「低血糖症」が進行したときの症状をご存じですか? 意識を失う『無自覚性低血糖』とは?

初期症状を見逃したり適切な対処が遅れたりすると、低血糖はさらに進行し、脳の機能に影響を及ぼします。この段階では日常生活が困難になるだけでなく、場合によっては生命に関わる危険な状態に至ることもあります。進行した症状を知り、緊急時の対応を理解しておくことが重要です。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
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低血糖症の進行した症状
初期症状が見逃されたり、適切な対処が行われなかったりすると、低血糖はさらに進行し、中枢神経系に影響を及ぼします。この段階では、日常生活に支障をきたすだけでなく、生命に関わる危険性も生じるため、注意が必要です。
中枢神経系の症状
脳は糖を主要なエネルギー源としているため、血糖値が大きく低下すると脳の機能が障害されます。この段階で現れる症状は中枢神経系の症状と呼ばれ、重篤な状態を示すサインです。
頭痛、めまい、目のかすみ、複視(物が二重に見える)、集中力の低下、思考力の減退などが代表的な症状です。さらに進行すると、異常な言動や行動、意識の混濁、けいれん、昏睡といった重篤な症状が現れることがあります。
これらの症状は、血糖値がおおむね50mg/dL以下になると出現しやすくなります。ただし、症状の出現する血糖値や重症度には個人差があり、年齢や基礎疾患、低血糖の頻度によっても異なります。本人が自覚できない場合もあるため、周囲の方が異変に気づき、速やかに対処することが求められます。特に糖尿病治療中の方では、家族や職場の同僚に低血糖の可能性と対処法を事前に伝えておくことが推奨されます。
重症化のリスク
低血糖が重症化すると、意識障害や昏睡に至ることがあり、迅速な医療介入が必要になります。意識が低下している状態では、経口での糖分摂取が困難であり、誤嚥のリスクも高まります。このような場合には、救急搬送が必要です。
また、低血糖による意識障害中に転倒や事故を起こすリスクもあります。特に高齢の方では、転倒によって骨折などの二次的な障害を引き起こす可能性があり、注意が必要です。環境や活動内容によってもリスクの程度は変わってきます。
低血糖を繰り返すと、自覚症状が乏しくなる「無自覚性低血糖」が生じることがあります。これは、低血糖を繰り返すことで体が慣れてしまい、冷や汗や震えなどの前兆なしにいきなり意識を失ってしまう状態で、この状態では初期症状が現れないまま中枢神経症状が出現するため重症化のリスクが高まります。無自覚性低血糖の傾向がある方は、血糖測定の頻度を増やし、医師と相談しながら治療方針を調整することが重要です。
まとめ
低血糖症は、糖尿病治療中の方だけでなく、さまざまな疾患や生活習慣によって誰にでも起こり得る状態です。なりやすい方の特徴を理解し、原因を把握することで、予防と早期対処が可能になります。症状の兆候を見逃さず、適切な食べ物や治療によって血糖値を安定させることが重要です。低血糖を繰り返す場合や、日常生活に支障をきたす症状がある場合には、専門の医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることをおすすめします。