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働き盛りを襲う「若年性アルツハイマー」最新の研究が教える40代からの脳の守り方

 公開日:2026/02/03

発症の仕組みについては、世界中で研究が進められています。現在わかっている知見をもとに、異常タンパク質の蓄積や神経細胞障害のプロセス、さらには複数の因子が関与する複雑なメカニズムについて理解を深めることができます。ここでは、脳内変化と発症メカニズムに関する現在の理解を紹介します。

鮫島 哲朗

監修医師
鮫島 哲朗(医師)

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脳神経外科
東京逓信病院脳神経外科部長
脳腫瘍 頭蓋底外科センター長

【経歴】
平成2年3月 宮崎医科大学(現宮崎大学)卒業
平成2年6月 宮崎医科大学(現宮崎大学)脳神経外科入局
平成3年4月 九州大学救急部研修(厚生省研修プログラム)
平成14年4月 Duke University Medical Center, USA
University of Torino , Italy
平成22年2月 NTT東日本関東病院脳神経外科主任医長
平成25年4月 浜松医科大学脳神経外科准教授
令和6年10月 東京逓信病院脳神経外科部長 脳腫瘍頭蓋底外科センター長

【専門・資格】
脳腫瘍 頭蓋底腫瘍 困難な脳外科手術等
医学博士
日本脳神経外科学会 専門医・指導医
日本脳卒中学会 専門医

若年性アルツハイマーの発症メカニズムと現在の研究

若年性アルツハイマーの発症メカニズムについては、世界中で研究が進められています。ここでは、現在わかっている知見を紹介します。

脳内変化と発症メカニズムに関する現在の理解

若年性アルツハイマーの発症には、脳内で起こる複数の変化が関与しており、その仕組みについては現在も世界中で研究が進められています。現時点で中心的に考えられているのは、アミロイドβやタウタンパクといった異常タンパク質の蓄積を軸とした神経細胞障害です。これらのタンパク質が脳内に蓄積することで、神経細胞同士の情報伝達が妨げられ、記憶や思考、判断といった認知機能が徐々に低下していきます。

一方で、若年性アルツハイマーのすべてが単一の原因で説明できるわけではありません。遺伝的要因を背景に持つケースもあれば、生活習慣や環境要因、脳血管の健康状態、炎症、酸化ストレスなど、複数の因子が重なり合って発症に至るケースも多いと考えられています。そのため近年では、アルツハイマー病を「一つの病気」としてではなく、いくつかの異なるメカニズムが関与する疾患群として捉える視点も広がっています。

現在の研究では、発症前の段階で脳内に起こる変化を早期に捉えるための検査法や、進行を抑える新たな治療法の開発が進められています。画像検査やバイオマーカー研究の進展により、症状が現れる前から異常を検出できる可能性も高まりつつあります。将来的には、発症リスクの評価や個々の病態に応じた治療・予防戦略が確立されることが期待されています。

まとめ

若年性アルツハイマーは、65歳未満で発症するアルツハイマー型認知症で、働き盛りの世代に大きな影響を及ぼします。初期には記憶障害や思考力・言語機能の低下、意欲の減退、感情コントロールの難しさが見られ、遺伝的要因や生活習慣病、脳内へのアミロイドβやタウタンパクの蓄積が発症に関与するといわれています。診断後の平均的な生存期間はおよそ10年で、病状は段階的に進行し、終末期には全面的な介護や緩和ケアが必要となります。若年性アルツハイマーは、本人だけでなく家族全体に影響を与える病気です。早期発見と適切な治療により進行を緩やかにすることが可能であり、医療や介護の専門家と連携しながら、本人と家族が納得できる時間を過ごすことが何よりも大切です。

この記事の監修医師