「エボラ出血熱」は空気感染することはある? 『感染リスクが高い状況』を医師が解説

エボラ出血熱は空気感染しない一方で、特定の状況下では感染リスクが非常に高まります。体液との接触や汚染物への対応を誤ると、感染拡大につながる恐れがあります。どのような場面で感染が起こりやすいのかを把握することが予防の第一歩です。

監修医師:
吉野 友祐(医師)
主な感染経路と感染リスクが高い状況
エボラウイルスの感染経路を正確に理解することは、感染予防の基本となります。感染は特定の接触様式を通じて起こり、空気感染はしないことが確認されています。
体液を介した直接接触による感染
エボラウイルスは主に、感染者の体液との直接接触によって伝播します。体液には血液、唾液、汗、涙、尿、便、嘔吐物、精子、母乳などが含まれます。これらの体液が傷のある皮膚や粘膜(目、鼻、口など)に触れることで感染が成立します。健康な皮膚を通じての感染は起こりにくいとされていますが、微細な傷からでもウイルスは侵入可能です。
医療従事者は、患者さんの診療やケアを行う際に体液に曝露するリスクが高く、適切な個人防護具の着用が不可欠です。また、患者さんが使用した注射針や医療器具も感染源となり得るため、取り扱いには細心の注意が必要です。家族や介護者も、患者さんの世話をする過程で感染するリスクがあります。
遺体や汚染物を通じた感染経路
エボラウイルスは患者さんが亡くなった後も、遺体中に高濃度で存在し続けます。一部の地域では、伝統的な埋葬儀式として遺体を洗浄したり触れたりする習慣があり、これが感染拡大の一因となってきました。遺体との直接接触は非常に高い感染リスクを伴うため、適切な感染対策を講じた専門的な遺体管理が重要です。
また、患者さんが使用した寝具や衣類、タオルなどの物品もウイルスで汚染されている可能性があります。これらの物品を適切に処理せずに触れることでも感染が起こり得ます。環境表面に付着したウイルスは、条件によっては数日間生存可能とされており、汚染された環境の消毒も感染予防の重要な要素となります。
まとめ
日本に住む私たちにとって、エボラ出血熱は直接的な脅威ではありませんが、グローバル化が進む現代において無関係ではありません。流行地域への渡航を予定されている方は、現地の情報を確認し、適切な予防行動を取ることが大切です。帰国後に発熱などの症状が現れた場合は、速やかに医療機関に連絡し、渡航歴を伝えましょう。正確な情報に基づいた冷静な対応が、自分自身と周囲の方々の健康を守ることにつながります。