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若年性アルツハイマーのリスクを高める「2大要因」。頭の怪我と孤立の正体

 公開日:2026/02/02

発症には複数の要因が複雑に絡み合っています。頭部外傷の既往や社会的孤立、知的活動の不足といった要素が、認知機能の低下を招く可能性があります。リスク因子を知ることで、予防的な対策を講じることができます。ここでは、発症リスクを高める具体的な要因について、科学的な根拠を踏まえながら解説します。

鮫島 哲朗

監修医師
鮫島 哲朗(医師)

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脳神経外科
東京逓信病院脳神経外科部長
脳腫瘍 頭蓋底外科センター長

【経歴】
平成2年3月 宮崎医科大学(現宮崎大学)卒業
平成2年6月 宮崎医科大学(現宮崎大学)脳神経外科入局
平成3年4月 九州大学救急部研修(厚生省研修プログラム)
平成14年4月 Duke University Medical Center, USA
University of Torino , Italy
平成22年2月 NTT東日本関東病院脳神経外科主任医長
平成25年4月 浜松医科大学脳神経外科准教授
令和6年10月 東京逓信病院脳神経外科部長 脳腫瘍頭蓋底外科センター長

【専門・資格】
脳腫瘍 頭蓋底腫瘍 困難な脳外科手術等
医学博士
日本脳神経外科学会 専門医・指導医
日本脳卒中学会 専門医

若年性アルツハイマーの発症リスクを高める要因

若年性アルツハイマーの発症には、複数の要因が複雑に絡み合っています。ここでは、リスクを高める具体的な要因について説明します。

頭部外傷と脳へのダメージ

頭部外傷の既往は、若年性アルツハイマーのリスク因子の一つと考えられています。交通事故やスポーツによる頭部への強い衝撃は、脳に深刻なダメージを与えることがあります。特に、意識を失うような重度の頭部外傷を経験した方は、将来的に認知症を発症するリスクが高まる可能性があります。脳は非常にデリケートな器官であり、一度受けたダメージは長期的な影響を及ぼすことがあります。

頭部外傷によって脳内に炎症が起こり、アミロイドβやタウタンパクといった異常なタンパク質が蓄積しやすくなると考えられています。これらのタンパク質は、アルツハイマー病の発症に深く関与しています。また、繰り返し頭部に衝撃を受けることも問題です。ボクシングやアメリカンフットボールなど、接触の多いスポーツ選手に認知症が多いことが指摘されています。こうした繰り返しの外傷は、脳に累積的なダメージを与える可能性があります。

頭部外傷のリスクを減らすためには、自転車やバイクに乗る際にヘルメットを着用する、転倒しないよう住環境を整える、危険なスポーツを行う際は適切な防具を使用するといった対策が重要です。一度受けた外傷は取り消せませんが、今後のダメージを防ぐことは可能です。また、頭部に強い衝撃を受けた場合は、症状がなくても医療機関を受診し、適切な診察を受けることをおすすめします。

社会的孤立と認知刺激の不足

社会的なつながりが少ない方や、知的活動が乏しい生活を送っている方は、若年性アルツハイマーのリスクが高まる可能性があります。

社会的に孤立している方は、会話や対人交流の機会が減り、脳への刺激が不足します。また、孤独感や抑うつ状態が続くと、ストレスホルモンが増加し、脳に悪影響を及ぼすことがわかっています。仕事を退職した後、趣味や社会活動がなく、家に引きこもりがちになると、認知機能が低下しやすくなります。人との会話や交流は、言語機能や記憶機能を刺激し、脳を活性化させる効果があります。

一方、読書や楽器演奏、語学学習といった知的活動を続けている方は、認知症のリスクが低いことが報告されています。これは、脳の予備能力(認知的予備能)が高まるためと考えられています。新しいことに挑戦し、人と交流し、好奇心を持ち続けることが、若年性アルツハイマーの予防につながります。

まとめ

若年性アルツハイマーは、65歳未満で発症するアルツハイマー型認知症で、働き盛りの世代に大きな影響を及ぼします。初期には記憶障害や思考力・言語機能の低下、意欲の減退、感情コントロールの難しさが見られ、遺伝的要因や生活習慣病、脳内へのアミロイドβやタウタンパクの蓄積が発症に関与するといわれています。診断後の平均的な生存期間はおよそ10年で、病状は段階的に進行し、終末期には全面的な介護や緩和ケアが必要となります。若年性アルツハイマーは、本人だけでなく家族全体に影響を与える病気です。早期発見と適切な治療により進行を緩やかにすることが可能であり、医療や介護の専門家と連携しながら、本人と家族が納得できる時間を過ごすことが何よりも大切です。

この記事の監修医師