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子宮頸がんでも妊娠は可能?円錐切除術で子宮を温存するための適応条件を解説

 公開日:2025/12/10
円錐切除術と子宮温存の可能性

早期の子宮頸がんや高度異形成では、子宮を温存できる「円錐切除術」が選択肢となります。妊娠・出産を希望する女性にとって重要な治療法であり、がんの根治を目指しつつ生活の質を保つことができます。本章では、円錐切除術の適応条件と治療の流れを解説します。

西野 枝里菜

監修医師
西野 枝里菜(医師)

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【経歴】
東京大学理学部生物学科卒
東京大学薬学部薬科学専攻修士課程卒
名古屋大学医学部医学科卒
JCHO東京新宿メディカルセンター初期研修
都立大塚病院産婦人科後期研修
久保田産婦人科病院
【保有資格】
産婦人科専門医
日本医師会認定産業医

円錐切除術と子宮温存の可能性

子宮頸がんの外科治療は、病期や患者さんの状況に応じてさまざまな術式が選択されます。早期の段階では、子宮を温存できる治療選択肢もあります。

円錐切除術の適応と実施方法

円錐切除術は、子宮頸部を円錐状に切除する手術で、早期の子宮頸がんや高度異形成の治療として広く行われています。この手術の大きな利点は、子宮を温存できるため、将来の妊娠・出産が可能であることです。

適応となるのは、基本的に高度異形成(CIN3)や、がんがごく浅い層にとどまる微小浸潤がん(IA1期)のうち、妊娠を希望しており子宮を温存したい場合に限られます。IA2期では、がんの浸潤がより深くなるため、円錐切除術は適応外とされます。いずれの場合も、画像検査などでリンパ節転移がないことが前提です。

手術方法には、電気メスを用いる方法、レーザーを用いる方法、高周波電気メスを用いるLEEP法などがあります。手術時間は通常30分〜1時間程度で、多くの場合は日帰りまたは1泊程度の入院で実施されます。

根治的子宮全摘出術の概要

根治的子宮全摘出術は、子宮頸がんの根治的治療として確実性の高い方法の一つです。単純な子宮全摘出術とは異なり、子宮とともに周囲の靭帯や腟の一部も切除し、リンパ節郭清も同時に行われます。

手術の適応は、主にIB期からIIA期の子宮頸がんです。がんが子宮頸部を越えて広がっているが、まだ切除可能な範囲にとどまっている場合に選択されます。

手術方法には、開腹手術、腹腔鏡下手術、ロボット支援下手術があります。開腹手術は従来から行われている方法で、直視下で確実な手術が可能です。腹腔鏡下手術は、小さな創から行う低侵襲手術で、術後の回復が早いという利点があります。ロボット支援下手術は、精密な操作が可能で、出血量の減少や神経温存が期待できます。

手術では、子宮、卵管、場合によっては卵巣も切除されます。また、骨盤リンパ節や傍大動脈リンパ節の郭清も行われ、がんの転移の有無を詳しく調べます。手術時間は通常3〜5時間程度で、入院期間は1〜2週間程度です。

まとめ

子宮頸がんは、予防と早期発見により克服可能ながんです。HPVワクチンによる一次予防と定期的な検診による二次予防、さらに異形成段階での適切な治療により、多くの場合で子宮頸がんの発症を防ぐことができます。
正しい知識を持ち、適切な予防行動を取ることで、健やかな人生を送ることができるでしょう。定期的な検診受診と、必要に応じた専門の医師への相談をおすすめします。

この記事の監修医師