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仕事のミスや道迷い… 40〜50代「若年性アルツハイマー」を疑うべき5つの変化

 公開日:2026/01/31

初期症状は単なる物忘れと区別しにくいため、見逃してしまうことが少なくありません。しかし、日常生活に支障をきたす変化が現れた場合は注意が必要です。記憶障害や思考力の低下など、早期に気づくためのポイントを具体的に理解することで、適切な対応につなげることができます。ここでは、初期段階で現れやすい症状の特徴を詳しく説明します。

鮫島 哲朗

監修医師
鮫島 哲朗(医師)

プロフィールをもっと見る
脳神経外科
東京逓信病院脳神経外科部長
脳腫瘍 頭蓋底外科センター長

【経歴】
平成2年3月 宮崎医科大学(現宮崎大学)卒業
平成2年6月 宮崎医科大学(現宮崎大学)脳神経外科入局
平成3年4月 九州大学救急部研修(厚生省研修プログラム)
平成14年4月 Duke University Medical Center, USA
University of Torino , Italy
平成22年2月 NTT東日本関東病院脳神経外科主任医長
平成25年4月 浜松医科大学脳神経外科准教授
令和6年10月 東京逓信病院脳神経外科部長 脳腫瘍頭蓋底外科センター長

【専門・資格】
脳腫瘍 頭蓋底腫瘍 困難な脳外科手術等
医学博士
日本脳神経外科学会 専門医・指導医
日本脳卒中学会 専門医

若年性アルツハイマーの初期症状を見分けるポイント

若年性アルツハイマーの初期症状は、単なる物忘れと区別しにくいことがあります。しかし、日常生活に支障をきたす変化が現れた場合は注意が必要です。ここでは、早期に気づくためのポイントを具体的に説明します。

記憶障害と日常生活の変化

若年性アルツハイマーの代表的な初期症状として、記憶障害が挙げられます。ただし、加齢による物忘れとは性質が異なります。加齢による物忘れは体験の一部を忘れる程度ですが、若年性アルツハイマーでは体験そのものを忘れてしまいます。たとえば、昨日の夕食で何を食べたか思い出せないのは一般的な物忘れですが、夕食を食べたこと自体を忘れてしまうのが認知症の特徴です。

また、直近の出来事を覚えていられない短期記憶の障害が目立ちます。約束を忘れる、同じことを何度も聞く、大切な予定を思い出せないといった症状が繰り返し現れ、日常的な場面での困りごとが増えていきます。

さらに、時間や場所の感覚が曖昧になる見当識障害も現れます。今日が何月何日かわからない、今いる場所がどこかわからない、慣れた道で迷うといった症状です。これらの変化は徐々に進行するため、本人も周囲も「疲れているだけ」「ストレスのせい」と見過ごしてしまうことが少なくありません。

思考力と判断力の低下

記憶障害に加えて、思考力や判断力の低下も初期段階から認められます。複雑な作業を段取りよく進めることが難しくなったり、計算ミスが増えたりします。たとえば、料理を作る際に手順がわからなくなる、家計の管理ができなくなる、仕事で報告書をまとめられなくなるといった変化です。

言葉が出てこない、適切な言葉を選べないという言語機能の問題も生じます。会話の中で「あれ」「それ」といった指示語が増え、具体的な名詞が思い出せなくなります。話の内容が支離滅裂になったり、同じ話を繰り返したりすることもあります。このため、職場や家庭でのコミュニケーションに支障が出始めます。周囲の方からは「話が通じにくくなった」「言いたいことがわからない」といった印象を持たれることが増えるでしょう。

また、判断力の低下により、これまで適切に対応できていた問題に対処できなくなります。服装の選び方がおかしくなる、季節外れの服を着る、不要なものを大量に購入する、詐欺被害に遭いやすくなるといった変化が見られます。こうした症状は、社会生活を送るうえで大きな障害となります。

まとめ

若年性アルツハイマーは、65歳未満で発症するアルツハイマー型認知症で、働き盛りの世代に大きな影響を及ぼします。初期には記憶障害や思考力・言語機能の低下、意欲の減退、感情コントロールの難しさが見られ、遺伝的要因や生活習慣病、脳内へのアミロイドβやタウタンパクの蓄積が発症に関与するといわれています。診断後の平均的な生存期間はおよそ10年で、病状は段階的に進行し、終末期には全面的な介護や緩和ケアが必要となります。若年性アルツハイマーは、本人だけでなく家族全体に影響を与える病気です。早期発見と適切な治療により進行を緩やかにすることが可能であり、医療や介護の専門家と連携しながら、本人と家族が納得できる時間を過ごすことが何よりも大切です。

この記事の監修医師