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腟のゆるみ・乾燥はホルモンのせい?医師が教える更年期のサインと3つの治療・ケア

 公開日:2026/03/11

出産や更年期を迎えると、腟の乾燥やゆるみ、尿漏れなど、身体の変化を感じる方が増えてきます。こうした変化はホルモンバランスの影響を受けており、適切なケアによって改善が期待できる場合もあります。本記事では、産後と更年期における身体の仕組み、骨盤底筋トレーニングや医療機関での治療、さらにフェムケア製品の種類と選び方について解説します。自分の状態に合ったケアを知ることで、生活の質を保つ助けとなるでしょう。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

産後・更年期における身体の変化

女性の身体は、妊娠・出産や更年期を迎えることで大きく変化します。特に腟の乾燥やゆるみは、多くの女性が経験する悩みでありながら、相談しにくい問題として捉えられがちです。これらの変化は、性生活の質の低下や、尿漏れなどの問題にもつながることがあるため、適切な知識と対処が必要です。

産後の身体の変化

出産時、赤ちゃんが産道を通る際に、骨盤底筋や腟壁が伸展します。この際、筋肉や組織にダメージが生じることがあり、産後に腟のゆるみを感じる方は少なくありません。また、骨盤底筋が弱まることで、尿漏れや臓器脱(子宮や膀胱が下がってくる状態)のリスクも高まります。

授乳期間中は、プロラクチンというホルモンの影響でエストロゲンの分泌が抑制されます。エストロゲンは腟の潤いを保つ働きがあるため、授乳中は腟が乾燥しやすくなります。この乾燥は、性交痛の原因となることがあり、パートナーとの関係に影響を及ぼすこともあるでしょう。産後の身体の回復には個人差がありますが、適切なケアを行うことで、これらの症状を改善することが可能です。

更年期の変化とメカニズム

更年期は、閉経前後の約10年間を指し、一般的には45歳から55歳頃とされています。この時期には、卵巣機能が低下し、エストロゲンの分泌が急激に減少します。エストロゲンは、腟の粘膜を健康に保つ働きがあるため、その減少により腟の乾燥や萎縮が起こります。

腟の萎縮は、粘膜が薄くなり、弾力性が失われ、分泌物が減少する状態です。これにより、性交痛やかゆみ、灼熱感などの症状が現れることがあります。また、腟の自浄作用が低下するため、感染症にかかりやすくなることもあります。さらに、尿道も同様にエストロゲンの影響を受けるため、頻尿や尿漏れなどの泌尿器症状が現れることもあるでしょう。

更年期の症状は、ホットフラッシュ(ほてり)、発汗、イライラ、不眠など多岐にわたりますが、腟の乾燥やゆるみも重要な症状の一つです。これらの症状は、生活の質を大きく低下させる可能性があるため、適切な治療を受けることが推奨されます。

腟の乾燥やゆるみへの対策

腟の乾燥やゆるみに対しては、セルフケアから医療機関での治療まで、さまざまな対策があります。症状の程度や原因に応じて、適切な方法を選択することが大切です。早めに対処することで、症状の悪化を防ぎ、生活の質を維持することができます。また、パートナーとのコミュニケーションも重要で、悩みを共有し、一緒に解決策を考えることが推奨されます。

骨盤底筋トレーニング

骨盤底筋トレーニング、いわゆるケーゲル体操は、骨盤底筋を強化するための運動です。骨盤底筋は、骨盤の底にあり、膀胱、子宮、直腸を支える筋肉群です。この筋肉を鍛えることで、腟のゆるみや尿漏れの改善が期待できます。

基本的なトレーニング方法は、腟や肛門を締めるように力を入れ、5秒間保持した後、リラックスするという動作を繰り返します。1日に10回を3セット行うことが推奨されますが、無理のない範囲で続けることが大切です。座った状態でも立った状態でも行うことができ、場所を選ばないため、日常生活に取り入れやすい運動です。

トレーニングの効果を実感するには、数週間から数ヶ月かかることがあります。継続することが重要で、習慣化することで効果が得られやすくなります。正しい方法がわからない場合は、理学療法士や専門の医師の指導を受けることも一つの方法です。

医療機関での治療オプション

腟の乾燥に対しては、保湿剤や潤滑剤の使用が有効です。腟用の保湿剤は、定期的に使用することで、腟の潤いを保ち、不快感を軽減する効果があります。性交時には、潤滑剤を使用することで、摩擦を減らし、痛みを軽減することができます。

ホルモン補充療法(HRT)は、更年期の症状に対する治療法の一つです。エストロゲンを補充することで、腟の乾燥や萎縮を改善し、ほかの更年期症状も軽減する効果があります。全身投与のほか、腟に直接塗布する局所投与の方法もあります。局所投与は、全身への影響が少ないため、副作用のリスクが低いとされています。

ただし、HRTには乳がんや血栓症などのリスクがあるため、医師との十分な相談のうえで、適応を判断する必要があります。定期的な検査を受けながら治療を続けることが推奨されます。また、レーザー治療や高周波治療など、腟の粘膜を活性化させる治療法も登場しています。これらの治療は、自由診療となることが多く、費用や効果については医療機関に確認することが大切です。

フェムケア製品の種類と特徴

近年、フェムケアへの関心の高まりとともに、さまざまな製品が市場に登場しています。デリケートゾーン専用の洗浄剤、保湿剤、生理用品、腟トレーニング器具など、目的や用途に応じた製品を選ぶことができます。製品を選ぶ際には、自分の悩みや目的を明確にし、成分や使用方法を確認することが重要です。また、肌に直接触れる製品であるため、刺激の少ないものを選び、使用前にはパッチテストを行うことが推奨されます。

洗浄・保湿製品

デリケートゾーン専用の洗浄剤は、腟のpH値に配慮して作られており、弱酸性のものが多く販売されています。一般的な石鹸はアルカリ性であり、腟の自浄作用を乱す可能性があるため、専用の製品を使用することが推奨されます。泡タイプやジェルタイプなど、さまざまな形状があり、使いやすいものを選ぶとよいでしょう。

成分にも注目することが大切です。無香料、無着色、パラベンフリーなど、刺激の少ない成分で作られた製品を選ぶことで、肌トラブルのリスクを減らせます。乳酸や植物由来の保湿成分が配合されたものは、腟の環境を整える助けになるとされています。

保湿剤には、デリケートゾーンの外側に使用するクリームやジェル、腟内に使用する専用の製品があります。腟用の保湿剤は、乾燥による不快感や性交痛の軽減に役立ちます。使用頻度や方法については、製品の説明書をよく読み、適切に使用することが大切です。

生理用品とサニタリーアイテム

生理用品も、フェムケアの重要なアイテムです。従来のナプキンやタンポンに加え、布ナプキン、月経カップ、吸水ショーツなど、選択肢が広がっています。それぞれの特徴を理解し、自分のライフスタイルや身体の状態に合ったものを選ぶことが推奨されます。

月経カップは、腟内に挿入して経血を受け止める製品で、繰り返し使用できるため、環境にも優しいとされています。使用には慣れが必要ですが、長時間使用でき、ムレやかぶれのリスクが少ないという利点があります。吸水ショーツは、ナプキンを使わずに履くだけで経血を吸収するショーツで、快適性が高いと評価されています。

おりものシートやデリケートゾーン用のウェットシートも、日常のケアに役立ちます。ただし、長時間の使用はムレの原因となるため、こまめに交換することが推奨されます。また、ウェットシートには刺激の強い成分が含まれている場合があるため、成分を確認して選ぶことが大切です。

フェムケア製品を選ぶ際のポイント

フェムケア製品を選ぶ際には、自分の身体の状態や悩みに合ったものを選ぶことがもっとも重要です。また、成分や安全性、使用感なども考慮する必要があります。製品の情報をしっかりと確認し、必要に応じて専門家に相談することで、自分に合った製品を見つけることができるでしょう。試しながら自分に適したものを探すことも、フェムケアの一環といえます。

成分と安全性の確認

製品を選ぶ際には、成分表示を必ず確認しましょう。肌に優しい成分で作られているか、刺激物質が含まれていないかをチェックすることが大切です。香料や着色料、防腐剤などは、肌に刺激を与える可能性があるため、敏感肌の方は特に注意が必要です。

アレルギーの原因となる成分が含まれていないかも確認しましょう。過去に化粧品や洗剤でかぶれた経験がある方は、同じ成分が含まれていないか注意深く確認することが推奨されます。不明な成分がある場合は、事前に調べたり、メーカーに問い合わせたりすることも一つの方法です。

医薬部外品や医療機器として認可されている製品は、一定の安全性や効果が確認されています。こうした製品を選ぶことも、安全性を確保する一つの基準となるでしょう。

使用目的に応じた選択

フェムケア製品は、目的に応じて適切なものを選ぶことが重要です。日常のケアとして使用するのか、特定の症状を改善するために使用するのかによって、選ぶべき製品は異なります。例えば、乾燥が気になる場合は保湿効果の高い製品を、においが気になる場合は消臭効果のある製品を選ぶとよいでしょう。

ライフステージによっても、必要なケアは変わります。産後には、骨盤底筋トレーニング用の器具や腟用保湿剤が役立つことがあります。更年期には、ホルモン補充効果のある製品や、より保湿力の高い製品が適している場合があります。自分の年齢や身体の状態を考慮して製品を選ぶことが推奨されます。

コストパフォーマンスも考慮すべき点です。継続して使用する製品の場合、長期的なコストを計算することが大切です。また、試供品やトライアルサイズがある場合は、まずそれを使用してみて、自分に合うかどうかを確認してから本製品を購入するとよいでしょう。口コミやレビューも参考になりますが、個人差があることを念頭に置き、最終的には自分の判断で選ぶことが重要です。

まとめ

フェムケアは、女性が自分の身体を理解し、適切にケアすることで、生活の質を高めるための重要な概念です。デリケートゾーンのトラブル、月経に伴う症状、産後や更年期の身体の変化など、女性特有の悩みは多岐にわたりますが、正しい知識と適切な対処法を持つことで、これらの問題に向き合うことができます。日常生活でのセルフケアを基本としつつ、症状が重い場合や改善が見られない場合は、医療機関を受診することが推奨されます。自分の身体の声に耳を傾け、必要なケアを実践することで、より快適で健康的な生活を送ることができるでしょう。

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