『急性骨髄性白血病』の治療法とは? 寛解導入療法などの流れを解説【医師監修】

急性骨髄性白血病の治療は、化学療法を中心とした集学的治療が基本となります。骨髄中の白血病細胞を減少させる寛解導入療法から始まり、残存する白血病細胞を根絶するための地固め療法へと進んでいきます。ここでは、標準的な治療の流れについて解説します。

監修医師:
山本 佳奈(ナビタスクリニック)
目次 -INDEX-
急性骨髄性白血病の治療法の基本
急性骨髄性白血病の治療は、化学療法を中心とした集学的治療が基本となります。ここでは、標準的な治療の流れについて解説します。
寛解導入療法
治療の第一段階は寛解導入療法です。これは、骨髄中の白血病細胞を可能な限り減少させ、正常な造血機能を回復させることを目的とした強力な化学療法です。代表的な治療法は、シタラビンとアントラサイクリン系抗がん剤(ダウノルビシンやイダルビシンなど)を組み合わせた「3+7療法」と呼ばれるものです。
治療は通常、入院下で実施されます。抗がん剤を7日間連続で投与し、その後3〜4週間程度の休薬期間を設けます。この間に白血球や血小板が著しく減少するため、感染症や出血のリスクが高まります。無菌室や準無菌室での管理が必要となることもあり、支持療法として抗生物質の予防投与や輸血が行われます。
寛解導入療法の成功率(完全寛解率)は、年齢やリスク分類、遺伝子異常などによって大きく異なりますが、標準的な寛解導入療法を施行できる若年者では約7〜8割が完全寛解に至ると報告されています。一方、高齢者では全身状態や合併症の影響もあり、寛解率は低下する傾向があります(ELN 2022、日本血液学会2024)。完全寛解とは、骨髄中の芽球が5%未満に減少し、末梢血球数が回復した状態を指します。
地固め療法と維持療法
完全寛解が得られた後も、体内にはまだ微量の白血病細胞が残っている可能性があります。そのため、寛解後療法として地固め療法が行われます。地固め療法では、再度抗がん剤を投与して残存している白血病細胞を根絶することを目指します。通常、複数回の化学療法が繰り返されます。
地固め療法の内容は、患者さんの年齢や白血病のリスク分類によって異なります。高用量シタラビン療法は、地固め療法として広く用いられる方法です。数日間にわたって高用量のシタラビンを投与し、これを複数コースで繰り返します。治療の強度と期間は、リスク評価に基づいて調整されます。
急性前骨髄球性白血病(APL)では、オールトランスレチノイン酸(ATRA)や亜ヒ酸などを用いた治療が行われ、他のAMLとは異なる治療戦略がとられます。完全寛解後に維持療法が行われることもありますが、治療内容はリスク分類や使用するレジメンによって異なります。
一方、APL以外のAMLでは従来、維持療法は一般的ではありませんでしたが、近年は分子標的薬や経口アザシチジンなどの登場により、一部の患者さんでは寛解後維持療法が選択されるようになっています。適応は遺伝子異常や再発リスク、全身状態などを総合的に評価して判断されます。なお、リスクが低いと判断された場合には、地固め療法終了後に経過観察となることもあります。
まとめ
急性骨髄性白血病は、病型や年齢、遺伝子異常などにより予後は異なりますが、近年は分子標的薬や移植治療の進歩により、寛解や長期生存が期待できるようになってきています。気になる症状がある場合は、速やかに医療機関を受診し、血液検査を含めた詳しい評価を受けることが大切です。診断後は、専門医と十分に相談しながら、一人ひとりの状態に合った治療を選択していくことが重要です。医療の進歩により新しい治療法も登場しており、希望を持って治療に臨むことができます。まずは信頼できる血液内科を受診し、専門的な評価と治療を受けることをおすすめします。
参考文献



