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甲状腺がんの一つ「髄様がん」が進行すると現れる症状とは?医師が解説!

 公開日:2026/02/28
髄様がんの特徴

髄様がん(ずいようがん)と聞いても、どのような病気なのか想像できない方も多いのではないでしょうか。髄様がんは甲状腺がんの一種ですが、発症率が低く一般にはあまり知られていません。

治療方針についても日本では2018年にガイドラインが作成されたばかりです。また、髄様がんは遺伝の原因となる遺伝子が確定されており、遺伝子検査の結果を治療に反映できる珍しい疾患でもあります。

今回はこのように特徴的な髄様がんについて解説します。
髄様がんの特徴や症状といった基本的な知識を解説しますので、のどに違和感がある方・髄様がんについて詳しく知りたい方はぜひ参考になさってください。

※この記事はメディカルドックにて『「髄様がん」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

髄様がんの特徴

喉が痛い女性

髄様がんとはどのような病気でしょうか?

甲状腺がんの一種ですが、割合としては甲状腺がんの1〜2%ほどで特殊なタイプのがんです。
甲状腺とは全長8cmほどの人体で最大の内分泌腺で、首の前側中央、のどぼとけの少し下あたりにあります。甲状腺ホルモン(体の新陳代謝を促進する働きのあるホルモン)を生成し、必要量を血中へ分泌するのが役割です。
甲状腺から発生するがんには、髄様がんの他に乳頭がん・濾胞がん(ろほうがん)・未分化がん・悪性リンパ腫があり、ひとえに甲状腺がんといってもそれぞれ特徴が異なります。一般的に髄様がんは乳頭がん・濾胞がんより難しい病気ですが、未分化がんよりも予後が良いです。

甲状腺にできる特殊ながんなのですね。

甲状腺がんの90%を占める乳頭がんや濾胞がんは、甲状腺ホルモンをつくる濾胞細胞から発生します。一方で髄様がんはカルシトニン(カルシウム代謝を調節するホルモン)を分泌する傍濾胞細胞由来のがんです。

どのような症状がみられますか?

初期症状はほとんどなく、甲状腺ホルモンの分泌異常が生じることもないため、全身的な不調も生じません。髄様がんでは血中カルシトニン濃度の上昇が見られますが、それだけでカルシウム濃度が低下することはないので安心してください。
病気の進行に伴って声帯が麻痺し声が出しづらくなったり、呼吸困難や嚥下機能の低下などの症状が現れることがあります。また、遺伝性髄様がんの場合は一定の割合で副腎や副甲状腺に合併症がみられます。

発症の原因を教えてください。

散発性髄様がんの原因は不明ですが、遺伝性髄様がんは多くがヒト10番染色体のRET遺伝子の変異が原因です。この遺伝子に変異が生じると、生成されるタンパク質に異常をきたし、遺伝性の疾患が生じます。
なお、同じ家系であっても発症年齢や病気の経過などに違いがあります。変異遺伝子以外の遺伝子や生活習慣などのその他の要因が発症に関わっているためです。

遺伝すると聞きましたが...。

髄様がんには散発性と遺伝性の2種類があります。遺伝性は多くがRET遺伝子の変異によるもので、全体の30%程度です。性別に関わらず1/2の確率で親から子へ遺伝します。
遺伝性髄様がんはMEN2A型・MEN2B型・家族性の3つのタイプに分けられます。このうちMEN2AとMEN2Bには髄様がんに加えていくつかの合併症が見られるため注意が必要です。MEN2Aでは副腎・副甲状腺の合併症が見られ、MEN2Bでは副腎の合併症・粘膜下神経腫・特徴的な体型(手足が長く痩せ型)などの所見があります。
一方、遺伝性の中でも髄様がんのみを発症するものを家族性髄様がんと呼びます。遺伝しているかどうかの確定診断にはRET遺伝子検査が有効です。
通常の採血と同じ方法で摂取した血液からDNAを抽出し、人工的に培養したRET遺伝子の配列を検査します。血縁者にRET遺伝子異常が判明した場合は、その子や親も遺伝子検査を受けることをおすすめします。
遺伝子検査でRET遺伝子の異常が判明した場合、生涯で髄様がんを発症する割合はほぼ100%です。そのためアメリカでは甲状腺の予防的摘出が推奨されています。
日本では術後の合併症リスクや倫理的観点、治療費が自費であるなどの理由から予防的摘出は普及していません。一般的に遺伝子検査の結果に応じて、定期検査などによる経過観察を行います。患者に寄り添った長い期間での管理が必要になるため、甲状腺の専門医による適切な対応が求められます。

編集部まとめ

スミレの花束
甲状腺がんの中でも1から2%ほどの発症率である「髄様がん」について詳しく解説しました。

髄様がんには散発性・MEN2A型・MEN2B型・家族性と4つの型があり、いずれにしても予後を決める重要な要因となるのは転移の有無です。

転移がない間に治療を開始できるよう、のどにしこりや違和感のある方は早めに受診しましょう。

甲状腺がんは健康診断で見つかることも多いため、定期的に健康診断を受けることも効果的です。

遺伝性髄様がんは1/2の確率で遺伝しますが、早期の治療開始で予後は非常に良好になります。

遺伝子検査を受け異常が見られたら、専門医のもとで継続的な検査と管理を行いましょう。早期発見のためにも、自分の体をいたわり、違和感を放置しないようにしてください。

この記事の監修医師

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