お腹の張りはなにの仕業?ガスが発生するメカニズムと腸内環境の整え方を医師が解説

腸内細菌のバランスが崩れると、まず消化器系に不調が現れます。便秘や下痢、お腹の張りといった症状は、腸内環境の乱れを示す代表的なサインです。ここでは、腸内環境の悪化によって引き起こされる消化器系の症状について、そのメカニズムと特徴を詳しく解説します。

監修管理栄養士:
中西 真悠(管理栄養士)
2020年3月 女子栄養大学 栄養学部 実践栄養学科 卒業
2020年4月 株式会社野口医学研究所 入社
同年よりフリーの管理栄養士として活動開始、現在に至る
・法人向け健康経営支援サービスの立ち上げと推進(新規および既存顧客への営業活動を主導)
・食と健康に関する指導プログラムの実施(延べ2000人以上を対象にセミナーや測定会を通じて個別指導を実施)
・SNSでの情報発信によるブランディング
∟ Instagramにて食と健康に関する情報を発信し、フォロワー5万人超を達成
∟ 企業のSNS商品撮影代行やレシピ開発を400件以上実施
・サプリメントや雑貨のお客様相談室にてコールセンター業務を担当
・保険調査業務の実務を担当
腸内環境の悪化が引き起こす消化器系の症状
腸内環境が悪化すると、便秘や下痢、お腹の張りといった消化器系の不調が現れやすくなります。腸内には約1000種類、40兆個〜100兆個にも及ぶ腸内細菌が生息しており、善玉菌・悪玉菌・日和見菌がバランスを保ちながら働いています。
便秘と下痢のメカニズム
便秘は腸の働きがスムーズでない状態を示す代表的な症状の一つです。その背景には、食物繊維や水分の摂取不足、腹筋や腸の筋力低下、運動不足、排便習慣の乱れなど、さまざまな要因が関与しています。こうした状態が続くと、腸の動き(蠕動運動)が低下し、便が腸内に長くとどまることで水分が過剰に吸収され、硬くなって排出しにくくなります。
便が長時間腸内に滞留すると、その環境に適応した腸内細菌が増え、いわゆる悪玉菌が相対的に優勢になることもあります。ただし、これは便秘の直接的な原因というより、便の滞留によって生じる結果の一面と考えられています。
一方、下痢は腸の炎症や感染、食事内容の変化、ストレスなどによって腸の動きが過剰になり、水分が十分に吸収されないまま便として排出される状態です。便秘と下痢はいずれも腸内環境や腸の機能バランスの乱れを反映するサインであり、生活習慣や体調全体を見直すことが重要です。
便秘と下痢を繰り返す過敏性腸症候群(IBS)も、腸内環境の乱れと関連が深いとされています。ストレスや食生活の偏りによって腸内細菌のバランスが崩れることに加え、脳と腸の情報のやり取り(脳腸相関)の乱れなどが関与して腸の動きが不安定になり、便通の異常が慢性化することがあります。このような症状が続く場合は、腸内環境を整える取り組みに加えて、専門医への相談を検討することが大切です。消化器内科では、症状の原因を詳しく調べたうえで、適切な治療方針を提案してもらえます。
腹部膨満感とガスの発生
腸内環境が悪化すると、悪玉菌がタンパク質などを分解(腐敗)する際に、有害物質やガスを発生させます。これにより、お腹が張る感覚や膨満感が続き、ガスが溜まって苦しくなることがあります。特に食後に膨満感が強くなる場合は、腸内の発酵バランスが乱れている可能性が高いです。
悪玉菌が優勢になると、硫化水素やアンモニアなどの有害物質が産生され、これらが腸壁を刺激して不快感を引き起こします。また、善玉菌の代表であるビフィズス菌や乳酸菌が減少すると、腸内の環境が酸性からアルカリ性に傾き、悪玉菌がさらに増殖しやすくなるという悪循環に陥ることもあります。
腹部の不快感が長引く場合は、食生活の見直しとともに腸内環境の改善を図ることが求められます。膨満感を軽減するためには、消化に時間がかかる高脂肪食を控え、よく噛んで食べることで消化を助けることが有効です。食物繊維を適度に摂取し、腸内の環境を整えることで、過剰なガスの発生を抑える効果が期待できます。
まとめ
腸内環境は全身の免疫細胞の約7割が集まる最大の免疫器官であり、私たちの健康を支える重要な基盤です。食べ物やサプリメント、生活習慣の改善を通じて腸内細菌のバランスを整えることで、便通の正常化だけでなく、免疫機能の適切な維持やメンタルヘルスの安定にもつながることが期待されています。本記事でご紹介した方法を参考に、まずは発酵食品を一品増やすことや一回の深呼吸など、できることから少しずつ実践し、、長期的な視点で腸内環境のケアに取り組んでみてください。ただし、効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるとは限りません。症状が改善しない場合や不安がある場合は、医療機関での相談をおすすめします。健やかな腸内環境が、あなたの健康な毎日を支える土台となることを願っています。