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40代からの異変「若年性アルツハイマー」初期の“怒りっぽさ”と“無関心”とは

 公開日:2026/02/01

記憶や思考の問題だけでなく、行動や性格にも変化が現れることがあります。これまで楽しんでいた活動への関心が薄れたり、感情のコントロールが難しくなったりするといった変化は、家族や周囲の方が気づきやすい症状です。こうした変化は脳の機能低下によるものであり、本人の意思で制御することは困難です。ここでは、初期段階で見られる行動や性格の変化について解説します。

鮫島 哲朗

監修医師
鮫島 哲朗(医師)

プロフィールをもっと見る
脳神経外科
東京逓信病院脳神経外科部長
脳腫瘍 頭蓋底外科センター長

【経歴】
平成2年3月 宮崎医科大学(現宮崎大学)卒業
平成2年6月 宮崎医科大学(現宮崎大学)脳神経外科入局
平成3年4月 九州大学救急部研修(厚生省研修プログラム)
平成14年4月 Duke University Medical Center, USA
University of Torino , Italy
平成22年2月 NTT東日本関東病院脳神経外科主任医長
平成25年4月 浜松医科大学脳神経外科准教授
令和6年10月 東京逓信病院脳神経外科部長 脳腫瘍頭蓋底外科センター長

【専門・資格】
脳腫瘍 頭蓋底腫瘍 困難な脳外科手術等
医学博士
日本脳神経外科学会 専門医・指導医
日本脳卒中学会 専門医

若年性アルツハイマーの初期に現れる行動や性格の変化

若年性アルツハイマーでは、記憶や思考の問題だけでなく、行動や性格にも変化が現れます。こうした変化は家族や周囲の方が気づきやすい症状です。

意欲の低下と無関心

初期段階から、それまで楽しんでいた趣味や活動への関心が薄れていきます。これはアパシー(無気力・無関心)と呼ばれる症状で、若年性アルツハイマーの特徴的な変化の一つです。以前は積極的に参加していた集まりに行かなくなる、好きだったテレビ番組を見なくなる、身だしなみに無頓着になるといった変化が見られます。これは単なる怠けではなく、脳の機能低下によって意欲そのものが湧かなくなる状態です。

この意欲の低下は、うつ病と混同されることもありますが、性質が異なります。本人は何かをやろうという気持ちが起きず、周囲から促されても反応が乏しくなります。仕事への意欲も低下し、遅刻や欠勤が増える、業務に対する責任感が薄れるといった問題も生じます。家事をしなくなる、入浴を嫌がる、外出を面倒がるなど、日常生活全般への関心が失われていきます。

感情のコントロールの困難さ

若年性アルツハイマーでは、感情のコントロールが難しくなることがあります。些細なことでイライラする、怒りっぽくなる、急に涙もろくなるといった変化です。これまで温厚だった方が攻撃的になったり、几帳面だった方がだらしなくなったりすることもあります。これは、脳の前頭葉という部分の機能が低下することで、感情や行動の抑制が効きにくくなるためです。

不安や焦燥感が強くなることも特徴的です。将来への漠然とした不安を訴えたり、落ち着きなく動き回ったりします。夜間に不安が強まり、睡眠障害を伴うこともあります。また、被害妄想が現れることもあり、「物を盗まれた」「誰かに監視されている」といった訴えをすることがあります。こうした症状は、家族にとって対応が難しく、精神的な負担が大きくなりがちです。

これらの感情や行動の変化は、脳の機能低下によるものであり、本人の意思で制御することは困難です。周囲は性格が変わったと感じ、戸惑いや苦悩を抱えることが少なくありません。しかし、適切な理解と対応により、こうした症状を和らげることは可能です。医療機関で相談し、薬物療法や環境調整などの支援を受けることで、本人も家族も穏やかに過ごせる時間を増やすことができます。

まとめ

若年性アルツハイマーは、65歳未満で発症するアルツハイマー型認知症で、働き盛りの世代に大きな影響を及ぼします。初期には記憶障害や思考力・言語機能の低下、意欲の減退、感情コントロールの難しさが見られ、遺伝的要因や生活習慣病、脳内へのアミロイドβやタウタンパクの蓄積が発症に関与するといわれています。診断後の平均的な生存期間はおよそ10年で、病状は段階的に進行し、終末期には全面的な介護や緩和ケアが必要となります。若年性アルツハイマーは、本人だけでなく家族全体に影響を与える病気です。早期発見と適切な治療により進行を緩やかにすることが可能であり、医療や介護の専門家と連携しながら、本人と家族が納得できる時間を過ごすことが何よりも大切です。

この記事の監修医師