甲状腺とは別に進行?バセドウ病眼症の活動期・安定期の見極めと、ステロイドや手術での治療

バセドウ病眼症は甲状腺機能の状態とは必ずしも連動せず、独自の経過をたどることがあります。症状の進行段階に応じた適切な評価と治療が必要です。ここでは眼症の活動期と安定期の違い、そして具体的な治療アプローチについて解説します。

監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)
目次 -INDEX-
眼症の進行と治療
バセドウ病眼症は甲状腺機能の状態とは必ずしも連動せず、独自の経過をたどることがあります。適切な評価と治療が重要です。
眼症の活動期と安定期
バセドウ病眼症には活動期と安定期があります。活動期は炎症が進行している時期で、症状が悪化しやすく治療介入が必要な段階です。目の痛みや腫れ、充血が強く、急速に症状が進行することがあります。この時期には炎症を抑える治療が中心となります。
活動期を過ぎると安定期に入り、炎症は治まりますが、組織の線維化や眼球突出などの変化は残存します。安定期に入れば症状の急激な悪化は少なくなりますが、外見的な変化や機能障害が残る場合には外科的治療が検討されます。眼症の進行を評価するためには、眼科専門医による定期的な診察が必要です。
眼症に対する治療アプローチ
軽度の眼症では、人工涙液による点眼や就寝時の眼帯使用など、対症療法で症状を和らげます。中等度から重度の活動期眼症に対しては、ステロイド薬の点滴療法や放射線治療が行われることがあります。ステロイドパルス療法は炎症を強力に抑制し、眼症の進行を抑える効果が期待できます。
複視や眼球突出が強く残存し生活に支障がある場合、安定期に入った後に外科的治療が検討されます。眼窩減圧術(眼球の後ろの骨を削って眼窩を広げる手術)や斜視手術、瞼の手術などがあります。これらの治療により外見の改善や視機能の回復が期待できます。眼症の治療は眼科医と内分泌内科医が連携して進めることが重要です。
まとめ
バセドウ病は多様な症状を引き起こす自己免疫疾患ですが、早期発見と適切な治療により症状をコントロールすることが可能です。動悸や体重減少、手の震え、目の症状など気になる変化があれば、内分泌内科や甲状腺専門外来を受診することが推奨されます。特に女性や若年者、家族歴のある方、喫煙習慣のある方はリスクが高いため注意が必要です。甲状腺機能の検査は血液検査で簡単に行えます。症状を放置すると心臓や骨に影響が出ることもあるため、早めの対処が重要です。適切な治療により多くの方が日常生活を問題なく送れるようになるでしょう。
気になる症状がある場合には、内科・内分泌内科や眼科を受診し、専門的な評価と治療を受けることをおすすめします。




