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【子宮頸がんの精密検査】コルポスコープ・組織診の手順と検査後の出血など注意点

 公開日:2025/12/08
コルポスコープと組織診による精密検査

検診で異常が見つかった場合、コルポスコープと組織診による精密検査が行われます。コルポスコープでは子宮頸部を拡大して観察し、異常部位を特定。組織診で細胞の構造を詳しく分析することで、がんや異形成の確定診断が可能です。検査の流れと注意点を紹介します。

西野 枝里菜

監修医師
西野 枝里菜(医師)

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【経歴】
東京大学理学部生物学科卒
東京大学薬学部薬科学専攻修士課程卒
名古屋大学医学部医学科卒
JCHO東京新宿メディカルセンター初期研修
都立大塚病院産婦人科後期研修
久保田産婦人科病院
【保有資格】
産婦人科専門医
日本医師会認定産業医

コルポスコープと組織診による精密検査

子宮頸がん検査で異常が発見された場合、より詳しい精密検査が必要となります。精密検査の中心となるコルポスコープ検査と組織診について説明します。

コルポスコープによる病変の観察

コルポスコープ検査は、異常な細胞や組織を詳しく観察するために行われる検査です。コルポスコープは、子宮頸部を拡大して観察できる特殊な顕微鏡のような医療機器で、医師が直接異常な部位を確認することができます。

検査をより正確に行うために、酢酸溶液やヨード液を子宮頸部に塗布することがあります。酢酸溶液を塗布すると、異常な細胞の部分が白く変化し(酢酸白色変化)、病変の範囲や程度を把握しやすくなります。ヨード液を用いた検査では、正常な細胞は茶褐色に染まりますが、異常な細胞は染まりにくいため、病変の境界を明確にすることができます。また、異常な血管の走り方や表面の凹凸など、白く変化する以外の所見も病変の特徴として観察されることがあります。コルポスコープ検査により、医師は病変の位置、範囲、程度を正確に評価し、組織診を行う部位を決定します。

組織診による確定診断の流れ

組織診は、コルポスコープ検査で特定された異常部位から組織の一部を採取し、病理学的に詳しく調べる検査です。細胞診では個々の細胞の異常を調べますが、組織診では組織全体の構造を観察するため、より正確な診断が可能となります。

組織の採取は、専用の器具を用いて米粒大程度の組織片を採取します。採取時には軽い痛みを感じることがありますが局所麻酔は通常必要なく、採取後は少量の出血が数日間続くこともありますが日常生活に大きな支障はありません。

採取された組織は、病理検査室で詳細な検査が行われます。組織診により、正常、異形成(軽度、中等度、高度)、がんのいずれであるかが確定診断されます。組織診の結果は、通常1週間から2週間程度で判明します。結果により、経過観察、治療、さらなる精密検査のいずれが必要かが決定されます。

検査後の注意事項として、数日間は出血の可能性があるため、激しい運動や入浴(シャワーは可能)、性交渉を控えることが推奨されます。また、発熱や強い腹痛、大量出血などの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。

まとめ

子宮頸がんは、予防と早期発見により克服可能ながんです。HPVワクチンによる一次予防と定期的な検診による二次予防、さらに異形成段階での適切な治療により、多くの場合で子宮頸がんの発症を防ぐことができます。
正しい知識を持ち、適切な予防行動を取ることで、健やかな人生を送ることができるでしょう。定期的な検診受診と、必要に応じた専門の医師への相談をおすすめします。

この記事の監修医師