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眼球突出だけじゃない。バセドウ病眼症の多様な症状と、視神経圧迫による視力低下のリスク

 公開日:2025/12/13
バセドウ病眼症の特徴

バセドウ病では目に特徴的な症状が現れることがあり、これを眼症と呼びます。眼球突出をはじめとするさまざまな眼の症状は、患者さんの生活の質を大きく低下させる要因となります。ここでは眼症のメカニズムと具体的な症状について詳しく見ていきます。

久高 将太

監修医師
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)

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琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。内分泌代謝・糖尿病内科専門医。

バセドウ病眼症の特徴

バセドウ病では目に特徴的な症状が現れることがあります。眼症はバセドウ病の方の約30から50パーセントに見られ、生活の質を大きく低下させる要因となります。

眼球突出のメカニズム

バセドウ病眼症の最も特徴的な症状が眼球突出です。これは眼球の後ろにある組織(眼窩脂肪や外眼筋)に炎症や腫れが生じ、眼球が前方に押し出されることで起こります。自己免疫反応により眼窩内の組織が攻撃され、浮腫や線維化が進行します。

眼球突出は両側性のこともあれば片側のみのこともあり、程度もさまざまです。軽度では本人や周囲が気づかないこともありますが、進行すると外見上明らかに目が大きく見えたり、白目の部分が多く見えたりします。眼球が前に出ることで瞼が完全に閉じにくくなり、角膜が乾燥して傷つきやすくなります。

眼の不快症状と視力への影響

眼球突出以外にもさまざまな眼症状が現れます。目がゴロゴロする、涙が出る、光がまぶしい、充血する、腫れぼったい感じがするといった不快症状が多く見られます。瞼の腫れやむくみにより、目が開けにくくなることもあります。

さらに重症化すると、眼球を動かす筋肉(外眼筋)の腫れや機能障害により、物が二重に見える複視という症状が現れます。左右の目の動きがずれるため、特に横を見るときや遠くを見るときに二重に見えることがあります。また、視神経が圧迫されると視力低下や視野障害が生じる可能性があり、これは失明につながる危険性もあるため緊急の対応が必要です。

まとめ

バセドウ病は多様な症状を引き起こす自己免疫疾患ですが、早期発見と適切な治療により症状をコントロールすることが可能です。動悸や体重減少、手の震え、目の症状など気になる変化があれば、内分泌内科や甲状腺専門外来を受診することが推奨されます。特に女性や若年者、家族歴のある方、喫煙習慣のある方はリスクが高いため注意が必要です。甲状腺機能の検査は血液検査で簡単に行えます。症状を放置すると心臓や骨に影響が出ることもあるため、早めの対処が重要です。適切な治療により多くの方が日常生活を問題なく送れるようになるでしょう。
気になる症状がある場合には、内科・内分泌内科や眼科を受診し、専門的な評価と治療を受けることをおすすめします。

この記事の監修医師