『睡眠時無呼吸症候群』の治し方とは? 原因別の治療法を解説【医師解説】

睡眠時無呼吸症候群の治療は、重症度や原因に応じてさまざまな方法があります。診断から治療開始までの流れを理解し、ご自身に適した治療法を選択することが大切です。中等症から重症の場合は、CPAP療法が標準的な治療法となります。また、生活習慣の改善は軽症の場合だけでなく、他の治療法と併用する形でも推奨されます。本記事では、診断から治療開始までの流れ、CPAP療法の詳細、そして体重管理や睡眠環境の工夫など生活習慣改善のポイントについて解説します。

監修医師:
松本 学(きだ呼吸器・リハビリクリニック)
目次 -INDEX-
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方の基本
睡眠時無呼吸症候群の治療は、重症度や原因に応じてさまざまな方法があります。
診断から治療開始までの流れ
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、まずは睡眠の専門医療機関や呼吸器内科、耳鼻咽喉科などを受診します。初診では、いびきや日中の眠気などの症状、睡眠習慣、既往歴などについて詳しく問診が行われます。その後、睡眠時無呼吸症候群の有無や重症度を調べるために、睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)や簡易型検査が実施されます。簡易型検査は自宅で行えるもので、鼻と指にセンサーを装着して睡眠中の呼吸状態や酸素濃度を測定します。より詳しい評価が必要な場合は、医療機関に一泊して行う睡眠ポリグラフ検査が実施されます。この検査では脳波、眼球運動、筋電図、心電図、呼吸状態、酸素濃度などを総合的に記録し、睡眠の質と無呼吸の程度を評価します。検査結果から、1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数(AHI)が算出され、重症度が判定されます。AHIが5回以上で症状がある場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
重症度に応じた治療の選択
治療法は、無呼吸・低呼吸の程度、症状の強さ、合併症の有無などを総合的に評価して決定されます。軽症から中等症の場合は、生活習慣の改善や口腔内装置(マウスピース)による治療が選択されることがあります。中等症から重症の場合は、CPAP(シーパップ)療法と呼ばれる持続陽圧呼吸療法が標準的な治療法となります。気道の狭窄が扁桃肥大や顎の形態異常などの構造的な問題による場合は、外科的手術が選択肢となることもあります。いびきが主体で無呼吸が軽度の場合は、鼻づまりの治療や寝るときの体位を工夫することで改善が期待できる場合もあります。治療法の選択にあたっては、医師と十分に相談し、ご自身のライフスタイルや希望に合った方法を見つけることが大切です。
CPAP療法による睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方
CPAP療法は、睡眠時無呼吸症候群の治療において広く用いられている効果的な方法です。CPAP療法は、専用のマスクを鼻または鼻と口に装着し、機械から送られる空気の圧力によって気道を広げ、呼吸を確保する治療法です。睡眠中に気道が狭くなったり塞がったりするのを防ぐため、無呼吸やいびきが大幅に減少します。治療を開始すると、多くの患者さんが初日から効果を実感され、朝の目覚めがすっきりする、日中の眠気が軽減される、集中力が改善するといった変化を感じられます。継続して使用することで、血圧の改善、心血管疾患のリスク低減、生活の質の向上が期待できます。CPAP療法は対症療法であり、根本的に睡眠時無呼吸症候群を治すものではありませんが、毎晩使用することで症状をコントロールし、合併症を予防する効果があります。精密検査(睡眠ポリグラフ検査)の結果、AHIが20回以上、または簡易検査でAHIが40回以上の場合に、保険適用でCPAP療法を受けることができます。
CPAP療法の効果は高い一方で、マスクの装着感や機械音に慣れるまでに時間がかかることがあります。治療を継続するためには、自分に合ったマスクのタイプや圧力設定を見つけることが重要です。マスクには鼻マスク、鼻ピローマスク、フルフェイスマスクなどの種類があり、装着感や空気漏れの程度が異なります。使用中に不快感や問題がある場合は、遠慮せずに医療機関に相談し、調整してもらうことが大切です。マスクや機器の定期的な清掃も重要で、衛生的に保つことで快適に使用できます。また、CPAP療法を開始すると、定期的な通院が必要になります。月に1回程度の受診で、使用状況のデータ確認や圧力設定の調整が行われます。治療効果を維持するためには、毎晩4時間以上、できれば睡眠時間全体にわたって使用することが推奨されています。
生活習慣の改善による睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方
軽症の睡眠時無呼吸症候群や、他の治療法と併用する形で、生活習慣の見直しが推奨されます。
体重管理と睡眠時無呼吸症候群の関係
肥満は睡眠時無呼吸症候群の主要なリスク要因の一つです。体重が増加すると、首周りや喉の内側に脂肪が蓄積し、気道が狭くなりやすくなります。実際に、BMIが高い方ほど睡眠時無呼吸症候群の発症リスクが高いことが報告されています。体重を減らすことで、気道の周囲の脂肪が減少し、気道が広がりやすくなります。研究によると、体重を10%程度減らすことで、無呼吸の回数が30%程度減少することが示されています。減量は食事療法と運動療法を組み合わせて行うことが効果的です。急激な減量よりも、月に1~2kg程度のペースでゆっくりと体重を落とし、その状態を維持することが重要です。栄養バランスを考えた食事と、ウォーキングなどの有酸素運動を日常生活に取り入れることで、無理なく減量を進めることができます。
睡眠環境と睡眠姿勢の工夫
睡眠時の体位も、いびきや無呼吸に影響します。仰向けで寝ると、重力により舌や軟口蓋が後方に落ち込みやすく、気道が狭くなります。横向きで寝ることで、この問題を軽減できる場合があります。横向き寝を維持するためには、抱き枕を使用したり、背中にクッションを置いたりする方法があります。また、枕の高さも重要で、高すぎると首が曲がって気道が狭くなり、低すぎると頭部が後屈して同様の問題が生じます。適度な高さで首をしっかり支える枕を選ぶことが推奨されます。寝室の環境では、適切な室温と湿度を保つことも大切です。空気が乾燥していると鼻や喉の粘膜が乾燥し、いびきをかきやすくなります。加湿器を使用して湿度を40~60%程度に保つと良いでしょう。就寝前の飲酒は控えることが勧められます。また、睡眠薬の中には筋肉を緩める作用を持つものがあり、症状を悪化させる可能性があるため、自己判断での服用は避け、必ず医師に相談してください。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は、いびきや呼吸停止といった夜間のサインと、日中の眠気や疲労感という形で現れます。放置すると高血圧や心疾患などの深刻な合併症を引き起こす可能性があるため、早期の発見と適切な治療が重要です。治療法はCPAP療法、口腔内装置、外科的手術、生活習慣の改善など、重症度や原因に応じて選択されます。気になる症状がある方は、医療機関への相談をおすすめします。




