「ノロウイルスの治療法や対処法」はご存知ですか?【医師監修】
公開日:2024/11/15
ノロウイルス感染症について、どのような症状がでるのか・潜伏期間がどのくらいあるのか・感染してしまったときにはどのようにすればよいのか、など詳しくご存じでしょうか。
一般的な症状は嘔吐・下痢・腹痛です。有効な治療薬はなく、とても感染力の高い病気です。
本記事では、ノロウイルスに感染してしまったときの対処法や予防法について解説いたしますので、ぜひ参考にしてください。
※この記事はMedical DOCにて『「ノロウイルスの主な5つの症状」はご存知ですか?自宅での対処法も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
目次 -INDEX-
ノロウイルスによる感染性胃腸炎の治療法や自宅での対処法
医療機関を受診する目安を教えてください。
下痢・嘔吐・吐き気・腹痛の症状があり、感染が疑われるときには、近くの保健所や病院に相談するようにしましょう。病院を受診するときには、感染予防を行うことが大切です。
医療機関ではどのような治療を行いますか?
ノロウイルスに対する効果的な治療薬はありません。そのため医療機関では症状に合わせて治療を行う対症療法を行うことがほとんどです。乳幼児や高齢者は脱水症状を起こしやすく、体力も消耗しやすいことから、点滴による輸液治療を行うことがあります。症状に対応する治療が行われるのが基本ですが、下痢止めの使用は病気からの回復を遅くさせる可能性があるので、使用しない方がよいとされています。
自宅での対処法を教えてください。
ノロウイルスによる症状が見られたときには、仕事や学校に行こうとせず医療機関にかかるようにしましょう。医師による許可が出るまで、自宅での休養が必要です。症状が落ち着くまで、必要に応じて対症療法を行いましょう。下痢や嘔吐によって、水分も排出されるので、脱水に注意が必要です。脱水になるとお口のなかの乾燥・脈拍の増加・めまいなどの症状が出現します。ノロウイルスは症状が治まっても、しばらくはふん便からウイルスが排出されます。症状が治った後も、感染を広げないよう手洗いや消毒など感染予防を行いましょう。嘔吐の症状が治ったら安静にしつつ、脱水を防ぐためにこまめに水分補給をすることも重要です。症状が回復してきたら、消化のよい食事から摂取するようにしてください。高齢者は嘔吐物が気管に入ってしまう誤嚥という状態を引き起こし、誤嚥性肺炎になってしまうこともあります。発熱や呼吸状態など、体調の変化を観察する必要があります。
治るまでにどのくらいかかりますか?
一般的に症状が出現するのは3〜5日間で、早期に自然治癒します。しかし、症状消失後約1週間は、ふん便からの排菌が続いているとされています。不顕性感染者では、ウイルスの排出期間は13〜15日、子どもでは1ヵ月以上続くとの研究結果があるので注意が必要です。
編集部まとめ
ここまで、ノロウイルスの症状と予防法について解説しました。ノロウイルスにかかってしまったときには、脱水に気をつけつつ、症状が落ち着くのを待ちましょう。
また、病院を受診することや、看病を行う方がノロウイルスに移らないよう予防することが重要です。正しい汚染物の処理方法を実践し、こまめに消毒をするようにしましょう。
空気が乾燥する季節になるとノロウイルスをはじめとした、感染性胃腸炎の患者さんが増えるとの調査結果もあります。正しい手洗い方法を行う、手に触れるところを消毒するなど感染対策を心がけることも重要です。