その首の痛みは「椎骨動脈解離」のサインかも? 日常生活における3つの落とし穴を医師が解説

椎骨動脈は首の骨の周囲を走行しているため、首を大きくひねる、強く反らせる、長時間無理な姿勢を続けるといった動作が、血管にとって見えない負担となることがあります。整体やカイロプラクティックでの首の矯正、美容院でのシャンプー時の姿勢、スポーツ中の衝撃など、日常生活の中には首に負荷がかかる場面が多く存在します。ここでは、どのような場面で首への負担が大きくなりやすいのか、また注意すべき具体的なポイントについて解説します。

監修医師:
鮫島 哲朗(医師)
東京逓信病院脳神経外科部長
脳腫瘍 頭蓋底外科センター長
【経歴】
平成2年3月 宮崎医科大学(現宮崎大学)卒業
平成2年6月 宮崎医科大学(現宮崎大学)脳神経外科入局
平成3年4月 九州大学救急部研修(厚生省研修プログラム)
平成14年4月 Duke University Medical Center, USA
University of Torino , Italy
平成22年2月 NTT東日本関東病院脳神経外科主任医長
平成25年4月 浜松医科大学脳神経外科准教授
令和6年10月 東京逓信病院脳神経外科部長 脳腫瘍頭蓋底外科センター長
【専門・資格】
脳腫瘍 頭蓋底腫瘍 困難な脳外科手術等
医学博士
日本脳神経外科学会 専門医・指導医
日本脳卒中学会 専門医
ストレスと椎骨動脈解離の関連性
椎骨動脈は首の骨の周りを走っているため、首を大きくひねる、強く反らせる、長時間不自然な姿勢を続けるといった動作が重なると、血管にとっては見えないストレスとなることがあります。ここでは、日常生活の中で注意したい具体的な場面とその際に意識したいポイントを解説します。
整体・カイロプラクティック・美容院で首にかかる負荷
椎骨動脈解離の誘因としてしばしば挙げられるのが、整体やカイロプラクティックなどで行われる首の矯正です。特に首を勢いよくひねるような施術や、音が鳴るほど大きく捻転させる手技は、首の骨の周囲を走る椎骨動脈に急激な力を加える可能性があり、施術後すぐに症状が出る場合もあれば、数時間〜数日たってから後頭部〜首の痛みとして自覚されることもあり、「ただの揉み返し」と区別がつきにくいです。
また美容院でのシャンプー時に、仰向けで首を強く反らせた姿勢のまま長時間固定されることも、椎骨動脈にとっては負担となり得ます。洗髪ボウルの高さや形状によっては、首の後ろに局所的な圧迫がかかり、血管が過度に伸ばされる場合があります。施術中に首や後頭部に違和感やしびれ、吐き気を感じた場合には、遠慮せず姿勢を変えてもらうことが大切です。
スポーツや日常動作で首にかかる「見えないストレス」
日常生活の中にも、椎骨動脈に負荷がかかりやすい場面はいくつもあります。たとえば、転倒や衝突によって首が急に前後左右に振られることが多いサッカーやラグビー、スキーやスノーボードなどのスピードの出るスポーツ、バレエや体操、ヨガのように首を大きく反らせたりねじったりする動きの多い競技でも、繰り返しの負荷が血管へのストレスとなる可能性があります。
また、重い荷物を持ち上げる際に、体全体ではなく首や肩だけで支えようとすると、首の周囲の筋肉とともに血管にも強い力が加わります。長時間のデスクワークで頭を前に突き出した姿勢を続けることや、スマートフォンをうつむいた姿勢で見続けることも、首の後ろ側にじわじわとしたストレスを与える原因のひとつです。こうした動作が直ちに椎骨動脈解離を起こすわけではありませんが、少しの衝撃や姿勢が積み重なることで血管に負担がかかるという視点を持ち、できるだけ負荷を分散させる工夫が大切です。
まとめ
椎骨動脈解離は、突然の頭痛や首の痛みといった見過ごしやすい症状から始まることも多い疾患です。初期症状を正確に認識し、速やかに医療機関を受診することで、重篤な合併症を予防できる可能性が高まります。適切な治療により多くの方が回復されていますが、再発予防のためには長期的な管理が欠かせません。血圧コントロール、ストレス管理、定期的な画像検査など、継続的な取り組みが重要です。気になる症状がある場合には、早めに神経内科や脳神経外科を受診し、専門医の診察を受けることをおすすめします。