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「一過性脳虚血発作(TIA)」は“脳梗塞”の前兆? 発症リスクを高める要因とは【医師監修】

 公開日:2026/03/24

TIAの発症には、さまざまな危険因子が深く関わっています。高血圧や糖尿病といった生活習慣病、心房細動などの不整脈、喫煙や運動不足といった日常の生活習慣まで、複数の要因が複雑に絡み合っています。これらの危険因子を理解し適切に管理することが、TIAの予防につながります。ここでは、発症リスクを高める主な要因について詳しく見ていきます。

田頭 秀悟

監修医師
田頭 秀悟(たがしゅうオンラインクリニック)

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鳥取大学医学部卒業。「たがしゅうオンラインクリニック」院長 。脳神経内科(認知症、パーキンソン病、ALSなどの神経難病)領域を専門としている。また、問診によって東洋医学的な病態を推察し、患者の状態に合わせた漢方薬をオンライン診療で選択する治療法も得意としている。日本神経学会神経内科専門医、日本東洋医学会専門医。

一過性脳虚血発作(TIA)の発症リスクを高める要因

TIAの発症には、さまざまな危険因子が関与しています。これらの要因を理解し、適切に管理することが予防につながります。

高血圧・糖尿病・脂質異常症との関係

高血圧は血管壁に持続的な負担をかけ、動脈硬化を進行させます。動脈硬化によって血管が狭くなったり、血栓ができやすくなったりすることで、TIAのリスクが高まります。糖尿病も血管内皮を傷つけ、血液を固まりやすくする作用があるため、脳血管障害の重要な危険因子です。脂質異常症と動脈硬化の関係については議論がありますが特にLDLコレステロール(悪玉コレステロール)とHDLコレステロール(善玉コレステロール)の比率が2.5以上となる状況の場合は、血管壁にプラーク(脂肪の沈着)を形成し、血管の狭窄や血栓形成を促進しやすいと考えられています。これらの生活習慣病は自覚症状に乏しいまま進行するため、定期的な健康診断での早期発見と適切なコントロールが不可欠です。

心房細動と心原性塞栓症

心房細動は心臓の上部(心房)が不規則に細かく震える不整脈で、加齢とともに増加します。心房細動があると、心房内の血液がよどんで血栓を形成しやすくなります。この血栓が剥がれて脳血管に流れ込むと、心原性脳塞栓症を引き起こします。心原性塞栓による脳梗塞は、血栓が大きいため重症化しやすく、後遺症が残りやすいという特徴があります。心房細動は動悸や息切れとして自覚されることもありますが、無症状の場合も少なくありません。健康診断での心電図検査や、脈の不整に気づいた際は、早めに循環器内科を受診することが大切です。心房細動と診断された場合、抗凝固療法(血液をサラサラにする薬)によって脳梗塞のリスクを大幅に減らせることが示されています。

喫煙・飲酒・運動不足などの生活習慣

喫煙は血管を収縮させ、血液を固まりやすくするため、TIAや脳梗塞のリスクを約2倍に高めるといわれています。受動喫煙も同様にリスク因子となります。過度の飲酒は血圧上昇や心房細動のリスクを高めます。適量(1日あたり日本酒換算で1合程度)を超える飲酒は控えるべきです。運動不足は肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった危険因子を悪化させます。週に150分程度の中等度の有酸素運動(速歩やサイクリングなど)が推奨されています。また、肥満、特に内臓脂肪型肥満はメタボリックシンドロームの中心的な要素であり、複数の危険因子を併せ持つ状態を作り出します。生活習慣の改善はTIA予防の基本であり、薬物療法と並行して取り組むべき重要な対策です。

まとめ

一過性脳虚血発作(TIA)は、脳梗塞への重要な警告サインです。症状が一時的であっても決して軽視せず、速やかに医療機関を受診することが、その後の重篤な脳卒中を防ぐ鍵となります。本記事で紹介した予兆症状のチェック、危険因子の管理、緊急時の対応方法を日常生活に取り入れ、ご自身やご家族の健康を守るための知識としてお役立てください。気になる症状や不安がある場合は、迷わず脳神経内科や脳神経外科の専門医にご相談ください。

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