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点眼が効かない時は手術?緑内障手術の具体的な種類やリスク、術後の生活を解説

 公開日:2025/12/13
緑内障の手術治療

点眼薬やレーザー治療で眼圧が十分に下がらない場合、または視野欠損の進行が止まらない場合には、手術治療が検討されます。手術の目的は眼圧をより確実に下げ、視神経を守ることです。ここでは、手術の種類と適応、リスクと術後管理について詳しく解説します。

柿崎 寛子

監修医師
柿崎 寛子(医師)

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三重大学医学部卒業 / 現在はVISTA medical center shenzhen 勤務 / 専門は眼科

緑内障の手術治療

点眼薬やレーザー治療で眼圧が十分に下がらない場合、または視野欠損の進行が止まらない場合には、手術治療が検討されます。手術の目的は眼圧をより確実に下げ、視神経を守ることです。

手術の種類と適応

緑内障手術にはいくつかの種類があります。一般的なのは線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)です。この手術では、眼の中の房水を眼外に排出する新しい通路を作り、眼圧を下げます。手術後は定期的に経過観察を行い、必要に応じて調整を行います。

緑内障インプラント手術(チューブシャント手術)は、小さな管を眼内に挿入して房水を排出させる方法です。線維柱帯切除術が困難な場合や、過去の手術が不成功だった場合に選択されることがあります。

低侵襲緑内障手術(MIGS)は、より小さな切開で行う新しいタイプの手術です。線維柱帯を切開したり、小さなステントを挿入したりして房水の流れを改善します。従来の手術と比べて合併症が少なく、回復が早いことが特徴ですが、眼圧降下効果はやや穏やかです。白内障手術と同時に行われることも多く、中等度までの緑内障に適応されます。

手術の適応は、眼圧の高さ、視野欠損の程度、進行速度、点眼薬への反応などを総合的に判断して決定されます。手術にはリスクも伴うため、メリットとデメリットを十分に理解したうえで選択することが重要です。

手術のリスクと術後管理

緑内障手術には一定のリスクがあります。感染、出血、低眼圧、白内障の進行、視力低下などが起こる可能性があります。特に術後早期は眼圧が不安定になりやすく、低眼圧による合併症に注意が必要です。

術後は点眼薬による炎症管理と感染予防が欠かせません。医師の指示に従って点眼を継続し、定期的に通院して経過を確認します。手術部位が安定するまでには数週間から数ヶ月かかることがあり、その間は激しい運動や重労働を避ける必要があります。

手術によって眼圧が下がっても、その効果が永続するとは限りません。時間とともに眼圧が再上昇することもあり、再手術や追加の点眼薬が必要になる場合があります。また、手術後も定期的な視野検査や眼底検査を継続し、進行がないか確認することが重要です。

手術を受けるかどうかの判断は、現在の視機能と将来のリスクを考えて行います。視野欠損が進行しており、失明のリスクが高い場合は、手術のリスクを考慮しても実施する意義があります。眼科医とよく相談し、納得したうえで治療方針を決定してください。

まとめ

緑内障は初期症状に乏しく、進行すると視野が失われる疾患ですが、早期発見と適切な治療により、生涯にわたって良好な視機能を維持することは十分に可能です。40歳を過ぎたら定期的な眼科検診を受け、リスク要因がある方は特に注意深く経過を観察してください。治療の継続が進行を抑える鍵であり、点眼薬や手術によって眼圧をコントロールすることで失明を防ぐことができます。緑内障は「治らない」疾患ですが、「進行を止められる」疾患です。不安や疑問があれば、眼科専門医に相談し、納得のいく治療を選択してください。

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