性格が変わった?バセドウ病によるイライラや情緒不安定、不眠といった精神症状の特徴

バセドウ病では身体的な症状だけでなく、精神面や自律神経系にも大きな影響が及びます。甲状腺ホルモンは脳や神経系の働きにも深く関わっているため、日常生活における行動や感情面での変化として症状が現れます。こうした変化は本人だけでなく周囲の方も気づきやすい特徴があります。

監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)
目次 -INDEX-
自律神経症状と精神面の変化
バセドウ病は身体症状だけでなく、精神面や自律神経にも大きな影響を与えます。甲状腺ホルモンは脳や神経系にも作用するため、さまざまな精神症状が出現します。
手の震えと発汗過多
手指の細かい震え(振戦)はバセドウ病の典型的な症状の一つです。箸を持つとき、字を書くとき、コップで水を飲むときなど、日常の細かい動作で震えが気になることがあります。この震えは安静時よりも何かをしようとしたときに目立ちやすく、緊張や疲労で悪化することもあります。自分では気づきにくい場合でも、両手を前に伸ばして指を広げた状態で観察すると微細な震えを確認できることがあります。
また、全身の発汗が増加し、暑がりになることも特徴的です。周囲の人が寒いと感じる環境でも汗をかく、夏場でなくても異常に汗が出る、寝汗がひどいといった症状が現れます。これは代謝亢進により体内で熱産生が増えるためで、体温調節がうまくいかなくなった結果です。衣服が汗で湿ることが多くなり、生活の質を低下させる要因となります。
イライラ感と情緒不安定
バセドウ病では精神的な症状も顕著に現れます。些細なことでイライラする、怒りっぽくなる、集中力が続かない、落ち着きがなくなるといった変化が見られます。周囲からは性格が変わったように見えることもあり、人間関係に影響が出る場合もあります。不安感や焦燥感が強くなり、じっとしていられない感覚を覚える方もいらっしゃいます。
睡眠障害も併発しやすく、寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝早く目覚めてしまうといった症状が現れます。睡眠不足により疲労感が蓄積し、日中の活動にも支障をきたします。精神症状は本人だけでなく家族や周囲の人々も気づきやすい変化であり、適切な診断と治療により改善が期待できます。
まとめ
バセドウ病は多様な症状を引き起こす自己免疫疾患ですが、早期発見と適切な治療により症状をコントロールすることが可能です。動悸や体重減少、手の震え、目の症状など気になる変化があれば、内分泌内科や甲状腺専門外来を受診することが推奨されます。特に女性や若年者、家族歴のある方、喫煙習慣のある方はリスクが高いため注意が必要です。甲状腺機能の検査は血液検査で簡単に行えます。症状を放置すると心臓や骨に影響が出ることもあるため、早めの対処が重要です。適切な治療により多くの方が日常生活を問題なく送れるようになるでしょう。
気になる症状がある場合には、内科・内分泌内科や眼科を受診し、専門的な評価と治療を受けることをおすすめします。




