目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 「味噌汁」を控えるべき人とは? 塩分を制限するための出汁と具材の工夫【管理栄養士監修】

「味噌汁」を控えるべき人とは? 塩分を制限するための出汁と具材の工夫【管理栄養士監修】

 公開日:2025/11/18

味噌汁は健康効果が期待される一方で、特定の疾患を持つ方や体質によっては摂取を制限する必要があります。塩分制限が必要な循環器疾患や腎臓病の方、プリン体制限が必要な痛風や高尿酸血症の方は特に注意が必要です。ここでは医学的な観点から、どのような状態の方が摂取を控えるべきかを具体的に説明します。

武井 香七

監修管理栄養士
武井 香七(管理栄養士)

プロフィールをもっと見る
帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科卒業 横浜未来ヘルスケアシステム、戸塚共立第一病院3年7ヶ月勤務 株式会社コノヒカラ、障がい者グループホーム半年勤務 その後フリーランスを経て株式会社Wellness leadを設立。栄養士事業と健康事業を行なっている。

保有免許・資格
管理栄養士資格

味噌汁を控えるべき方の条件

味噌汁は健康効果が期待される一方で、特定の疾患を持つ方や体質によっては摂取を制限する必要があります。塩分制限が必要な方とプリン体制限が必要な方について理解することが重要です。

塩分制限が必要な方

高血圧症、心不全、腎臓病といった疾患で塩分制限を指示されている方は、味噌汁の摂取に注意が必要です。一般的な味噌汁一杯には約1.2から2グラムの食塩が含まれており、1日の塩分摂取目標量の大きな割合を占めます。特に慢性腎臓病では塩分とカリウムの両方を制限する必要があり、味噌汁の摂取は慎重に判断すべきです。 減塩味噌を使用しても完全に塩分を除去できるわけではありません。塩分制限が厳しく指示されている場合は、味噌汁の頻度を減らすか、1回の量を少なくする必要があります。また出汁を濃くして味噌の使用量を減らす工夫も有効です。医師や管理栄養士と相談し、個々の病態に応じた適切な摂取量を確認することが重要です。 腎機能が低下している方では、カリウムの制限も必要になります。野菜や海藻に多く含まれるカリウムは、腎臓での排泄が困難になると血中濃度が上昇し、不整脈のリスクを高めます。この場合、具材の種類と量にも配慮が必要です。

プリン体制限が必要な方

痛風や高尿酸血症の方は、プリン体の摂取を制限する必要があります。味噌そのものには大豆由来のプリン体が含まれますが、味噌100gあたりのプリン体量は約50~70mgで中程度です。ただし通常1杯分では摂取量はごく少量にとどまります。しかし煮干しや鰹節、魚介類を使った出汁や具材はプリン体を多く含むため注意が必要です。 プリン体は水に溶けやすい性質があり、出汁を取る過程で溶け出します。そのため煮干し出汁や魚出汁を使った味噌汁は、昆布や野菜だけの出汁に比べてプリン体含有量が高くなります。痛風発作の既往がある方や尿酸値が高い方は、出汁の種類を選び、魚介類の具材を控えることが推奨されます。

まとめ

味噌汁は日本の伝統的な食文化の中で受け継がれてきた栄養価の高い食品であり、適切に摂取することで多様な健康効果が期待されます。発酵によって生成される機能性成分、バランスの良いアミノ酸組成、具材による栄養素の補完は、現代の栄養学の観点からも評価される要素です。一方で塩分濃度への配慮や特定の疾患を持つ方の制限事項を理解し、個々の健康状態に応じた適切な摂取方法を選択することが重要です。気になる症状がある場合や持病がある場合は、かかりつけ医や管理栄養士に相談し、ご自身に適した食事パターンを確立してください。

この記事の監修管理栄養士