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「胃肉腫」を発症すると現れる症状・原因・「胃がん」との違いはご存知ですか?

 公開日:2025/01/28

胃肉腫は、胃がんとは異なる性質をもつ病気です。胃の粘膜下層に悪性腫瘍が生じますが、初期のころにはほとんど自覚症状がみられません。

そのため早期発見が難しく、病気が進行してから診断されるケースも多いです。その場合は転移や再発のリスクが高まりますが、適切な治療を施せば治る可能性があります。

本記事では、胃肉腫について詳しく解説しています。本記事を読んで胃肉腫についての正しい知識を身につけることで、 病気と適切に向き合えるようになるでしょう。

胃肉腫について知りたい方は、ぜひ本記事をチェックしてみてください。

※この記事はMedical DOCにて『「胃肉腫」を発症すると現れる症状・原因・「胃がん」との違いはご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

胃肉腫とは

お腹に手を当てる女性

胃肉腫とはどのような病気でしょうか?

胃肉腫とは、胃の非上皮にできる悪性腫瘍のことです。胃がんとは異なる性質をもち、病気の早期発見が難しいとされています。
しかし、他の消化管などへの転移や再発のリスクがあることから、病気の早期発見・早期治療が望ましいとされる病気です。            

がんとの違いを教えてください。

胃肉腫と胃がんは異なる病気です。胃がんは、胃の粘膜層に発生する悪性腫瘍のことを指します。上皮にできる腫瘍のため、上皮性腫瘍とも呼ばれます。
一方で、胃肉腫は胃の粘膜下層にできる悪性腫瘍です。非上皮に発生することから、非上皮性腫瘍とも呼ばれます。
胃がんに比べて、胃肉腫は発生頻度が非常に低いです。また、がんに比べて症状が現れにくいため、発見が遅れることも珍しくありません。

胃肉腫には種類があると聞きましたが…。

胃肉腫は大きく分けて2種類あります。悪性リンパ腫平滑筋肉腫です。
悪性リンパ腫は、胃の粘膜下のリンパの細胞に発生します。リンパを通じて他の部位に転移する可能性が高く、予後が悪くなってしまうケースも多いです。
平滑筋肉腫は、平滑筋と呼ばれる部位に発生する悪性腫瘍のことを指します。リンパを通じての転移はしにくいですが、血行性の転移をおこす可能性があります。
胃肉腫にはその他にも種類がありますが、最も発症率が高いのは悪性リンパ腫です。悪性リンパ腫と平滑筋肉腫の発症率の割合は、8:3ほどになるといわれます。

どのような症状がみられますか?

胃肉腫は明らかな症状が現れにくいことが特徴です。特に、腫瘍が小さい初期の間は無症状の場合がほとんどです。そのため、早期発見が非常に難しい病気といわれます。
腫瘍が大きくなってくると胃が圧迫され、腹部圧迫感や腹痛などの症状がみられます。また、吐き気や嘔吐が伴うケースもあるでしょう。腫瘍からの出血が起きると、黒色便・吐血・貧血などの症状が現れます。

胃肉腫を発症する原因を教えてください。

胃肉腫が発症する原因は、はっきりとは分かっていません。しかし、胃肉腫を発症している患者さんの中には、遺伝子の異常が確認されている方が多くいます。
そのため、遺伝子の変異が発症の原因になると考えられます。また、胃肉腫の一種である消化管間質腫瘍という病気は、腫瘍細胞の細胞膜にあるたんぱくに異常が起きることが発症の原因です。
この異常によって細胞は大きくなり続けるため、病気を放置していると病状がどんどん進行してしまいます。

編集部まとめ

女性医師
胃肉腫は、胃の非上皮に悪性腫瘍が発生する病気です。胃がんとは異なる性質をもち、症状が現れにくいために発見が遅れてしまうケースが多いです。

病気の初期には、自覚症状がほとんどみられません。腫瘍が大きくなってくると、腹痛・吐き気・貧血などの症状がみられる場合があります。

しかし、これらの症状も軽度である場合が多く、病気の早期発見は非常に難しいです。病気の発見のためには、内視鏡検査や生検などの検査を行う必要があります。

病気の発見が遅れると、悪性腫瘍が大きくなったり転移が起きたりする可能性があります。健康診断などで定期的に検査を受けて、できるだけ早期の発見を目指しましょう。

病気を治すためには、病状に適した治療を行うことが大切です。基本的には外科的手術を行いますが、医師と相談しながら適切な治療を受けるようにしましょう。

この記事の監修医師