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依存症の裏で進む身体の崩壊。「MDMA」をやめられなくなった人の内臓で起きていること

 公開日:2026/02/11
長期使用による身体への慢性的な影響

繰り返しMDMAを使用することで、消化器系や肝臓、腎臓といった重要な臓器に慢性的なダメージが蓄積していきます。これらの障害は生活の質を著しく低下させ、場合によっては生命に関わる深刻な合併症へと進行します。この章では、長期使用が身体の各器官にもたらす慢性的な影響と、その健康リスクについて具体的に解説します。

大迫 鑑顕

監修医師
大迫 鑑顕(医師)

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千葉大学医学部卒業 。千葉大学医学部附属病院精神神経科、袖ヶ浦さつき台病院心療内科・精神科、総合病院国保旭中央病院神経精神科、国際医療福祉大学医学部精神医学教室、成田病院精神科助教、千葉大学大学院医学研究院精神医学教室特任助教(兼任)、Bellvitge University Hospital(Barcelona, Spain)。主な研究領域は 精神医学(摂食障害、せん妄)。

長期使用による身体への慢性的な影響

MDMAの影響は一度きりの急性のものだけではありません。繰り返し使用することで、身体の様々な器官に慢性的なダメージが蓄積していきます。特に消化器系や泌尿器系への影響は、生活の質(QOL)を著しく低下させる原因となります。

消化器系への影響と肝臓への毒性

MDMA使用時には、吐き気、嘔吐、食欲不振、腹痛といった消化器症状が高頻度で現れます。これらは、セロトニンが消化管の運動にも関与していることに加え、中枢神経系への作用や身体的ストレスによるものです。また、交感神経の興奮により唾液の分泌が抑制され、強い口渇が生じます。これが過度な水分摂取につながり、前述の低ナトリウム血症のリスクを高める一因となります。
より深刻なのは、肝臓への直接的な毒性作用です。MDMAおよびその代謝物は肝細胞にダメージを与え、急性肝炎や肝機能障害を引き起こすことがあります。軽度の場合は一過性の肝酵素(AST, ALT)の上昇にとどまりますが、重症例では劇症肝炎から急性肝不全に至り、肝移植が必要となったり、死亡したりするケースも報告されています。特に繰り返し使用している場合や、もともと肝臓に疾患がある方、他の薬物やアルコールを併用している方では、そのリスクが著しく高まります。

泌尿器系への影響と腎機能障害

MDMA使用により、排尿が困難になったり、完全に尿が出なくなったりする尿閉といった泌尿器症状が現れることがあります。これは交感神経系の過剰な刺激により、膀胱の括約筋が異常に収縮するためです。また、前述の高体温症や横紋筋融解症に伴い、腎臓に大きな負担がかかり、急性腎不全を発症するリスクも非常に高くなります。重症例では入院治療が必要となる場合もあります。
なお、頻尿、排尿時の痛み、残尿感などの泌尿器症状が長引くケースも報告されていますが、背景因子や他の物質の影響も含めて評価が必要であり、一概にMDMA単独の影響として断定できない点には注意が必要です。症状が続く場合は、医療機関(泌尿器科・内科)に相談してください。

まとめ

MDMAをはじめとする違法薬物は一度の使用でも深刻な健康被害をもたらす可能性があります。本記事で解説したように、身体的・精神的な影響は多岐にわたり、中には生命に関わるものや長期的な後遺症を残すものもあります。依存性の問題も深刻であり、自分の意思だけでは使用をやめることが困難になることがあります。しかし適切な治療と支援により回復は可能です。もし自身や身近な方が薬物問題を抱えている場合はためらわずに専門機関へ相談することをおすすめします。早期の対応がより良い回復への道につながります。

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