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「起立性低血圧」の検査・治療法はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/02/18

立ち上がった瞬間、めまいがしたり目の前が真っ暗になったりする「起立性低血圧」をご存知でしょうか。

起立性低血圧は健康な人でも起こることがあります。しかし、最も起こりやすいのは高齢者・貧血の人・持病のある人なのです。

多くの場合、血圧を上げるお薬や生活改善により、症状が改善します。

今回は、起立性低血圧の診断・治療方法もご紹介します。

※この記事はMedical DOCにて『「起立性低血圧」を発症すると現れる症状・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

起立性低血圧の検査と治療方法

男性医師

どのような検査で診断されますか?

起立性低血圧を診断するためには、問診や血圧検査などを行います。具体的には寝た状態から立ち上がってすぐ、および立ち上がった後1分・3分・5分などの間隔で血圧を測定し、その変化を観察することが重要です。
その他、原因となる病気が疑われる場合には、血液検査・心電図検査・MRI検査・CT検査などを用いて鑑別を行うのが一般的です。

治療方法を教えてください。

起立性低血圧の治療方法は、原因によって異なります。何らかの病気などが原因で引き起こされている場合には、その原因となる病気を治療する必要があるでしょう。また、特に原因となる病気がないにもかかわらず起立性低血圧を繰り返している場合には、薬物療法・生活指導が行われます。
薬物療法が必要かどうかは人によって異なりますが、主治医の判断により、血圧を上げるお薬が処方されることもあります。生活指導の内容は、以下の通りです。

  • 水分補給:起立性低血圧は、脱水症状によって引き起こされることがあります。そのため、十分な水分補給により血液の循環を改善することが大切です。
  • 適度な運動:朝起きたときに軽度のストレッチや運動を行うことで、血圧を上昇させられます。激しい運動は逆効果になるため、適度な運動量に留めるようにしましょう。
  • 日頃から適度な運動を行い筋力をつけることも有効です。
  • 食事改善:バランスの良い食事を心がけ貧血を予防すれば、低血圧の改善が期待できます。過度な飲酒は控えましょう。
  • 姿勢や体位変換に気を付ける:長時間同じ体勢で過ごすことは血流を停滞させる原因となります。適度に身体を動かし、血流を促進させましょう。また、急に立ち上がったり起き上がったりするのではなく、ゆっくりと体位変換することも重要です。
  • 弾性ストッキングの使用:圧力の強いソックスを着用することで、血液の循環を改善できます。ただし、装着時間や強度は医師の指示に従うようにしてください。

これらの治療方法は、人によって異なりますので、必ず専門医の指示に従って行うようにしましょう。また、基本的な生活習慣の改善や十分な睡眠なども起立性低血圧の改善に役立ちます。

治療薬について教えてください。

起立性低血圧の治療薬には、以下のようなものがあります。

  • ミドドリン塩酸塩
  • メチル硫酸アメジニウム

ミドドリン塩酸塩とメチル硫酸アメジニウムは、交感神経の働きを促進させ、血圧を上げるお薬です。ミドドリン塩酸塩は副作用として、悪心・嘔吐・高血圧などの症状が現れることがあります。メチル硫酸アメジニウムは、発疹・動悸・血圧変動などの症状が現れることもあるお薬です。
また、起立性低血圧を引き起こす原因となる病気を患っている場合には、病気によって治療薬が異なります。いずれにしても、主治医の指示通りに服用するようにしましょう。

編集部まとめ

看護師
立ち上がったときに、くらっとめまいがしたり目の前が暗くなったりする経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。

起立性低血圧は、健康な人でも睡眠不足や水分の摂取不足などが原因で起こることがあります。しかし、中には原因となる何らかの病気が隠れていることがあるため注意が必要です。

思い当たる症状がある場合には、一度医療機関で診てもらうようにしましょう。また、起立性低血圧の予防や治療には、生活習慣の改善が大切です。

規則的な生活やストレス発散などを行い、体への負担を減らすことを心がけてみてください。

この記事の監修医師

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