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早期発見のカギは細胞診とHPV検査の併用!検査の流れと判定基準、精度向上の仕組み

 公開日:2025/12/07
細胞診検査による早期発見の仕組み

子宮頸がんの早期発見には、定期的な細胞診検査が欠かせません。子宮頸部の細胞を採取して顕微鏡で観察するこの検査は、簡便で負担が少なく、高い精度を誇ります。ここでは、細胞診の流れと判定基準、さらにHPV検査との併用による精度向上について解説します。

西野 枝里菜

監修医師
西野 枝里菜(医師)

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【経歴】
東京大学理学部生物学科卒
東京大学薬学部薬科学専攻修士課程卒
名古屋大学医学部医学科卒
JCHO東京新宿メディカルセンター初期研修
都立大塚病院産婦人科後期研修
久保田産婦人科病院
【保有資格】
産婦人科専門医
日本医師会認定産業医

細胞診検査による早期発見の仕組み

子宮頸がんの早期発見には、定期的な検査が不可欠です。

細胞診検査の手順と判定基準

検査ではまず、専用の器具を用いて子宮頸部の表面から細胞を採取します。採取した細胞は、スライドガラス上に塗布されるか液体に保存され、顕微鏡で観察します。検査自体は数分程度で終了し、結果は通常1〜2週間程度で判明します。

細胞診検査の精度は比較的高く、子宮頸がんの早期発見に大きく貢献しています。ただし、検査の精度は100%ではないため、定期的な検査の継続が重要です。また、細胞の採取が不十分であったり、炎症が強い場合などでは、正確な判定が困難になることもあります。

HPV検査との併用による検査精度の向上

HPV検査は、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスの感染を直接調べる検査です。近年、細胞診と併用することで、より高い精度での子宮頸がん検査が可能となっています。HPV検査では、子宮頸部から採取した細胞を用いて、高リスク型HPVの存在を調べます。

HPV検査の大きな利点は、将来の子宮頸がん発症リスクを予測できることです。HPV陰性の場合、子宮頸がんのリスクは極めて低いとされており、検査間隔を延長することが可能です。一方、HPV陽性の場合は、より注意深い経過観察や追加検査が必要となります。

細胞診とHPV検査を組み合わせた検査は、単独の検査よりも高い検出率を示します。両方の検査が陰性の場合、次回の検査までの間隔を3年程度に延長することが推奨されている国もあります。また、細胞診で軽度の異常が見つかった場合、HPV検査の結果により、経過観察か精密検査かを判断することができます。日本でも、HPV検査の有用性が認められ、一部の自治体では細胞診とHPV検査の併用検査が導入されています。

まとめ

子宮頸がんは、予防と早期発見により克服可能ながんです。HPVワクチンによる一次予防と定期的な検診による二次予防、さらに異形成段階での適切な治療により、多くの場合で子宮頸がんの発症を防ぐことができます。
正しい知識を持ち、適切な予防行動を取ることで、健やかな人生を送ることができるでしょう。定期的な検診受診と、必要に応じた専門の医師への相談をおすすめします。

この記事の監修医師