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老眼は目薬で治る?海外で注目の治療薬の効果と副作用、市販薬でできる疲れ目ケアの限界

 公開日:2025/12/14
老眼に効果的な目薬

老眼に対する目薬は近年注目を集めていますが、その効果や適応には限界があります。海外では縮瞳剤を含む目薬が開発され、瞳孔を小さくすることで一時的に近方視力を改善する効果がありますが、日本国内では老眼を根本的に治療する点眼薬は承認されていません。市販の目薬の多くは、老眼に伴う目の疲れや乾燥を軽減することを目的としており、補助的な役割として使用するものと考えられます。適切な矯正と組み合わせることが重要です。

柿崎 寛子

監修医師
柿崎 寛子(医師)

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三重大学医学部卒業 / 現在はVISTA medical center shenzhen 勤務 / 専門は眼科

老眼に効果的な目薬

老眼に対する目薬は、近年注目を集めている対処法の一つです。ただし、その効果や適応には限界があり、すべての方に有効とは限りません。

老眼治療用の処方目薬とその効果

現在、日本国内では老眼を根本的に治療する点眼薬は承認されていませんが、海外では老眼の症状を一時的に改善する目薬が開発され、一部の国で承認されています。
これらの目薬は、縮瞳剤と呼ばれる成分を含んでおり、瞳孔を小さくすることで焦点深度を深くし、近くのものが見えやすくなる効果をもたらします。これはピンホール効果と同じ原理で、カメラの絞りを絞ると被写界深度が深くなるのと同様の仕組みです。
効果は点眼後数時間続くとされており、必要なときに点眼することで、一時的に近方視力を改善できます。ただし、瞳孔が小さくなることで、暗い場所では見えにくくなる、夜間の運転が困難になるなどの副作用があります。
また、頭痛や眼痛、充血などの副作用が報告されており、すべての方に使用できるわけではありません。緑内障や虹彩炎などの眼疾患がある方は使用できない場合があります。

市販の目薬と老眼対策のサポート

市販されている目薬の中には、「老眼」や「疲れ目」といった表示があるものがあります。これらの多くは、老眼そのものを治療するものではなく、老眼に伴う症状を軽減することを目的としています。
ビタミンB12やネオスチグミンメチル硫酸塩などの成分を含む目薬は、毛様体筋の疲労を和らげ、ピント調節をサポートする効果があるとされています。長時間の近見作業による目の疲れを軽減するには一定の効果が期待できます。
また、老眼の方は涙液の分泌量が減少していることが多く、ドライアイを併発している場合があります。人工涙液や角膜保護成分を含む目薬を使用することで、目の乾燥を改善し、快適さを保つことができます。
ただし、市販の目薬はあくまで補助的な役割であり、老眼の根本的な解決にはなりません。適切な矯正を行うことが重要であり、目薬はその補助として使用するものと考えてください。
目薬を選ぶ際には、自分の症状に合った成分が含まれているかを確認し、使用方法を守ることが大切です。防腐剤が含まれている目薬の頻回使用は、角膜障害を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

まとめ

老眼は加齢に伴う自然な変化ですが、適切な対処によって生活の質を大きく改善できます。コンタクトレンズや眼鏡による矯正、レーシックなどの外科的治療、目薬の使用など、選択肢は多様です。近視や遠視などの屈折異常がある場合は、その影響も考慮した矯正が必要になります。定期的な検診によって、ほかの眼疾患の早期発見にもつながります。
老眼は誰にでも訪れる変化ですが、適切な知識と対処によって、その影響を抑えることができます。目の健康は生活の質に直結するため、日頃から意識的にケアすることが大切です。

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