『タンパク質』は1日何グラム必要? 性別や年齢で変わる「正解の量」とは?【専門家解説】

食事以外にも、飲み物からタンパク質を摂取する方法があります。運動後や食事が十分に摂れないときなど、手軽にタンパク質を補給できる選択肢として活用できるでしょう。プロテインドリンクや牛乳、豆乳などには、それぞれ異なる特徴があり、目的や体質に応じて選ぶことが大切です。ここでは、タンパク質を含む飲み物の種類や特徴、食品に含まれるタンパク質量の一覧、年齢や活動量に応じた必要量について解説します。適切な摂取量を知ることで、健康的な身体づくりをサポートできる可能性があります。

監修管理栄養士:
中西 真悠(管理栄養士)
2020年3月 女子栄養大学 栄養学部 実践栄養学科 卒業
2020年4月 株式会社野口医学研究所 入社
同年よりフリーの管理栄養士として活動開始、現在に至る
・法人向け健康経営支援サービスの立ち上げと推進(新規および既存顧客への営業活動を主導)
・食と健康に関する指導プログラムの実施(延べ2000人以上を対象にセミナーや測定会を通じて個別指導を実施)
・SNSでの情報発信によるブランディング
∟ Instagramにて食と健康に関する情報を発信し、フォロワー5万人超を達成
∟ 企業のSNS商品撮影代行やレシピ開発を400件以上実施
・サプリメントや雑貨のお客様相談室にてコールセンター業務を担当
・保険調査業務の実務を担当
目次 -INDEX-
タンパク質を含む飲み物の選び方
食事以外にも、飲み物からタンパク質を摂取することができます。特に運動後や食事が十分に摂れないときなど、手軽にタンパク質を補給できる方法として有用です。
プロテインドリンクとその種類
プロテインドリンクは、効率的にタンパク質を摂取できる飲料として、スポーツや健康管理の分野で広く利用されています。主な種類としては、ホエイプロテイン、カゼインプロテイン、ソイプロテインなどがあります。
ホエイプロテインは牛乳から作られる乳清タンパク質で、吸収が速く、筋肉の合成を促進する効果が高いとされています。運動直後の摂取に適しており、トレーニングを行う方に広く利用されています。製品によりますが、1回分で20g〜30g程度のタンパク質を摂取できます。
カゼインプロテインも牛乳由来のタンパク質ですが、ゆっくりと吸収されるため、就寝前の摂取に適しています。長時間にわたってアミノ酸を供給し続けることで、筋肉の分解を抑える効果が期待できます。ソイプロテインは大豆から作られる植物性プロテインで、乳製品にアレルギーがある方や、植物性の食生活を送る方に適しています。吸収速度は中程度で、イソフラボンも含まれているため、女性ホルモンのバランスをサポートする効果も期待されています。
牛乳や豆乳などの日常的な飲み物
牛乳は手軽にタンパク質を摂取できる飲み物として、古くから利用されています。200mlあたり約6.6gのタンパク質を含み、カルシウムやビタミンB群も豊富です。成長期の子どもや高齢の方の栄養補給に有用といえるでしょう。
豆乳は植物性のタンパク質源として、牛乳の代替品や補完的な飲み物として利用されています。200mlあたり約7.2gのタンパク質を含み、コレステロールを含まないため、心血管系の健康を意識する方にも適しています。
低脂肪乳や無脂肪乳は、脂質を抑えながらタンパク質とカルシウムを摂取できるため、体重管理を行っている方や、脂質の摂取を制限する必要がある方に推奨されます。ただし、脂溶性ビタミンの吸収には脂質が必要なため、食事全体のバランスを考慮することが大切です。
食品に含まれるタンパク質量の一覧
日常的に摂取する食品のタンパク質含有量を把握しておくことで、効率的な食事計画を立てることができます。ここでは、主な食品のタンパク質量を分類して示します。
動物性食品のタンパク質含有量
肉類では、鶏ささみが100gあたり約24gと高く、次いで鶏むね肉が約23g、牛もも肉が約21g、豚ヒレ肉が約22g程度となっています。加工肉であるハムやソーセージもタンパク質を含みますが、塩分や添加物が多いため、摂取頻度には注意が必要です。
魚類では、マグロの赤身が100gあたり約26gと高く、サーモンが約22g、サバが約20g、イワシが約19g程度です。缶詰の魚も手軽なタンパク質源となり、サバ缶やツナ缶は保存性も高く、日常的に利用しやすい食材といえます。
卵は1個(約50g)あたり約6g、牛乳は200mlあたり約6.6g、ヨーグルトは100gあたり約3.6g程度のタンパク質を含んでいます。チーズはプロセスチーズで100gあたり約22g、カマンベールチーズで約19g程度となります。これらの数値は目安であり、製品や調理方法によって変動する場合があります。
植物性食品のタンパク質含有量
大豆製品では、乾燥大豆が100gあたり約33gと高く、豆腐は木綿で約6.6g、絹ごしで約4.9g、納豆は約16.5g程度です。豆乳は200mlあたり約7.2gとなります。
その他の豆類では、レンズ豆(ゆで)が100gあたり約9g、ひよこ豆(ゆで)が約9g、黒豆(ゆで)が約8.6g程度です。豆類は食物繊維も豊富なため、腸内環境の改善にも役立つ可能性があります。
穀物では、オートミールが100gあたり約13g、玄米(ゆで)が約2.8g、キヌア(ゆで)が約4.4g程度となります。パンや麺類もタンパク質を含みますが、主成分は炭水化物であるため、タンパク質の主要な供給源とはなりにくいでしょう。ナッツ類では、アーモンドが100gあたり約20g、カシューナッツが約18g、ピーナッツが約26g程度のタンパク質を含んでいます。ただし、脂質も多く含まれるため、摂取量には配慮が必要です。
年齢と活動量に応じたタンパク質の必要量
タンパク質の必要量は、年齢や性別、身体活動レベルによって異なります。適切な摂取量を知ることで、健康的な身体づくりをサポートすることができます。
一般的なタンパク質摂取の推奨量
厚生労働省が示す「日本人の食事摂取基準」によれば、成人男性の推奨量は1日あたり65g、成人女性は50gとされています。この数値は、体重1kgあたり約0.9g〜1.0gに相当します。ただし、これは一般的な目安であり、個人の健康状態や活動量によって調整が必要な場合があります。
成長期の子どもや思春期の若者は、身体の成長に必要なタンパク質量が多くなります。10歳〜11歳の男児では1日あたり50g、12歳〜14歳では60g、15歳〜17歳では65gが推奨されています。女児では10歳〜11歳で50g、12歳〜14歳で55g、15歳〜17歳で55gとなります。
高齢者は筋肉量の維持が重要となるため、若年者と同等かそれ以上のタンパク質摂取が推奨されることがあります。サルコペニア(加齢性筋肉減少症)の予防には、体重1kgあたり1.0g〜1.2g程度のタンパク質摂取が有用とされています。ただし、腎機能が低下している高齢の方は、タンパク質の摂取量について医療機関で相談することが推奨されます。
運動習慣がある方のタンパク質必要量
定期的に運動を行う方は、筋肉の修復や増強のために、一般的な推奨量よりも多くのタンパク質を必要とします。軽度から中程度の運動を行う場合は、体重1kgあたり1.2g〜1.4g程度が目安となります。
筋力トレーニングを積極的に行う方やアスリートの場合は、体重1kgあたり1.6g〜2.0g程度のタンパク質摂取が推奨されることがあります。たとえば、体重70kgの方であれば、1日あたり112g〜140g程度となります。ただし、これらの数値は研究に基づく目安であり、個人の体質やトレーニング内容によって適切な量は異なります。
持久系のスポーツを行う方も、筋肉の修復やエネルギー代謝に関わるため、体重1kgあたり1.2g〜1.4g程度のタンパク質が必要とされます。運動強度や頻度、個人の身体の状態によっても適切な量は変わってくるため、自身の身体の状態を観察しながら調整することが大切です。必要に応じて、管理栄養士やスポーツ栄養の専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
タンパク質は私たちの身体を構成する基本的な栄養素であり、適切な量を効率よく摂取することが健康維持に不可欠です。動物性食品と植物性食品の両方から、バランスよくタンパク質を取り入れることで、必要なアミノ酸を満たすことができます。年齢や活動量に応じた必要量を理解し、過剰摂取による健康リスクにも注意しながら、日々の食生活に取り入れていくことが重要です。自身の健康状態や生活習慣を見直し、必要に応じて医療機関や専門家に相談しながら、適切なタンパク質摂取を心がけましょう。