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薬物依存症の診断基準とは?「意志が弱い」で片付けられない病気の正体

 公開日:2026/02/12
MDMA依存症の診断と自己チェック

MDMA依存症は、国際的な診断基準に基づいて客観的に評価される精神疾患です。自分や身近な方の状態が気になる場合、診断基準を知ることは問題を認識し適切な支援につながる重要な第一歩となります。この章では、物質使用障害の診断基準と専門医による評価方法について、自己チェックの視点も含めて詳しく説明します。

大迫 鑑顕

監修医師
大迫 鑑顕(医師)

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千葉大学医学部卒業 。千葉大学医学部附属病院精神神経科、袖ヶ浦さつき台病院心療内科・精神科、総合病院国保旭中央病院神経精神科、国際医療福祉大学医学部精神医学教室、成田病院精神科助教、千葉大学大学院医学研究院精神医学教室特任助教(兼任)、Bellvitge University Hospital(Barcelona, Spain)。主な研究領域は 精神医学(摂食障害、せん妄)。

MDMA依存症の診断と自己チェック

MDMAを含む薬物依存症は、精神医学的な診断基準に基づいて客観的に評価される病気です。自分や身近な人の状態が気になる場合、専門的な診断基準を知ることは、問題を認識し、適切な支援につながるための第一歩となります。

物質使用障害(SUD)の国際的診断基準

現在、国際的に用いられている精神疾患の診断基準(DSM-5)では、「物質使用障害(Substance Use Disorder)」という診断名が使われます。以下の11項目のうち、過去1年間に2つ以上が当てはまる場合に診断され、その数によって重症度(軽度・中等度・重度)が判断されます。
・意図したより多量・長期間使用してしまう
・使用を減らしたいと思っているが、やめられない
・薬物を手に入れたり使ったりするために多くの時間を費やす
・薬物への強い欲求(渇望)がある
・使用のために仕事・学校・家庭での役割を果たせなくなる
・使用によって対人関係の問題が起きても使用を続ける
・重要な社会的・職業的・娯楽的活動をあきらめる
・身体的に危険な状況でも使用を繰り返す
・身体的・精神的な問題が悪化すると知っていても使用を続ける
・耐性(効果を得るためにより多くの量が必要/同じ量では効果が減る)
・離脱(使用をやめると不快な症状が出る/それを避けるために使用する)
専門医による実際の診断では、これらの基準に加えて、詳細な使用歴の聴取、精神症状の評価、身体的な診察、社会的背景の把握などを通じて総合的に判断されます。これらの基準は、自分や身近な人の状態を客観的に振り返るための有効な手がかりとなります。

専門医による包括的な評価

依存症の治療を開始するにあたり、専門医療機関では詳細な医学的評価が行われます。血液検査や尿検査により、最近の薬物使用状況や、肝臓、腎臓といった内臓へのダメージの程度を客観的に評価します。心電図検査などで心臓への影響を調べることもあります。
精神医学的な評価も極めて重要です。うつ病、不安障害、トラウマ(PTSD)、発達障害など、依存症の背景に隠れている、あるいは併存している他の精神疾患の有無を丁寧に評価します。これらの併存疾患は依存症と密接に関連しており、同時に治療を進める必要があります。また、必要に応じて心理検査を行い、認知機能への影響や個人の心理的特性を把握することもあります。こうした包括的な評価に基づいて、一人ひとりの状況に合わせたオーダーメイドの治療計画が立てられます。

まとめ

MDMAをはじめとする違法薬物は一度の使用でも深刻な健康被害をもたらす可能性があります。本記事で解説したように、身体的・精神的な影響は多岐にわたり、中には生命に関わるものや長期的な後遺症を残すものもあります。依存性の問題も深刻であり、自分の意思だけでは使用をやめることが困難になることがあります。しかし適切な治療と支援により回復は可能です。もし自身や身近な方が薬物問題を抱えている場合はためらわずに専門機関へ相談することをおすすめします。早期の対応がより良い回復への道につながります。

この記事の監修医師