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白内障と同時に老眼も治療!眼鏡が不要になる多焦点眼内レンズと角膜インレーの特徴を解説

 公開日:2025/12/09
老眼に対するレーシック以外の外科的治療

老眼の外科的治療には、レーシック以外にも複数の選択肢があります。白内障手術の際に用いられる多焦点眼内レンズは、遠方と近方の両方に焦点を持つ設計で、眼鏡依存度を大幅に減らすことができます。また、角膜インレーはピンホール効果によって近方視力を改善する方法で、侵襲が少なく取り出すことも可能です。それぞれの治療法には利点と限界があるため、眼科の専門の医師と十分に相談することが重要です。

柿崎 寛子

監修医師
柿崎 寛子(医師)

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三重大学医学部卒業 / 現在はVISTA medical center shenzhen 勤務 / 専門は眼科

老眼に対するレーシック以外の外科的治療

老眼の外科的治療には、レーシック以外にも複数の選択肢があります。近年では、白内障手術の際に用いられる多焦点眼内レンズや、角膜インレーなどが注目されています。

多焦点眼内レンズによる老眼矯正

多焦点眼内レンズは、白内障手術の際に水晶体を取り除いた後に挿入する人工レンズの一種です。従来の単焦点レンズでは遠方か近方のいずれか一方に焦点を合わせる必要がありましたが、多焦点レンズは複数の距離に焦点を持つ設計となっており、遠方と近方の両方を見ることが可能です。
多焦点眼内レンズには、2焦点タイプと3焦点タイプがあります。2焦点タイプは遠方と近方に焦点を持ち、3焦点タイプはさらに中間距離にも焦点があるため、パソコン作業などにも対応しやすくなっています。
この治療法は、白内障がある方には特に有効です。白内障の手術と同時に老眼も改善できるため、術後の眼鏡依存度を大幅に減らすことができます。ただし、見え方には慣れが必要で、夜間にハローやグレアと呼ばれる光のにじみを感じる場合があります。
多焦点眼内レンズは、選定療養として扱われることが多く、白内障手術の基本部分は保険適用となりますが、レンズの差額は自己負担となります。

角膜インレーとそのほかの治療法

角膜インレーは、角膜内に小さなリング状の器具を埋め込むことで、ピンホール効果によって近方視力を改善する方法です。角膜を削らないため、侵襲が少なく、必要に応じて取り出すことも可能です。
片目にのみ挿入するのが一般的で、挿入した目で近方を、もう片方の目で遠方を見るモノビジョンの状態を作ります。手術時間は短く、回復も早い傾向にあります。
ただし、角膜インレーにも限界があります。夜間視力の低下やコントラスト感度の低下が報告されており、すべての方に満足のいく結果が得られるわけではありません。また、国内では未承認の製品もあり、使用にあたっては慎重な判断が求められます。
そのほかの治療法としては、伝導性角膜形成術(CK)などがありますが、効果の持続期間が限定的であることや、施行できる施設が限られていることから、広く普及しているとはいえません。

まとめ

老眼は加齢に伴う自然な変化ですが、適切な対処によって生活の質を大きく改善できます。コンタクトレンズや眼鏡による矯正、レーシックなどの外科的治療、目薬の使用など、選択肢は多様です。近視や遠視などの屈折異常がある場合は、その影響も考慮した矯正が必要になります。定期的な検診によって、ほかの眼疾患の早期発見にもつながります。
老眼は誰にでも訪れる変化ですが、適切な知識と対処によって、その影響を抑えることができます。目の健康は生活の質に直結するため、日頃から意識的にケアすることが大切です。

この記事の監修医師