大人の喘息を診断するために行われる「4つの検査」を詳しく紹介【医師解説】

成人の喘息を正確に診断するには、症状の問診だけでなく客観的な検査が欠かせません。他の呼吸器疾患との鑑別や重症度の評価のために、呼吸機能検査や血液検査、画像検査などが行われます。ここでは、それぞれの検査の内容と、診断においてどのような役割を果たすのかを解説します。

監修医師:
松本 学(きだ呼吸器・リハビリクリニック)
大人の喘息における診断と検査
成人の喘息診断では、症状の聴取に加えて客観的な検査が重要です。他の呼吸器疾患との鑑別や重症度の評価のために、いくつかの検査が行われます。
呼吸機能検査と気道過敏性試験
喘息の診断において最も基本的な検査が呼吸機能検査(スパイロメトリー)です。この検査では、息を思い切り吸い込んでから一気に吐き出すことで、肺活量や気道の狭窄の程度を測定します。喘息の方では、息を吐き出す速度や量が低下していることが確認できます。また、気管支拡張薬を吸入した後に再度測定し、数値が改善するかどうかを確認することで、気道の可逆性(元に戻る性質)を評価します。可逆性が認められれば、喘息の診断を支持する重要な所見となります。さらに、気道過敏性試験では、メタコリンやヒスタミンといった物質を吸入して気道の反応性を調べます。喘息の方は健康な方よりも低濃度の刺激で気道が収縮するため、過敏性の程度を客観的に評価できます。この検査は発作を誘発する可能性がありますが、専門的な医療機関で医師の厳重な管理のもと、安全に十分配慮して実施されます。
血液検査と画像検査による鑑別診断
血液検査では、アレルギー反応に関与するIgE抗体の値や、好酸球という炎症細胞の数を測定します。これらの値が高い場合は、アレルギー性の炎症が喘息に関与している可能性が高いと判断されます。また、特異的IgE抗体検査によって、ダニや花粉、ペットなど具体的なアレルゲンを特定することもできます。胸部X線検査やCT検査は、肺炎や肺がん、COPDといった他の呼吸器疾患を除外するために実施されます。喘息そのものは画像検査で特徴的な所見を示すことは少ないですが、長期間放置された重症喘息では気道壁の肥厚などが確認されることもあります。呼気中の一酸化窒素(FeNO)濃度を測定する検査も、近年普及してきました。これは呼気中に含まれる一酸化窒素量を測定することで、気道の炎症の程度を数値化する身体的負担の少ない検査です。気道の好酸球性炎症の程度を反映する指標として、診断や治療効果の判定に活用されています。
まとめ
気管支喘息は大人になってから発症することも多く、初期症状は風邪と似ているため見逃されがちです。長引く咳、夜間や早朝の咳き込み、息苦しさ、呼吸時の喘鳴といったサインに気づいたら、早めに呼吸器内科やアレルギー疾患内科を受診しましょう。適切な診断と治療により、症状をコントロールして生活の質を維持することができます。喘息は慢性疾患であり、長期的な管理が必要ですが、吸入ステロイド薬を中心とした治療と生活習慣の改善によって、多くの方が日常生活を快適に送れるようになります。自己判断で治療を中断せず、定期的に医師と相談しながら、自分に合った治療計画を続けていくことが大切です。




