目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 食後2時間のイライラは低血糖?血糖値の急降下が招く不調と悪循環を防ぐ食事術

食後2時間のイライラは低血糖?血糖値の急降下が招く不調と悪循環を防ぐ食事術

 公開日:2025/12/29
血糖値の急降下と低血糖様症状

血糖値が急激に上昇した後、インスリンの作用により血糖値が急速に下がることがあります。この血糖値の急降下は身体的・精神的な不快感をもたらし、日常生活に支障をきたすことがあります。空腹感、発汗、手の震え、集中力の低下といった症状が現れ、これを解消するために再び甘いものを摂取する悪循環が生じやすくなります。血糖値の変動パターンを理解し、適切な食事の工夫で症状を予防することが大切です。

滝村 英幸

監修医師
滝村 英幸(医師)

プロフィールをもっと見る
2006年3月 聖マリアンナ医科大学医学部医学科卒業
2006年4月 聖マリアンナ医科大学病院 初期臨床研修医
2008年4月  済生会横浜市東部病院 循環器内科
2016年12月  総合東京病院(東京都中野区) 循環器内科
2017年 総合東京病院(東京都中野区) 心臓血管センター
2022年4月 総合東京病院(東京都中野区) 心臓血管センター 循環器内科 心臓血管インターベンション科 科長

【専門・資格・所属】
内科・循環器内科一般
冠動脈カテーテルインターベンション治療
末梢血管カテーテル治療
フットケア
心血管超音波検査

日本内科学会認定内科医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本心血管インターベンション治療学会認定心血管カテーテル治療専門医
日本心エコー図学会SHD心エコー図認定医

血糖値の急降下と低血糖様症状

血糖値が急激に上昇した後、インスリンの作用により血糖値が急速に下がることがあります。この血糖値の急降下は、低血糖様症状を引き起こし、身体的・精神的な不快感をもたらすことがあります。血糖値の変動パターンを理解し、適切な対策をとることが求められます。

インスリンの過剰分泌と血糖値の急降下

お菓子を食べて血糖値が急上昇すると、膵臓は速やかにインスリンを分泌し、血糖値を正常範囲に戻そうとします。しかし、血糖値の上昇が急激すぎる場合、インスリンの分泌も過剰になり、血糖値が正常値を下回る水準まで下がることがあります。この状態は反応性低血糖と呼ばれ、食後数時間以内に現れることが一般的です。反応性低血糖では、血糖値が急速に低下するため、身体がエネルギー不足を感じ、さまざまな症状が現れます。症状には、空腹感、発汗、手の震え、動悸、集中力の低下、イライラ、倦怠感などがあります。これらの症状は、血糖値が再び上昇すると改善しますが、再び甘いものを摂取することで血糖値スパイクが繰り返され、悪循環に陥ることがあります。

低血糖様症状と再摂取の悪循環

血糖値の急降下による低血糖様症状は、不快感や不安を引き起こし、これを解消するために再び甘いものを摂取する行動を促します。しかし、この対応は血糖値の再上昇とその後の急降下を招き、症状が繰り返される悪循環を形成します。この悪循環は、お菓子への依存傾向を強める要因の一つと考えられています。低血糖様症状を防ぐためには、血糖値の変動を穏やかに保つ食事の工夫が重要です。食物繊維やタンパク質を含む食品を優先的に摂取し、精製された糖質の摂取を控えることで、血糖値の急激な変動を抑えることができます。また、規則正しい食事時間を保ち、間食の頻度や量を調整することも有効です。症状が頻繁に現れる場合や、日常生活に支障をきたす場合は、医師に相談し、血糖値の測定や詳しい検査を受けることを検討してください。

まとめ

お菓子への依存傾向は、脳の報酬系の働きや習慣化、血糖値の変動といった複数の要因が絡み合って生じます。摂取量の増加や欲求のコントロールの難しさを感じる場合は、行動パターンの見直しや環境調整、専門家への相談が有効です。お菓子の過剰摂取は、血糖値の急激な変動を引き起こし、長期的にはインスリン抵抗性や糖尿病のリスクを高める可能性があります。また、カロリー過多による肥満は、メタボリックシンドロームをはじめとする生活習慣病のリスク因子となり、心血管疾患などの重篤な合併症につながる恐れがあります。さらに、お菓子に含まれる糖質は、口腔内細菌による酸の産生を促し、むし歯の発生リスクを高めます。これらのリスクは、食事内容の見直し、規則正しい生活習慣、適切な口腔ケア、定期的な健康診断や歯科受診といった予防行動により軽減できます。無理のない範囲で継続可能な対策を選び、自身の健康状態を把握しながら、お菓子との適切な付き合い方を見つけることが大切です。気になる症状がある場合や、改善が難しいと感じる場合は、医師や管理栄養士、歯科医師などの専門家に相談し、個別の助言を受けることを検討してください。

この記事の監修医師