バセドウ病の発症リスクは喫煙で上がる。眼症の悪化を防ぎ治療効果を高める、禁煙の重要性を解説

喫煙はバセドウ病の発症リスクを高めるだけでなく、特に眼の症状の悪化と強く関連していることが明らかになっています。タバコに含まれる有害物質が免疫システムや甲状腺に影響を及ぼすため、禁煙は予防と治療の両面で極めて重要です。

監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)
目次 -INDEX-
喫煙習慣と発症リスク
喫煙はバセドウ病の発症リスクを高めるだけでなく、特に眼症の発症や悪化と強く関連することが明らかになっています。禁煙は予防と治療の両面で重要です。
喫煙とバセドウ病の関連
複数の疫学研究により、喫煙者は非喫煙者と比較してバセドウ病の発症リスクが高いことが示されています。タバコに含まれる有害物質が免疫システムに影響を与え、自己免疫反応を誘発または促進する可能性が指摘されています。
喫煙は甲状腺自体にも直接的な影響を及ぼし、甲状腺ホルモンの代謝を変化させることが知られています。また、喫煙により体内の酸化ストレスが増加し、細胞レベルでの障害が生じやすくなります。これらの複合的な作用により、喫煙はバセドウ病の発症リスクを高めると考えられています。
眼症への影響と禁煙の重要性
喫煙はバセドウ病に伴う眼症の最も重要な悪化因子です。喫煙者では眼症の発症率が高く、症状も重症化しやすいことが多数の研究で報告されています。眼症の発症リスクは喫煙本数に比例して増加し、受動喫煙でもリスクが上昇する可能性があります。
すでにバセドウ病と診断されている方や眼症が出現している方にとって、禁煙は治療の一環として極めて重要です。禁煙により眼症の進行を抑制し、治療効果を高めることが期待できます。喫煙習慣のある方は、バセドウ病の診断を機に禁煙に取り組むことが強く推奨されます。禁煙外来などの支援を活用することで、成功率を高めることができます。
まとめ
バセドウ病は多様な症状を引き起こす自己免疫疾患ですが、早期発見と適切な治療により症状をコントロールすることが可能です。動悸や体重減少、手の震え、目の症状など気になる変化があれば、内分泌内科や甲状腺専門外来を受診することが推奨されます。特に女性や若年者、家族歴のある方、喫煙習慣のある方はリスクが高いため注意が必要です。甲状腺機能の検査は血液検査で簡単に行えます。症状を放置すると心臓や骨に影響が出ることもあるため、早めの対処が重要です。適切な治療により多くの方が日常生活を問題なく送れるようになるでしょう。
気になる症状がある場合には、内科・内分泌内科や眼科を受診し、専門的な評価と治療を受けることをおすすめします。




