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「スキルス胃がん」は自覚症状が少ない?日常の些細な変化から早期発見につなげるポイント【医師解説】

 公開日:2026/02/25
スキルス胃がんの初期症状と進行時に現れるサイン

スキルス胃がんの初期症状は日常的な胃の不調と区別がつきにくく、見逃されやすい傾向があります。消化器系の不調や体重変化、倦怠感といった初期のサインから、腹部の変化や消化管の通過障害など進行時に現れる症状まで、段階ごとの特徴を理解しておくことが大切です。些細な変化を見逃さず、適切なタイミングで医療機関を受診するための知識をお届けします。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

スキルス胃がんの初期症状

スキルス胃がんの初期症状は非特異的であり、日常的な胃の不調と区別がつきにくいという特徴があります。そのため、些細な変化を見逃さず、適切なタイミングで医療機関を受診することが重要です。

消化器系の不調

初期段階では、胃のもたれや不快感、食欲不振といった症状が現れることがあります。これらは胃炎や胃潰瘍でも見られる一般的な症状であるため、スキルス胃がんに特有の症状とは言えません。しかし、こうした症状が続く場合には、念のため医療機関での相談を検討することが推奨されます。

食後の膨満感が強くなったり、少量の食事で満腹感を感じるようになったりすることもあります。これは胃の柔軟性が失われ、拡張しにくくなることによって生じる可能性がある症状です。ただし、これらの症状は他の消化器疾患でも見られるため、自己判断せず専門医に相談することが大切です。

吐き気や嘔吐が続く場合も注意が必要です。特に原因が明確でない吐き気が長期間続く場合は、専門医による詳しい検査を受けることが推奨されます。これらの症状は、胃の機能低下や通過障害を示唆している可能性がありますが、確定診断には医師の判断が必要です。

全身症状と体重変化

スキルス胃がんでは、体重減少が比較的早い段階から見られることがあります。特に食事量の減少に見合わない体重の減少が続く場合は、注意深く観察する必要があります。ただし、体重減少はさまざまな要因で起こり得るため、他の症状との組み合わせで判断することが重要です。

倦怠感や疲労感が強くなることも特徴的な症状の一つです。日常生活での活動量が変わっていないにもかかわらず、疲れやすくなったと感じる場合は、身体からの重要なサインである可能性があります。十分な休息を取っても改善しない倦怠感が続く場合は、医療機関での相談を検討しましょう。

貧血症状が現れることもあります。顔色が悪くなったり、立ちくらみやめまいを感じたりする場合は、胃からの慢性的な出血や栄養吸収の障害が原因となっている可能性があります。血液検査で貧血が確認された場合は、原因を特定するための精密検査が必要となります。貧血の原因はさまざまであり、必ずしもスキルス胃がんを示すものではありませんが、適切な診断を受けることが大切です。

スキルス胃がんの進行症状

スキルス胃がんが進行すると、より明確で深刻な症状が現れるようになります。この段階では、胃の機能が著しく低下し、全身への影響も大きくなる可能性があります。早期の段階で発見できなかった場合でも、これらの症状に気づいた時点で速やかに医療機関を受診することが重要です。

腹部の変化と痛み

進行したスキルス胃がんでは、腹部の硬さや張りを感じることがあります。これは胃壁が硬くなり、柔軟性を失うことによって生じる変化です。腹部を触った際に、以前とは異なる硬さや抵抗感を感じる場合は注意が必要です。

腹痛が持続的に現れることもあります。鈍い痛みや不快感が続き、市販の胃薬などでは改善しない場合は、専門医による診察を受けることが推奨されます。痛みの性質や場所、頻度などを記録しておくと、診察時に有用な情報となります。痛みの程度や持続期間には個人差があり、すべての方に同じように現れるわけではありません。

腹水が貯まることで、腹部の膨満感が強くなることもあります。衣服がきつく感じられたり、ベルトの位置が変わったりする場合は、腹水の可能性を考慮する必要があります。腹水は進行した段階で見られることが多いとされていますが、早期の対応が求められます。腹水の有無や程度は医師による診察や検査で確認されます。

消化管の通過障害

スキルス胃がんが進行すると、胃の出口付近が狭くなり、食べ物の通過が妨げられることがあります。食後すぐに嘔吐してしまったり、食べたものが胃に停滞する感覚が強くなったりします。この症状の現れ方には個人差があり、すべての患者さんに同じように出現するわけではありません。

固形物が食べにくくなり、流動食や柔らかいものしか受け付けなくなることもあります。このような変化は、胃の柔軟性が失われ、収縮や拡張が正常に行えなくなっていることを示している可能性があります。食事内容の変化が必要になった場合は、栄養バランスを保つために医師や栄養士と相談することが大切です。

黒色便や血便が見られる場合は、胃からの出血を疑う必要があります。出血は貧血の原因となるだけでなく、がんの進行を示す重要なサインである可能性があります。便の色や性状に異常を感じた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

スキルス胃がんの前兆となる変化

スキルス胃がんには明確な前兆症状が少ないものの、身体からの微細なサインを見逃さないことが早期発見につながる可能性があります。日常生活の中での小さな変化に注意を払うことが大切です。

胃の違和感と食事の変化

食事の好みが変わったり、これまで好きだった食べ物を受け付けなくなったりすることがあります。特に肉類などのたんぱく質を含む食品を避けるようになる傾向が見られることがあります。ただし、食の好みの変化は加齢や体調、ストレスなどさまざまな要因で起こり得るため、この症状だけで判断することはできません。

食事の量が自然と減っていくことも前兆の一つとして考えられています。意識的にダイエットをしているわけではないのに、少量で満足してしまったり、食べる気力が湧かなくなったりする変化に気づいたら、注意深く観察する必要があります。食事量の減少には精神的な要因も関係することがあるため、総合的な判断が求められます。

胃の違和感や不快感が、特定の時間帯や状況に関係なく現れることも特徴的です。空腹時だけでなく、食後や就寝時にも症状が続く場合は、単なる胃炎や消化不良とは異なる可能性を考慮する必要があります。症状の持続期間や変化のパターンを観察し、気になる場合は医師に相談することが推奨されます。

生活の質に影響する症状

睡眠の質が低下したり、夜間に胃の不快感で目が覚めたりすることがあります。これまでとは異なる睡眠パターンの変化は、身体からの重要なメッセージである可能性があります。ただし、睡眠の変化はストレスや生活環境の変化など、さまざまな要因によっても起こり得ます。

日中の活動に支障をきたすほどの疲労感や倦怠感が続く場合も、注意が必要です。十分な睡眠をとっているにもかかわらず疲れが取れない、趣味や日常活動への意欲が減退するといった変化は、身体の異常を示している可能性があります。疲労感の原因は多岐にわたるため、他の症状と合わせて総合的に評価することが重要です。

精神的な変化として、不安感や抑うつ気分が強くなることもあります。これは身体的な不調に伴う二次的な症状である場合もありますが、いずれにしても総合的な評価が必要です。精神面の変化は身体的な疾患と関連している場合もあるため、気になる症状がある場合は、身体面と精神面の両方から検討することが推奨されます。

早期発見のためのサインの見極め方

スキルス胃がんの早期発見には、日常生活の中での細やかな観察と、適切なタイミングでの受診判断が重要です。症状の特徴を理解し、自己チェックの習慣を持つことが推奨されます。

受診を検討すべき症状の組み合わせ

単独の症状では判断が難しい場合でも、複数の症状が組み合わさって現れる場合は注意が必要です。食欲不振と体重減少、胃の不快感と倦怠感といった組み合わせは、より詳しい検査を受ける目安となります。

症状が2週間以上続く場合は、自然に改善することを期待するのではなく、医療機関を受診することが推奨されます。特に市販の胃薬などで改善が見られない場合は、専門的な診察が必要です。症状の持続期間は、医師が診断を下すうえで重要な情報となります。

既往歴やリスク要因を持つ方で、新たな症状が出現した場合は、より早期の受診が望まれます。ピロリ菌感染の既往がある方や、家族歴のある方は、症状の程度にかかわらず医師に相談することが大切です。リスク要因を持つ方は、定期的な検査スケジュールを医師と相談して決めることが推奨されます。

自己観察のポイント

日々の体調変化を記録する習慣をつけることで、異常に気づきやすくなります。食事の量や内容、体重の推移、症状の出現時期と程度などを簡単にメモしておくと、受診時に医師へ正確な情報を伝えることができます。記録は詳細である必要はなく、気づいた変化を簡潔にまとめるだけでも有用です。

体重は週に1回程度測定し、記録しておくことが推奨されます。1ヶ月で5%以上の体重減少がある場合は、医療機関での相談が必要です。意図しない体重減少は、さまざまな疾患のサインとなり得ます。

家族や周囲の方からの指摘も重要な情報源となります。顔色が悪い、痩せたように見える、食事量が減っているといった客観的な観察は、自分では気づきにくい変化を捉えている可能性があります。周囲の方の意見にも耳を傾け、気になる変化があれば医師に相談することが大切です。

まとめ

スキルス胃がんは、その特殊な性質から早期発見が困難であり、進行が速いという特徴を持っています。しかし、リスク要因を理解し、定期的な検査を受けることで、早期発見の可能性を高めることができます。気になる症状がある場合は、自己判断せず、消化器内科や胃腸内科の専門医を受診することが大切です。正確な診断と適切な治療により、より良い結果につなげることができる可能性があります。日頃から自身の身体の変化に注意を払い、健康的な生活習慣を心がけることが予防の第一歩となります。

この記事の監修医師