飲んでいる場合には、薬が効きづらくなり、むしろ痛みが悪化することもあるため注意が必要です。長期間にわたり頭痛薬を月10日以上服用している場合には早めに医療機関で相談してください。
特に片頭痛がある場合には、発作予防の注射薬は有効性が高いため、その予防薬の使用をお勧めしています。頭痛で寝込んでしまうレベルの方はもちろん、頭痛があることを気にして生活している方には、予防療法をしっかり行うことが重要です。
「寒い時に頭痛がする」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「寒い時に頭痛がする」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
寒さからくる頭痛に効果がある食べ物はありますか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
予防効果のある食べ物としては、体を温める目的で生姜やネギ、ニンニクなどは良いかもしれません。また、栄養素としてマグネシウムやビタミンB2は頭痛予防によいとされています。マグネシウムは、海藻類や玄米、ナッツ類などに多く含まれており、ビタミンB2は、青魚や豚肉、卵などに多く含まれているので、普段の食事に参考にするのも良いかと思います。
寒い時の頭痛に効果があるツボはありますか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
片頭痛がある場合には、こめかみの後ろ側にある頭維というツボを刺激するのが効果的であると言われています。また、緊張型頭痛がある場合には、首や肩のコリなどに効果的な後頭部にある天柱というツボや、首と肩の中間にある肩井というツボを刺激するのも効果的であると言われています。片頭痛や緊張型頭痛が寒い時に悪化する場合には、これらを試してみるのも対処法の一つとして考慮して良いでしょう。
まとめ 寒い時の頭痛が続く場合は脳神経内科や脳神経外科を受診!
寒さや冷たさで頭痛を感じることを何度か繰り返しているうちに、ある程度痛みの出現するパターンが見えてくると思います。寒冷刺激に対する対応を取るなど、自分で対策をしても頭痛症状が改善しない場合には、一度脳神経内科や脳神経外科、頭痛外来を受診して相談するのが良いと思います。なお、発熱や喉など風邪が疑われる症状を伴う場合には、風邪に伴う頭痛であることが考えやすいので、まずは内科で相談することが良いでしょう。
「寒い時に頭痛がする」症状で考えられる病気
「寒い時に頭痛がする」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
内科の病気
- 風邪症候群(風邪、感冒)
寒い時に頭が痛くなる症状は、生活習慣の中で工夫することや薬などで予防できる頭痛もありますが、一般的な風邪症状でも出現すると思われます。症状が改善しない場合は、医療機関を受診してください。
「寒い時に頭痛がする」に似ている症状・関連する症状
「寒い時に頭痛がする」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 拍動性の頭痛
- 差し込むような頭痛
- 締めつけられるような頭痛
- 頭が重い感じ
- 首周りの違和感
「寒い時に頭痛がする」症状の他にこれらの症状がある場合、「緊張型頭痛」「片頭痛」「寒冷刺激による頭痛」「風邪(感冒)」などの疾患の可能性が考えられます。自分で対策をとっても症状が改善しない場合には、早めに医療機関を受診しましょう。