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「何」のいびきは危険? 『睡眠時無呼吸症候群』の合併症リスク【医師解説】

 公開日:2026/03/19
睡眠時無呼吸症候群の健康リスクといびき

睡眠時無呼吸症候群を放置すると、循環器系や代謝系、精神面にさまざまな影響が及ぶ可能性があります。高血圧や心疾患のリスクが高まるだけでなく、糖尿病やうつ症状を引き起こすこともあります。また、いびきは睡眠時無呼吸症候群の重要なサインの一つですが、すべてのいびきが病的なわけではありません。本記事では、睡眠時無呼吸症候群がもたらす健康リスクと、いびきが起こるメカニズムや病的ないびきの特徴について解説します。

松本 学

監修医師
松本 学(きだ呼吸器・リハビリクリニック)

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兵庫医科大学医学部卒業 。専門は呼吸器外科・内科・呼吸器リハビリテーション科。現在は「きだ呼吸器・リハビリクリニック」院長。日本外科学会専門医。日本医師会認定産業医。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が引き起こす健康リスク

睡眠時無呼吸症候群を放置すると、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。

循環器系への影響とリスク

睡眠中に繰り返される酸素不足は、心臓や血管に大きな負担をかけます。血液中の酸素濃度が低下すると、身体は酸素を全身に送ろうとして心拍数を上げ、血管を収縮させるため、血圧が上昇します。この状態が毎晩繰り返されることで、高血圧症を発症するリスクが高まります。実際に、睡眠時無呼吸症候群の患者さんの約半数が高血圧を合併しているといわれています。さらに、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、心不全、不整脈のリスクも上昇することが報告されています。脳への血流も影響を受けるため、脳卒中のリスクも高まります。これらの循環器疾患は生命に関わる重大な問題であり、早期の対処が求められます。

代謝や精神面への影響

睡眠時無呼吸症候群は、代謝系にも影響を及ぼします。睡眠の質が低下すると、食欲を調整するホルモンのバランスが崩れ、食欲が増進することがあります。これにより体重が増加しやすくなり、肥満が進行すると睡眠時無呼吸症候群がさらに悪化するという悪循環に陥る可能性があります。また、インスリンの働きが低下し、糖尿病を発症するリスクも高まるとされています。精神面では、慢性的な睡眠不足により、うつ症状や不安症状が現れることがあります。集中力や判断力の低下により、仕事や日常生活でのミスが増えたり、交通事故のリスクが高まったりすることも報告されています。

いびきと睡眠時無呼吸症候群(SAS)の関係

いびきは睡眠時無呼吸症候群の重要なサインの一つですが、すべてのいびきが病的なわけではありません。

いびきが起こるメカニズム

いびきは、睡眠中に気道が狭くなることで発生する音です。仰向けで寝ると、舌や軟口蓋(口の中の柔らかい部分)が重力によって後方に落ち込み、気道を狭めます。この狭くなった気道を空気が通過する際に、周囲の組織が振動していびき音が発生します。いびきをかく方の多くは、何らかの理由で気道が狭くなりやすい状態にあります。肥満により首周りに脂肪がつくと気道が圧迫されやすくなりますし、顎が小さい方や舌が大きい方も気道が狭くなりやすい傾向があります。加齢により筋肉が緩むことも、気道の狭窄につながります。鼻づまりがある場合は口呼吸になりやすく、いびきをかきやすくなります。

病的ないびきと単純性いびきの違い

いびきは大きく分けて、健康上の問題がない「単純性いびき」と、睡眠時無呼吸症候群に関連する「病的ないびき」に分類されます。単純性いびきは、疲労や飲酒、風邪などの一時的な要因で起こるもので、日中の症状がなく、睡眠の質にも大きな影響を与えません。一方、病的ないびきは、毎晩のように大きないびきをかき、いびきが突然止まる無呼吸のエピソードを伴うことが特徴です。無呼吸のあとに再び大きないびきをかいて呼吸を再開するパターンが繰り返されます。病的ないびきの場合、日中の眠気や倦怠感などの症状が現れ、生活の質が低下します。家族から「息が止まっている」と指摘されたり、ご自身で息苦しさを感じて目が覚めたりする場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性を考慮して医療機関への相談が必要です。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群は、いびきや呼吸停止といった夜間のサインと、日中の眠気や疲労感という形で現れます。放置すると高血圧や心疾患などの深刻な合併症を引き起こす可能性があるため、早期の発見と適切な治療が重要です。治療法はCPAP療法、口腔内装置、外科的手術、生活習慣の改善など、重症度や原因に応じて選択されます。気になる症状がある方は、医療機関への相談をおすすめします。

この記事の監修医師