お酒を飲まない人も要注意!「脂肪肝」が進行した先に待つ重大なリスクを解説

脂肪肝は「沈黙の臓器」である肝臓の病気のため、初期段階では自覚症状がほとんど現れません。そのため、健康診断で偶然発見されるケースが大半です。しかし、症状がないからといって放置すると、重篤な病態へ進行する危険性があります。ここでは、脂肪肝の症状の特徴と、自覚しにくい理由について解説します。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
脂肪肝の症状と自覚しにくい理由
脂肪肝は初期段階では自覚症状がほとんど現れないため、健康診断などで偶然発見されることが少なくありません。しかし、放置すると肝硬変や肝がんといった深刻な病態に進行する可能性があります。
初期段階でほとんど現れない症状
脂肪肝の初期には、明確な症状が現れることはほとんどありません。肝臓は痛みを感じる神経が少なく、かなり状態が悪化するまで自覚症状が出にくい臓器です。このため「沈黙の臓器」と呼ばれています。
軽度の疲労感や倦怠感を感じることがありますが、これらは日常的なストレスや睡眠不足でも起こるため、脂肪肝との関連に気づかない方がほとんどでしょう。また、お腹の張りや不快感を訴える方もいますが、これも消化器系のほかの問題と区別がつきにくい症状です。
血液検査でAST(GOT)やALT(GPT)といった肝機能の数値が上昇していても、自覚症状がないために放置してしまうケースが少なくありません。健康診断で異常を指摘されたら、たとえ症状がなくても医療機関を受診することが重要です。
進行すると現れる症状と合併症
脂肪肝が進行し、炎症を伴う脂肪性肝炎や肝硬変に移行すると、さまざまな症状が現れ始めます。全身の倦怠感が強くなり、集中力の低下や食欲不振を感じるようになるでしょう。
黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)が現れることもあります。これは、肝臓の機能が低下してビリルビンという色素の処理ができなくなった状態です。また、腹水が溜まってお腹が膨らんだり、足のむくみが生じたりすることもあります。
肝硬変まで進行すると、肝臓がんの発症リスクが高まります。さらに、食道や胃の静脈瘤が破裂して大量出血を起こす危険性も出てきます。意識障害を引き起こす肝性脳症という合併症も、重篤な状態といえるでしょう。
脂肪肝から肝硬変への進行には通常10年から20年程度かかるといわれていますが、個人差があり、より短期間で悪化するケースも報告されています。定期的な検査で肝臓の状態を把握し、早期に対処することが、深刻な合併症を防ぐ鍵となります。
まとめ
脂肪肝は、早期に発見し適切に対処すれば、改善が十分に期待できる病気です。アルコールの過剰摂取だけでなく、食生活の乱れや運動不足、肥満など、さまざまな要因が関与しています。お酒を飲まない方でも脂肪肝になる可能性があることを理解し、日頃から健康的な生活習慣を心がけることが大切です。
自覚症状が乏しいため、定期的な健康診断を受けて肝機能をチェックし、異常が見つかった場合には早めに医療機関を受診しましょう。生活習慣の改善を中心とした治療により、肝臓の健康を守り、将来的な肝硬変や肝がんのリスクを減らすことにつながります。
肝臓は再生能力が高い臓器ですが、ダメージが蓄積すると回復が難しくなります。今日からできる小さな習慣の改善が、長期的な健康維持の第一歩となるでしょう。ご自身の身体と向き合い、必要に応じて医療の専門家に相談しながら、肝臓を大切にする生活を続けていきましょう。