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牡蠣にあたる理由は? 『ノロウイルス』の潜伏期間と加熱による予防法を解説

 公開日:2026/02/13
ノロウイルスと二枚貝(カキ)の関係

冬の味覚として人気の牡蠣をはじめとする二枚貝は、ノロウイルス食中毒の原因食品として知られています。二枚貝は海水中のプランクトンを餌として大量の海水を体内に取り込んで濾過する生態を持ち、この過程で海水中のノロウイルスも一緒に取り込まれて体内に濃縮されます。生食と加熱調理では感染リスクが大きく異なるため、その理由と注意点を正しく理解しておくことが安全な食生活につながります。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

ノロウイルスと二枚貝(カキ)の関係

冬の味覚として人気の牡蠣をはじめとする二枚貝は、ノロウイルス食中毒の原因食品として知られています。その理由と注意点を正しく理解しておくことが、安全な食生活につながります。

二枚貝(カキ)がウイルスを蓄積する理由

牡蠣やアサリ、シジミなどの二枚貝は、海水中のプランクトンを餌として大量の海水を体内に取り込んで濾過する生態を持っています。この過程で、海水中に存在するノロウイルスも一緒に取り込まれ、中腸腺と呼ばれる消化器官に濃縮・蓄積されてしまいます。
海水中のノロウイルスは、主に下水処理を経ても完全には除去されない生活排水や、海岸での排泄物などが起源です。ウイルスは海水中では死滅せず、二枚貝の体内で何週間も生き続けます。二枚貝自身はウイルスに感染して症状を示すわけではなく、単に体内に保持しているだけですが、それを食べた人間が感染します。
特に牡蠣は生食される機会が多く、ウイルスが不活化されないまま体内に入るリスクが高い食品です。冬季は海水温が低いためウイルスの残存期間が長くなり、また牡蠣の旬の時期と重なることから、ノロウイルス食中毒の発生が増加します。ただし、すべての牡蠣がウイルスを保持しているわけではなく、産地の海域の衛生状態や季節によってリスクは変動します。

生食と加熱調理による感染リスクの違い

生牡蠣を食べることによるノロウイルス感染のリスクは、確かに存在します。しかし、すべての牡蠣がウイルスを保持しているわけではなく、産地の海域の衛生状態や季節によってリスクは変動します。生食用として流通する牡蠣は、指定海域で採取され検査を受けていますが、それでも完全にリスクをゼロにすることはできません。
一方、十分に加熱すればノロウイルスは不活化されます。ウイルスは85度以上で1分間以上加熱することで感染力を失います。フライや鍋物など、中心部まで十分に火を通すことで、二枚貝をおいしく楽しむことができます。加熱調理は感染リスクを大幅に低減する有効な対策です。

まとめ

ノロウイルス感染症は、突然の嘔吐と下痢を主症状とする感染性胃腸炎で、24時間から48時間の潜伏期間を経て発症します。二枚貝を介した食品感染と、人から人への二次感染という二つの経路で広がりやすく、特に冬季に流行します。初期症状を早期に認識し、適切な水分補給と安静を保つことが回復への第一歩です。
ノロウイルスの予防には、手洗いの徹底、食品の十分な加熱、調理器具の衛生管理が基本となります。生の二枚貝を食べる際はリスクを理解し、体調や免疫状態を考慮した判断が必要です。感染力が強いウイルスですが、正しい知識と予防対策で、ご自身と大切な方々を守ることができます。

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