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「エボラ出血熱」の『致死率』の実態をご存じですか? “90%”って本当?【医師解説】

 公開日:2026/02/24
「エボラ出血熱」の『致死率』の実態をご存じですか? “90%”って本当?【医師解説】

エボラ出血熱は致死率が高い感染症として知られていますが、その数値は流行時期や地域、医療体制によって大きく異なります。過去のデータをもとに、実際の致死率とその背景を理解することで、過度な恐怖や誤解を避けることができます。

吉野 友祐

監修医師
吉野 友祐(医師)

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広島大学医学部卒業。現在は帝京大学医学部附属病院感染症内科所属。専門は内科・感染症。日本感染症学会感染症専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医。帝京大学医学部微生物学講座教授。

エボラ出血熱の致死率の実態

エボラ出血熱の致死率は、過去の流行データから高いことが知られています。ただし、ウイルス株や医療体制、患者さんの状態によって致死率には幅があります。

過去の流行における致死率データ

エボラ出血熱の致死率は、流行によって25%から90%の範囲で報告されています。ウイルスには複数の型があり、ザイール型は致死率が高く、過去の流行では平均して60%から90%の致死率を示してきました。2014年から2016年にかけて西アフリカで発生した大規模流行では、約11,000人が死亡し、全体の致死率は約40%と報告されました。

この流行では、医療へのアクセスが良好だった地域では致死率が低下する傾向が見られました。一方、スーダン型の致死率は約50%、ブンディブギョ型は約25%程度とされています。致死率の違いには、ウイルスの病原性の差に加えて、医療インフラの整備状況、早期診断と治療の開始時期、患者さんの年齢や健康状態などが影響していると考えられています。

生存率を左右する要因と時期別リスク

エボラ出血熱からの回復を決定づける要因は複雑ですが、いくつかの重要な要素が特定されています。発症後早期に医療機関を受診し、支持療法を開始できた患者さんは生存率が高まる傾向があります。十分な水分補給と電解質バランスの維持、血圧の管理、二次感染の予防などの支持療法が、患者さんの身体がウイルスと闘う時間を稼ぐことにつながります。

患者さん自身の免疫応答も予後に大きく影響し、適切な免疫反応を早期に起こせた方は回復する可能性が高くなる傾向があります。年齢別では、小児や高齢者は成人に比べて致死率が高い傾向にあります。また、妊娠中の女性も重症化しやすく、母子ともに予後が厳しいことが報告されています。発症後早期から2週前後は重症化しやすい時期であり、この期間を乗り越えられるかどうかが生死を分ける分岐点となる場合があります。ただし、これらはあくまで傾向であり、個々の患者さんによって経過は異なります。

まとめ

日本に住む私たちにとって、エボラ出血熱は直接的な脅威ではありませんが、グローバル化が進む現代において無関係ではありません。流行地域への渡航を予定されている方は、現地の情報を確認し、適切な予防行動を取ることが大切です。帰国後に発熱などの症状が現れた場合は、速やかに医療機関に連絡し、渡航歴を伝えましょう。正確な情報に基づいた冷静な対応が、自分自身と周囲の方々の健康を守ることにつながります。

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