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「腹部大動脈瘤」になりやすい人や症状・原因はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/03/18

腹部大動脈瘤をご存じですか?
本記事では以下の点を中心に紹介します。

・腹部大動脈瘤とはどんな病気なのか

※この記事はMedical DOCにて『「腹部大動脈瘤」になりやすい人や症状・原因はご存じですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

腹部大動脈瘤について

腹部大動脈瘤について

腹部大動脈瘤はどのような病気ですか?

腹部大動脈瘤は、大動脈が正常の太さの1.5倍以上に瘤状に膨らんだ状態を指します。具体的には、大動脈の正常な太さが約2cmであるため、3cm以上に膨らんだ場合に「腹部大動脈瘤」と呼ばれます。この病状の原因は主に動脈硬化で、全体の90%以上を占めます。動脈硬化は、血管の壁が硬くなり、厚くなり、弾力性を失う状態を指します。これは、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙などの生活習慣病が関与することが多いです。
その他の原因としては、感染症(梅毒、サルモネラ菌など)、炎症を引き起こす病気(高安動脈炎、ベーチェット病など)、ケガ、先天性の病気(マルファン症候群、エーラス・ダンロス症候群など)があります。腹部大動脈瘤の発生は50〜70歳がピークで、平均年齢は65歳前後です。また、男女比は6~8:1程度と、男性に圧倒的に多い病気です。
腹部大動脈瘤は、壁が薄くなった大動脈が破れると生命に直結する重大な状況を引き起こす可能性があるため、早期発見と適切な治療が重要となります。

腹部大動脈瘤の原因は何ですか?

腹部大動脈瘤は、主に以下の要因によって引き起こされます。

血管の老化: 年齢とともに血管は劣化し、弾力性が失われる傾向があります。これにより、大動脈の壁が弱くなり、拡張していく可能性があります。

喫煙: 喫煙は血管を収縮させ、血流を妨げることが知られています。また、喫煙は血管の壁に損傷を与え、大動脈瘤の形成を促進する可能性があります。

高血圧: 高血圧は血管に負担をかけ、血管壁を弱めることがあります。これにより、大動脈瘤が発生するリスクが高まります。

遺伝: 腹部大動脈瘤は、遺伝が関与している可能性があります。家族がかかっている人がいる場合は、発症リスクが高まる可能性があります。

硬化斑: 血管内の脂質やカルシウムが蓄積し、動脈壁に硬化斑を形成する動脈硬化症も、大動脈瘤の原因となる可能性があります。

これらの要因が複合的に影響を与えることで、腹部大動脈瘤が形成されることがあります。

腹部大動脈瘤の症状はどのようなものですか?

腹部大動脈瘤は、主に腹部の大動脈が拡張している状態を指します。以下は腹部大動脈瘤の一般的な症状です。

無症状: 腹部大動脈瘤はしばしば無症状で進行することがあります。特に小さな瘤では何の症状も感じないことが一般的です。

腹部の膨隆: 大きな腹部大動脈瘤では、腹部が膨らんでいるように見えることがあります。この膨らみはしばしば触診で感じることもあります。

腹痛: 瘤が成長すると、腹痛が起こることがあります。痛みは腹部や側腹部に感じられ、時には背中や腰にも広がることがあります。

脈動感: 腹部大動脈瘤が大きくなると、腹部での脈動感が感じられることがあります。特に瘤が近くに位置している場合に顕著です。

不定愁訴: 腹部大動脈瘤は他の疾患と症状が重なることがあり、消化器系の不定愁訴を引き起こすこともあります。例えば、食欲不振、消化不良、吐き気などが現れることがあります。

腹部大動脈瘤の症状は個人によって異なる場合があります。重要なのは、上記の症状がある場合には早期に医療専門家に相談することで、適切な診断と治療を受けることです。

腹部大動脈瘤は初期段階で自覚症状がありますか?

腹部大動脈瘤は、初期段階では自覚症状がほぼ現れないため、発見が難しい病気です。症状が現れるときには、すでに大動脈が破裂し、生命に危険が及ぶ段階に達していることが多いです。破裂した場合、生存率は約20%と非常に低いとされています。しかし、破裂する前に発見し、適切なタイミングで手術を行えば、成功率は95%以上と非常に高くなります。そのため、早期に腹部大動脈瘤を見つけることが重要です。

・腹部大動脈瘤が進行すると、次のような自覚症状が出ることがあります
・腹部や背中に痛みや違和感を感じる
・お腹が膨らんできたと感じる
・食欲が落ちる、体重が減る
・腹部や背中の痛み
・脈打つような腹部のパルス
・胃腸の圧迫感

消化器系の症状が報告されています。また、大動脈瘤が破裂すると、急激な腹痛、意識障害、失神、ショック状態など重篤な症状が現れる場合があります。

ただし、これらの症状は他の病気でも見られるため、これらの症状だけで腹部大動脈瘤を診断することは困難です。そのため、定期的な健康診断や人間ドックでの超音波検査やCT検査を受けることが、腹部大動脈瘤の早期発見に役立ちます。

腹部大動脈瘤になりやすい人はいますか?

腹部大動脈瘤になりやすい人には以下の特徴があります。

高血圧: 高血圧は腹部大動脈に負担をかけ、拡張を引き起こす可能性があります。高血圧の人は腹部大動脈瘤のリスクが高まる場合があります。

喫煙: タバコに含まれる有害物質が血管壁を傷つけ、腹部大動脈瘤の形成を促すことがあります。喫煙者は腹部大動脈瘤の発症リスクが増加します。

加齢: 年齢が上がるにつれて、腹部大動脈の壁が弱くなり、瘤が形成されやすくなる傾向があります。特に60歳以上の人々に発症することが多いとされています。

男性: 男性は女性よりも腹部大動脈瘤の発症リスクが高いとされています。

遺伝: 家族に腹部大動脈瘤の既往がある場合、遺伝的な要因により個人のリスクが高まることがあります。

これらは一般的な特徴であり、腹部大動脈瘤の発症には個人の状態や生活習慣なども関与します。

編集部まとめ

腹部大動脈瘤
腹部大動脈瘤について紹介してきました。

・腹部大動脈瘤は、主に腹部の大動脈が局所的に拡張し血管壁が薄くなる病気のこと。
・腹部大動脈瘤になる原因は、「血管の老化」「喫煙」「高血圧」「遺伝」「硬化斑」などがある。
・大動脈瘤が一定の大きさや成長速度を超える場合、手術を受ける必要がある。

これらの情報が腹部大動脈瘤について知りたい方の参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修医師

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