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お酒を飲まないのに「脂肪肝」になるのはなぜ? 意外な原因と進行リスクを医師が解説

 公開日:2026/03/09
お酒を飲まないのに「脂肪肝」になるのはなぜ? 意外な原因と進行リスクを医師が解説

脂肪肝は、肝臓に脂肪が過剰に蓄積する状態です。アルコールの摂取だけでなく、食生活や運動習慣など日常のさまざまな要因が関わっています。アルコール性と非アルコール性では発症のメカニズムが異なりますが、いずれも放置すると肝硬変や肝がんへ進行する可能性があります。ここでは、脂肪肝を引き起こす主な原因について詳しく解説します。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

脂肪肝の主な原因

脂肪肝の発症には、さまざまな要因が複雑に関わっています。アルコールの摂取量だけでなく、食事内容や運動不足、肥満などの生活習慣が大きく影響します。

アルコール性脂肪肝の発症メカニズム

アルコールを摂取すると、肝臓でアルコールが分解される過程で中性脂肪が合成されやすくなります。継続的な飲酒により、肝臓での脂肪代謝のバランスが崩れ、脂肪が蓄積していくのです。
日本人の場合、純アルコール換算で1日平均60g以上(日本酒約3合、ビール中瓶約3本に相当)の飲酒を5年以上続けると、アルコール性脂肪肝のリスクが高まるといわれています。ただし、この数値には個人差があり、体質や性別、年齢によっても影響の受け方は異なります。女性は男性よりも少ない飲酒量で肝障害を起こしやすい傾向があります。
アルコールが肝臓に与える負担は、飲酒の頻度や期間にも左右されます。休肝日を設けずに連日飲酒を続けることは、肝臓の回復を妨げる要因となるでしょう。肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、自覚症状が現れにくいため、定期的な健康診断で肝機能をチェックすることが大切です。

非アルコール性脂肪肝の背景要因

お酒を飲まない方でも、食事や生活習慣によって脂肪肝を発症することがあります。これを非アルコール性脂肪肝(NAFLD)と呼びます。主な原因として、過剰なカロリー摂取や糖質・脂質の摂りすぎが挙げられます。特に、精製された炭水化物や砂糖を多く含む食品、揚げ物や脂肪分の多い肉類を頻繁に摂取すると、肝臓で脂肪が作られやすくなります。また、早食いや大食いといった食習慣は血糖値の急激な上昇を招き、血糖値を下げるホルモンであるインスリンがうまく働きにくくなる状態(インスリン抵抗性)を引き起こし、脂肪が蓄積しやすくなります。
運動不足も重要な要因の一つです。身体活動が少ないと、摂取したエネルギーが十分に消費されず、余剰分が中性脂肪として肝臓や体内に蓄えられます。デスクワーク中心の生活などにより運動量が減少している現代では、日常的に体を動かす意識が脂肪肝予防に役立ちます。また肥満、特に内臓脂肪の蓄積は脂肪肝と深く関係しています。BMIが25以上の方や、ウエスト周囲径が男性で85cm以上、女性で90cm以上の場合は注意が必要です。内臓脂肪が増えると炎症を引き起こす物質が分泌され、インスリンの働きがさらに低下し、肝臓への脂肪蓄積が進みやすくなります。
※近年、国際的な肝臓学会および日本肝臓学会では、従来の「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」に代わる新しい概念として、「MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」という名称が提唱されています。これはアルコール摂取の有無に関わらず、肥満や高血糖、脂質異常などの代謝異常を背景とする脂肪肝を包括的に捉える考え方です

まとめ

脂肪肝は、早期に発見し適切に対処すれば、改善が十分に期待できる病気です。アルコールの過剰摂取だけでなく、食生活の乱れや運動不足、肥満など、さまざまな要因が関与しています。お酒を飲まない方でも脂肪肝になる可能性があることを理解し、日頃から健康的な生活習慣を心がけることが大切です。
自覚症状が乏しいため、定期的な健康診断を受けて肝機能をチェックし、異常が見つかった場合には早めに医療機関を受診しましょう。生活習慣の改善を中心とした治療により、肝臓の健康を守り、将来的な肝硬変や肝がんのリスクを減らすことにつながります。
肝臓は再生能力が高い臓器ですが、ダメージが蓄積すると回復が難しくなります。今日からできる小さな習慣の改善が、長期的な健康維持の第一歩となるでしょう。ご自身の身体と向き合い、必要に応じて医療の専門家に相談しながら、肝臓を大切にする生活を続けていきましょう。

この記事の監修医師

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