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30代から始まる人も。遠視の老眼は進行が早い傾向あり!近視との違いと正しい矯正法

 公開日:2025/12/11
老眼における近視と遠視の影響

老眼の症状は、もともとの屈折異常の種類によって現れ方が異なります。遠視の方は若い頃から調節力を酷使しているため、近視の方に比べて早い時期から老眼の症状を自覚することが多い傾向があります。近視の方は遠方視力矯正用の眼鏡と老眼鏡を使い分けることが一般的ですが、遠視の方は遠近両用眼鏡の装用が推奨されます。屈折異常の種類に応じた適切な矯正を行うことで、快適な視生活を維持できます。

柿崎 寛子

監修医師
柿崎 寛子(医師)

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三重大学医学部卒業 / 現在はVISTA medical center shenzhen 勤務 / 専門は眼科

老眼における近視と遠視の影響

老眼の症状は、もともとの屈折異常の種類によって現れ方が異なります。近視の方と遠視の方では、老眼が始まったときの自覚症状や対処法に違いがあります。

遠視の方の老眼症状の特徴

遠視は、眼球の奥行きが短い、または角膜や水晶体の屈折力が弱いために、光が網膜の後方で焦点を結ぶ状態です。遠視の方は、若い頃から調節力を使って遠方も近方も見ていたため、目が疲れやすい傾向にありました。
老眼が加わると、もともと酷使していた調節力がさらに低下するため、近視の方に比べて早い時期から症状を自覚することが多いです。30歳代後半から40歳代前半で手元の見えにくさを感じ始める方もおり、老眼の進行も早く感じられる傾向があります。
遠視の方は、遠くを見るときも近くを見るときも調節力を必要とするため、老眼が進行すると両方の距離で見えにくさを感じます。このため、遠近両用眼鏡が必要になる時期が早く、矯正の度数も大きくなることがあります。
遠視の自覚がないまま過ごしてきた方も多く、老眼の症状が出て初めて眼科を受診し、遠視が判明するケースもあります。適切な矯正を行うことで、目の疲れや頭痛などの症状が大幅に改善することがあります。

屈折異常別の老眼対策と矯正方法

近視の方は、遠方視力矯正用の眼鏡と老眼鏡を使い分けるか、遠近両用眼鏡を使用することが一般的です。軽度の近視であれば、遠方用眼鏡を外すことで手元が見えるため、状況に応じた使い分けが容易です。
遠視の方は、常に眼鏡が必要になることが多く、遠近両用眼鏡の装用が推奨されます。遠視矯正をしないまま老眼鏡だけを使用すると、遠方視力が低下したり、目の疲労が増したりするため、適切な処方を受けることが重要です。
正視(屈折異常がない状態)の方は、老眼の症状が出るまで眼鏡が不要だった分、初めて眼鏡を使用することに抵抗を感じる場合があります。しかし、適切な老眼鏡を使用することで、快適な視生活を維持できます。
乱視がある方は、老眼鏡にも乱視矯正を加える必要があります。市販の既製老眼鏡では乱視矯正ができないため、眼科で処方を受け、個別に製作した眼鏡を使用することが望ましいです。
どの屈折異常であっても、老眼の進行に合わせて定期的に度数を見直し、適切な矯正を維持することが、目の健康と生活の質を保つうえで重要です。

まとめ

老眼は加齢に伴う自然な変化ですが、適切な対処によって生活の質を大きく改善できます。コンタクトレンズや眼鏡による矯正、レーシックなどの外科的治療、目薬の使用など、選択肢は多様です。近視や遠視などの屈折異常がある場合は、その影響も考慮した矯正が必要になります。定期的な検診によって、ほかの眼疾患の早期発見にもつながります。
老眼は誰にでも訪れる変化ですが、適切な知識と対処によって、その影響を抑えることができます。目の健康は生活の質に直結するため、日頃から意識的にケアすることが大切です。

この記事の監修医師