バセドウ病だけじゃない?プランマー病など「結節」が原因の甲状腺機能亢進症2つの病態

バセドウ病以外の原因として、甲状腺内に自律性の結節ができることでホルモンが過剰産生される病態があります。プランマー病や中毒性多結節性甲状腺腫と呼ばれるこれらの疾患は、比較的高齢の方に多く、脳下垂体からの調節を受けずに独自にホルモンを産生する特徴があります。

監修医師:
上田 洋行(医師)
大阪大学医学部卒業
住友病院、大阪大学医学部附属病院にて勤務
専門は糖尿病・内分泌・代謝内科
【資格】
・日本専門医機構認定内科専門医
・日本糖尿病学会糖尿病専門医
・内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医
プランマー病と甲状腺腺腫による亢進
バセドウ病以外の原因として、甲状腺内に自律性の結節ができることでホルモンが過剰に産生される病態があります。これらは結節性甲状腺疾患と呼ばれ、プランマー病や中毒性多結節性甲状腺腫が含まれます。
自律性結節の形成とホルモン分泌
プランマー病では、甲状腺内に1個の自律性結節(腺腫)ができ、この結節が脳下垂体からの調節を受けずに独自に甲状腺ホルモンを産生します。結節の大きさは数ミリから数センチまでさまざまで、大きいほどホルモン産生量も多くなる傾向があります。結節が大きくなると、首の腫れとして外から触れることもあります。
中毒性多結節性甲状腺腫では、複数の結節が甲状腺内に存在し、それぞれがホルモンを産生します。この病態は比較的高齢の方に多くみられ、長年にわたる甲状腺の刺激や変化が背景にあると考えられています。若年者のバセドウ病とは異なり、緩やかに進行することが多いのが特徴です。
これらの結節性疾患では、バセドウ病と異なり自己抗体は陰性です。シンチグラフィー検査では、結節部分のみに放射性ヨウ素の取り込みが集中し、周囲の正常甲状腺組織の取り込みは抑制されるパターンが特徴的です。この所見により、バセドウ病との鑑別が可能になります。
結節性疾患の診断と治療の特徴
結節性甲状腺疾患の診断には、触診や超音波検査で結節の存在を確認することが重要です。血液検査では甲状腺ホルモンの上昇がみられますが、バセドウ病ほど高度でない場合もあります。症状も比較的軽度であることが多く、健康診断で偶然発見されることも少なくありません。
結節が悪性でないことを確認するために、細胞診という検査が行われることがあります。細い針を刺して細胞を採取し、顕微鏡で観察する検査で、外来で実施できる比較的簡便な方法です。この検査により、良性か悪性かの判断が可能になります。
治療法としては、放射性ヨウ素治療や手術が選択されることが多く、バセドウ病で用いられる抗甲状腺薬は一時的な対症療法として使われます。根本的な治療には結節そのものへの対処が必要となるためです。治療法の選択には、結節の大きさや数、患者さんの年齢や全身状態などが考慮されます。
まとめ
甲状腺機能亢進症は適切な診断と治療により、多くの場合で症状の改善が期待できる疾患です。動悸や体重減少、手の震えといった症状に気づいたら、早めに内科や内分泌内科を受診することが大切です。女性や家族歴のある方は特に注意が必要であり、定期的な健康チェックを心がけることが推奨されます。食事面ではヨウ素含有食品に注意し、バランスの取れた栄養摂取を心がけましょう。症状や治療について不安がある場合は、遠慮せず専門の医師に相談することをおすすめします。