『急性骨髄性白血病』の主な原因とは? 遺伝子や年齢のリスク【医師解説】

急性骨髄性白血病の発症には、遺伝子の変異や染色体の異常が深く関わっています。これらの変化は生まれつきではなく、生涯のどこかで後天的に獲得されることがほとんどです。年齢や環境要因も発症リスクに影響を与えることがわかっています。ここでは、現在わかっている主な原因について解説します。

監修医師:
山本 佳奈(ナビタスクリニック)
急性骨髄性白血病の主な原因
急性骨髄性白血病の発症には、遺伝的要因と環境要因が複雑に関与していると考えられています。ここでは、現在わかっている主な原因について解説します。
遺伝子の変異と染色体異常
急性骨髄性白血病の多くは、骨髄の造血幹細胞における遺伝子変異が原因で発症します。正常な細胞分裂や分化を制御している遺伝子に異常が生じることで、未熟な白血球が無制限に増殖するようになります。これらの遺伝子変異は、生まれつき持っているものではなく、生涯のどこかの時点で後天的に獲得されることがほとんどです。
染色体の構造異常も重要な原因の一つです。染色体の一部が入れ替わる転座、染色体の一部が失われる欠失、染色体の一部が増える重複などが知られています。特に8番染色体と21番染色体の転座(t(8;21))、15番染色体と17番染色体の転座(t(15;17))などは、特定のタイプの急性骨髄性白血病と関連があることが明らかになっています。
これらの遺伝子変異や染色体異常は、複数の変異が積み重なることで白血病の発症につながると考えられています。一つの変異だけでは発症せず、いくつかの遺伝子異常が組み合わさることで、正常な血液細胞の産生が妨げられ、白血病細胞が優位になっていくというメカニズムが提唱されています。
年齢と性別による発症リスク
急性骨髄性白血病は、年齢とともに発症率が上昇する傾向があります。特に65歳以上の高齢者では発症リスクが高くなることが知られており、年齢の中央値は60歳代後半とされています。これは、加齢とともに遺伝子変異が蓄積しやすくなることや、細胞の修復機能が低下することが関係していると考えられています。
小児でも発症することがありますが、成人と比べると発症率は低い傾向にあります。ただし、小児の急性白血病全体では、急性リンパ性白血病の方が多く、急性骨髄性白血病は約20%程度を占めるとされています。小児の場合、先天性の遺伝子異常や染色体異常が関与していることもあります。
性別による発症率の差はわずかではありますが、男性の方が女性よりもやや発症しやすい傾向が報告されています。ただし、この差は大きなものではなく、性別だけでリスクを判断することはできません。人種や地域による発症率の違いもあり、欧米と比較してアジアでは発症率がやや低いというデータもあります。
まとめ
急性骨髄性白血病は、病型や年齢、遺伝子異常などにより予後は異なりますが、近年は分子標的薬や移植治療の進歩により、寛解や長期生存が期待できるようになってきています。気になる症状がある場合は、速やかに医療機関を受診し、血液検査を含めた詳しい評価を受けることが大切です。診断後は、専門医と十分に相談しながら、一人ひとりの状態に合った治療を選択していくことが重要です。医療の進歩により新しい治療法も登場しており、希望を持って治療に臨むことができます。まずは信頼できる血液内科を受診し、専門的な評価と治療を受けることをおすすめします。
参考文献



