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『痛み止め』の“飲み過ぎ”を長く続けるとどうなる? 知っておきたい「腎臓」への影響

 公開日:2026/03/19
『痛み止め』「腎臓」への影響

痛み止めを安全に使用するためには、適切な頻度と間隔を守ることが不可欠です。市販の痛み止めは製品によって用法・用量が異なりますが、一般的に1日2回まで、服用間隔は4時間以上あけることが推奨されています。また、市販薬を自己判断で継続して使用できる期間は3〜5日程度までが目安とされており、それ以上症状が続く場合は医療機関を受診して原因を確認することが大切です。痛み止めの使用を最小限に抑えるには、規則正しい生活リズムの維持や痛みの記録をつけるなど、薬以外の方法も取り入れることが有効といえます。

佐孝 尚

監修薬剤師
佐孝 尚(薬剤師)

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経歴
北海道医療大学薬学部 卒業 現在はセンター薬局グループに薬剤師として勤務しながら株式会社イヤクルを創業。不動在庫医薬品取引プラットフォームアプリ【イヤクル】を運営。

保有免許・資格
薬剤師免許

痛み止めの適切な使用頻度と服用間隔

痛み止めを安全に使用するためには、適切な頻度と間隔を守ることが不可欠です。痛みがあるたびに安易に服用するのではなく、用法用量を正しく理解し、必要な時にだけ使用する姿勢が大切といえます。

一般的な痛み止めの使用基準

市販の痛み止め(NSAIDs)は、製品によって用法・用量が異なりますが、一般的に成人(15歳以上)では1回1錠、1日2回まで(症状が再発した場合のみ3回目を服用可)、服用間隔は4時間以上あけることが推奨されています。一方、医療機関で処方されるロキソプロフェン(ロキソニン)は、通常1回60mgを1日3回まで(最大180mg)服用します。いずれの場合も空腹時の服用は避け、用法・用量を守ることが重要です。服用間隔が短すぎると血中濃度が上昇し、副作用のリスクが高まります。
また、市販薬を自己判断で継続して使用できる期間は、おおむね3〜5日程度(または5〜6回の服用)までが目安とされています。それ以上症状が続く場合は、背景に別の疾患が隠れている可能性もあるため、医療機関を受診して原因を確認することが大切です。

使用頻度を減らすための工夫

痛み止めの使用を最小限に抑えるには、痛みが出る前の対策や、薬以外の方法も取り入れることが有効です。頭痛であれば、規則正しい生活リズムの維持、十分な睡眠、水分補給、ストレス管理などが予防に役立ちます。生理痛の場合は、身体を温めたり、適度な運動をしたりすることで症状が軽減される方も少なくありません。
痛みの記録をつけることも有効な方法です。いつ、どのような状況で痛みが出るのか、何が引き金になっているのかを把握することで、痛みのパターンが見えてきます。そうした情報をもとに生活習慣を調整することで、痛み止めに頼る頻度を減らせる可能性があります。

腎臓の働きと痛み止めの影響メカニズム

腎臓は身体の中で老廃物をろ過し、尿として排出する重要な臓器です。痛み止めが腎臓に与える影響を理解するには、まず腎臓の正常な働きについて知っておく必要があります。

腎臓の基本的な機能

腎臓は左右に一つずつあり、それぞれに約100万個のネフロンと呼ばれる濾過装置が存在します。血液は腎臓を通過する際にこのネフロンでろ過され、身体に必要な物質は再吸収され、不要な老廃物や余分な水分は尿として排出されます。1日に約150リットルもの血液がろ過されており、腎臓は休むことなく働き続けているのです。
また、腎臓は血圧の調整、赤血球の産生を促すホルモンの分泌、ビタミンDの活性化、体内の水分や電解質のバランス維持など、多岐にわたる役割を担っています。そのため、腎機能が低下すると全身にさまざまな影響が現れます。

痛み止めが腎臓に影響を与える仕組み

NSAIDsは、腎臓内の血流を調整するプロスタグランジンの生成を抑制します。プロスタグランジンは腎臓への血流を維持する働きがあるため、これが減少すると腎臓への血液供給が不十分になり、ろ過機能が低下してしまいます。特に高齢の方や脱水状態の方、もともと腎機能が低下している方では、この影響がより顕著に現れる傾向があります。
長期間にわたって痛み止めを使用すると、腎臓の組織そのものにダメージが蓄積されることがあります。これは「鎮痛薬性腎症」と呼ばれる状態で、腎臓の間質という部分に炎症や線維化が起こり、徐々に腎機能が失われていきます。初期には自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行していることも少なくありません。

まとめ

痛み止めは日常生活で頼りになる薬ですが、飲み過ぎによる腎臓への影響をはじめとした副作用のリスクを理解し、適切に使用することが不可欠です。特に長期間の使用や高頻度の服用は、腎機能障害や薬物乱用頭痛など深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。自分の身体の状態を把握し、用法用量を守り、必要に応じて医療機関を受診することが大切でしょう。痛みが続く場合は、痛み止めに頼るだけでなく根本原因を探り、総合的なアプローチで対処することをお勧めします。

この記事の監修薬剤師

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