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女性は閉経後にリスク上昇?脂肪肝から進行する「NASH」のリスクと予防策を解説

 公開日:2026/03/15
女性は閉経後にリスク上昇?脂肪肝から進行する「NASH」のリスクと予防策を解説

非アルコール性脂肪肝の一部は、炎症を伴う非アルコール性脂肪肝炎へと進行します。この状態は肝硬変や肝がんへ発展する可能性があるため、早期の発見と適切な管理が重要となります。通常の脂肪肝とは異なる危険性を持つため、リスク要因を理解し予防に努めることが大切です。ここでは、NASHへの進行リスクと対策について詳しく紹介します。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)のリスク

非アルコール性脂肪肝の一部は、炎症を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に進行します。この状態は肝硬変や肝がんへと進展する可能性があるため、早期の発見と適切な管理が重要です。

NASHへの進行とその危険性

非アルコール性脂肪肝(NAFLD)のうち、約10〜20%がNASHに進行するといわれています。NASHでは、脂肪の蓄積に加えて肝細胞の炎症と壊死が起こり、線維化(肝臓が硬くなること)が進行します。
NASHと単純性脂肪肝との区別は、画像検査や血液検査だけでは困難です。確定診断には肝生検(肝臓の組織を採取して顕微鏡で観察する検査)が必要となります。ただし、肝生検は侵襲的な検査であるため、すべての患者さんに実施されるわけではありません。
NASHが進行すると、肝硬変へと移行します。肝硬変は肝臓の機能が著しく低下した状態で、腹水や黄疸、肝性脳症などの深刻な症状が現れます。さらに、肝硬変から肝がんが発生するリスクも高まるのです。
近年の研究では、NASHの患者さんは心血管疾患のリスクも高いことが示されています。肝臓だけでなく、全身の血管系にも影響を及ぼすため、総合的な健康管理が必要となるでしょう。

NASHの危険因子と予防策

NASHへの進行リスクが高いのは、高齢者、肥満度が高い方、糖尿病や脂質異常症を持つ方です。また、女性は閉経後にリスクが上昇する傾向があります。これは、女性ホルモンの減少が脂肪代謝に影響を与えるためと考えられています。
遺伝的な要因も関与します。PNPLA3という遺伝子の変異を持つ方は、NASHや肝硬変のリスクが高いことが報告されています。家族歴がある場合は、より慎重な経過観察が必要です。
NASHの予防には、生活習慣の改善が重要です。身体の重さを適正範囲に保つことで、肝臓への脂肪蓄積を抑えることができます。特に、現在の体重から5〜10%の減量を目指すことが推奨されています。急激な減量は逆に肝臓に負担をかけるため、ゆっくりとしたペースでの減量が望ましいでしょう。
定期的な運動習慣を持つことも効果的です。有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせることで、内臓脂肪の減少と基礎代謝の向上が期待できます。週に150分以上の中等度の運動が目安とされていますが、無理のない範囲で継続することが大切です。

まとめ

脂肪肝は、早期に発見し適切に対処すれば、改善が十分に期待できる病気です。アルコールの過剰摂取だけでなく、食生活の乱れや運動不足、肥満など、さまざまな要因が関与しています。お酒を飲まない方でも脂肪肝になる可能性があることを理解し、日頃から健康的な生活習慣を心がけることが大切です。
自覚症状が乏しいため、定期的な健康診断を受けて肝機能をチェックし、異常が見つかった場合には早めに医療機関を受診しましょう。生活習慣の改善を中心とした治療により、肝臓の健康を守り、将来的な肝硬変や肝がんのリスクを減らすことにつながります。
肝臓は再生能力が高い臓器ですが、ダメージが蓄積すると回復が難しくなります。今日からできる小さな習慣の改善が、長期的な健康維持の第一歩となるでしょう。ご自身の身体と向き合い、必要に応じて医療の専門家に相談しながら、肝臓を大切にする生活を続けていきましょう。

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