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「腎細胞がん」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/01/23

腎細胞がんという病気をご存じでしょうか。がんといえば肺がんや胃がん、女性であれば乳がんを思い浮かべる方も多いかもしれません。

腎細胞がんは日本の人口10万あたり男性が約28人、女性が約13人と比較的男性に多い病気です。また高齢になるにつれて発生頻度も高くなります。

そのため早期発見・早期治療が大切です。しかし、初期症状がほとんどなくみつけるのが困難な病気でもあります。

そこで今回は、腎細胞がんの症状・発症の原因などについてご紹介します。

※この記事はMedical DOCにて『「腎細胞がん」を疑う初期症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

腎細胞がんの症状と原因

発見する医者

腎細胞がんとはどのような病気ですか?

腎臓は尿を作る「腎実質」と、尿が集まる「腎盂」に分けられます。
腎実質にある尿細管の細胞が異常を起こし、がん化して悪性腫瘍となったものが腎細胞がんです。一口に腎細胞がんといっても種類や性質はさまざまで、中でも腎臓がんの約8割を占めているのが「淡明細胞型腎細胞がん」です。
一般的に腎細胞がんといえばこのがんといわれるほど大きな割合を占めています。同じ腎臓にできる悪性腫瘍の一つに腎盂がんがありますが、尿路上皮から発生するがんであり性質や治療法が異なることから、腎細胞がんには含まれません。
また腎細胞は初期症状がほとんどなく、他の病気の検査の際に偶然発見されることが多いです。そのため症状が進み肺や脳に転移してから、がんが見つかるというケースも少なくありません。

症状を教えてください。

腎細胞がんは初期段階では目立った症状はありません。そのため、以前までは早期発見が難しいとされるがんでした。
昨今ではエコーやCTなどの画像検査の進歩に伴い、健康診断や他の病気が疑われる検査の際に、無症状のまま発見されるケースが多くなりました。腎細胞がんも他のがんと同様に、初期段階で発見できれば再発することなく治療が可能です。
症状が進行すると血尿・発熱・貧血・腰背中痛などを引き起こします。

発症の原因を教えてください。

腎細胞がんを発症する危険因子として、肥満・喫煙・高血圧などが挙げられます。また長期にかけて腎臓の透析療法を受けていると、腎細胞がんを発症するリスクが高まるでしょう。
透析療法とは、血液のろ過が十分に行えず水分や老廃物のコントロールができなくなった末期の腎臓に対して、人工的に血液のろ過を行う処置です。また透析患者は透析でない方と比較して、腎細胞がんの発症率が数十倍にもなるといわれています。

どのような方が腎細胞がんになりやすいですか?

腎細胞がんになるリスクが高い方としては以下の要因が挙げられます。

  • 肥満
  • 喫煙者
  • 高血圧
  • 動物性脂肪の多い食事
  • 遺伝
  • 化学物質やカドミウムなどの有害物質を扱う仕事に従事している

肥満・喫煙者・高血圧の方は腎細胞がんを発症するリスクの高い危険因子として挙げましたが、動物性脂肪の多い食事を好む方も血流の悪化を招くため腎細胞がんになりやすいです。石油関連の化学物質やカドミウムなどの金属を扱う仕事に従事している方も、注意が必要です。
化学物質やカドミウムは人体に有害な重金属のため、腎機能に障害を与える発がん性物質として扱われています。中でも腎毒性である尿細管機能障害へのリスクが高いです。
また身内にフォン・ヒッペル・リンドウ病(VHL)など遺伝性の高い疾患の発症歴のある方がいる場合、高確率で腎細胞がんを発症すると考えられています。

編集部まとめ

女医
腎細胞がんは初期段階では自覚症状がほとんどないため、日常生活の中では発見が難しい病気です。

血尿・貧血・発熱といった症状が出た際には、大きな病気を抱えていない状態でもなるべく検査を受けるようにしましょう。

肥満・喫煙・高血圧などが見込まれる方も腎細胞がんを発症するリスクが高いため、注意が必要です。

早期発見による早期治療が生存率を高めることにつながります。なるべく定期的な検診を心がけましょう。

この記事の監修医師